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45話 3秒で何ができる?

 



 祭壇奪還。それが今回のイベントであり、使徒に課せられた義務でもある。

 神殿の奥深くにある祭壇が汚された。魔に入り込まれたそこは、役割を果たすための機能を失い、このままではモンスターが無限に湧き続けてしまう。

 祭壇の役割とは使徒を蘇らせることであり、さらなる高みへと導くことでもある。


 あってはならぬ事です、と司祭の一人が言う。恥ずべき事だ、とも。


 彼の語りを聞きつつ、窓の外を眺めてみる。大きな庭が広がり、そこでは多くの騎士が鍛錬に励んでいる。


「魔の侵入は、一人の助祭によって引き起こされました」


 そこからの語りは聞いちゃいなかった。とりあえずイベントの概要は掴んだし。

 だからもう、この部屋でやるべき事はない。


「ちょ、お兄さんどこ行くんだよ」


 剛くんが小声で尋ねてくる。出て行く、と伝えれば、マジで? と返ってくる。


「ほら、俺はマドン爺さんとの約束があるから」

「それを優先すんのかよ」


 優先と言うか、今は此処でやるべきことがないってだけだ。


「あんだろ! 話聞けよ!」


 小声で怒られてもなぁ。


「此処にいても意味は無さそうだ。あとは君たちに任せた。タチミツさん達もいるし。大丈夫、暴れる時にはちゃんと戻るからさ」

「暴れるって――、おいっ!」


 立ち上がり、まだ何かを話し続ける司祭に一礼する。横一列に並ぶ十人の彼等は、権威というものを分かりやすく体現していた。

 豪奢な衣服。派手な装飾品。固められた頭髪。なるほど、イメージ通りである。


 向かって左端に座るのが司教らしい。一際派手な衣装と態度がそうだと言っている。顔を黒いヴェールで隠した細身の男。表情は見えないが落ち着いた様子だ。

 彼等は聖都の碩学としてこの場にいるのだろう。だからと言って俺には何の関係もないのだが。


 それよりも睨んで来るポイさんの方が大問題だ。怒らせては面倒そうである。

 まあ、退出するけどね。


 神殿を出てふらりふらりと歩いて行く。都市には活気があった。ダシュアンほどではなく、しかしショーイカよりは騒がしい。つまりは至って普通である。

 イメージしていた狂信染みた熱気もなければ、予想していた勧誘もない。誰もが当たり前の日常を当然に過ごしている。


「ヘラ様――、ウホン。おい、ヘラの小僧」

「ああ、マドン爺さん」

「良かったのか? 神殿で話を聞いてたんじゃろ?」

「良いのです。それよりも、集まっています?」


 さて。マドン爺さんに連れられて向かう先は、聖都の下町である。そこに集まっているのは都民組織の元代表達。長年に渡って先頭に立ち続けた、いわゆる生き字引だ。

 聞くべき話は決まっていた。聖都の成り立ちや歴史、人々の生活や日常。そして、彼等にとっての神殿という組織の重要性。


 この都市を知りたいという欲求を満たすため、俺はこの場に居るのだ。簡単に言うならば趣味である。


 彼等の語りは生々しく、想像とは違い不満も大いに含まれている。

 そもそも聖都とは俺が考えていたようなものではなくて。


「使徒様を導く役割を担っておるのじゃよ」


 使徒を導く役目とは、つまりところ覚醒と転職だろう。


「へえ。それっていつ頃からです?」

「二百年とも三百年とも言われておるが、正確には分からぬ」

「そもそもこの都市に教会ができたのは五十年ほど前じゃ。暮らす者たちも殆んどの者が信徒ではないからの」


 あれ? 違うのか。


「教会から勧誘があったり?」

「全くないのぉ。教会ができて都市の名前は変わってしまったが、そのおかげで暮らしが豊かになった」


 やはり考えていたものとは大きく違う。信徒はおらず勧誘すらない。だとすればどうしてこの都市を『聖都』にしたのだろう? と言うか教会って何を目的として存在してるんだ? まあその辺りはゲームだからと無理矢理に納得できなくもないが。


「神殿で調べれば分かるじゃろうが、今は慌ただしい」


 ああ、イベント。祭壇がモンスターの巣窟になったってやつ。

 使徒の死に戻りを可能とする祭壇だ。モンスターにとっては無限にポップできる湧き水となっているらしい。


「犯人は助際だと聞きましたが」

「だの。ヨハンの馬鹿者め」

「しかし妙だぞ。あの小心者がそのような大それたことをやるものか?」

「罰が軽いことも気になる。免職のみとは」

「ある意味では重い罪だ。聖都に住み続けねばならんとなると、部屋からは一歩も出られん」

「誰もが犯人だと知っておるからのぉ。血の気の多い者達に何をされるやら」

「ゆえに騎士どもが警護しておるのだ。それも妙な話だがな」


 ふぅん。ヨハンというのか。是非とも話をしたいな。

 そう求めてみれば、彼等は即座に動き始めた。一人が先行してヨハンを確保し、他が人払いを請け負ってくれる。マドン爺さんが俺の案内役だ。

 えらく大袈裟だと思わなくもないが、使徒に静粛されると勘違いしたヨハンの逃亡を防ぎ、彼自身を守る目的もあるのだろう。


 何が聞けるやら。悪魔崇拝だとか陳腐なものじゃなきゃ何でも良いが、念のために戦闘を想定しておこうか。



──────


────


──



「明日の朝、祭壇に入る。目的は最奥にある核の破壊。それが魔物を呼び寄せている」


 よく通る声でタチミツさんが改めて説明を行っていく。

 堂々とした声と態度。まさにリーダーである。カッコ良いなぁ。


 再び神殿に戻って来ている。部屋を借り、これからプレイヤー同士の顔合わせと攻略概要の説明が行われる、らしい。


 タチミツさんの声が室内に満ちる。各員、決められた役割をしっかりと確認してほしい。それぞれが担当する役割を指名されたら自己紹介を。その後にフィールドを見る。そんな内容だった。


 さて。参加パーティーは5つ。このイベントに対して掲示板で呼びかけを行い、応えた、と言うか到達できたのが彼等だ。

 へーエルピスから二班が。そして剛くん達。さらに“十二戦士”というギルドから六人。その四パーティーに俺を加えた五パーティーのレイドで解決にあたる。

 本当はあと一人来る筈なのだが、何をしているのかな。


 決戦は明日。敵の陣容は大群。フィールドは四方30メートルほど。隙間がないほど敵に埋め尽くされている。

 自信などありはしないが、まあ、経験はある。何とかなるだろうという余裕もある。打って付けのスキル群も所持している。つまりは。


「ヘラくん。君が先陣だ」


 俺の役割はそれになる。いつもとそう変わらない。


「タチミツさん、先に敵について聞いても良いでしょーかぁ? あーどうも皆さん。ティータンと申しますぅ」


 発言したのはギルド“十二戦士”の盟主であるティータンさん。髭もじゃのむさ苦しい大男である。

 なるほど。噂は何度か耳にしていたが、彼等はかなり強そうだ。


「敵はリザードマン。種族は亜人で、レベルは17前後。数は……分からないね」

「そりゃあ豪勢だなぁ。暴れ甲斐があるってもんだよぉ」


 やけに好戦的なのが“十二戦士”の特徴なのか、誰もがやる気に満ちた表情をしている。強さへの自信が言葉や態度から滲み出ていた。


「先陣は私達のほうが良いのではなくって?」


 そう言ったのもやはり彼等のメンバーで、大杖を担いだ魔人の女性である。年齢は20代の半ばといったところか。


「君達の力は十分に理解しているが、フィールドは敵に埋め尽くされている。入れたとしてもせいぜいが一人。こじ開けるにはヘラくんが最適だと考えた。突入で君達を失うわけにはいかない。フィールドを見て貰えば分かるだろう」

「そうかしら? 彼、そんなに強くは見えませんわ」


 まあ、見た目はこんなんですし。コスプレ野朗だと思われても仕方ない。


「彼は間違いなく飛び抜けているよ。この場にいるトッププレイヤーの誰よりもだ」


 タチミツさんにそこまで言われると照れてしまう。でもまぁ、負けそうな人は居ないかなぁ。


「随分と評価されていらっしゃるようですが」


 この女性。なんだか危ういな。場を乱してることに気付かないのだろうか?

 意見があるのなら、まずは目的を明確にすべきだ。それも言わずにまどろっこしい言葉を吐いても誰にも響かない。


「フィールドの状況を考えるのなら、私のような魔術士が最適なのではなくって? 剣でチマチマ削るよりも早く、埋め尽くしている密集陣形に穴を開けてさしあげますわ」


 ああ、それが言いたかったのか。先に言えよ。組織ってものを理解しちゃいない。

 こういった互いを知らない顔合わせにおいて、言葉の順序ってのはとても大切だ。間違えれば警戒や不安を誘い、それは発言者に向けられる。今の彼女のように、だ。

 言っていることは正しくても意見として受け取ってもらえなくなってしまう。功を焦る馬鹿か、主導権を握りたい目立ちがり屋。そう映るのだ。勿体ない。


 レイドリーダーであるタチミツさんにいきなり噛み付いた奴。そういう印象が固まるわけだが。

 効率的に参りましょうよ、と、見下したように言い放つ。まだ続けるらしい。


「彼よりも魔術士が入って数を減らした方が良い。少し考えれば分かることでしょう? ねぇ、あなたもそう思いません?」


 ん? 俺?

 いきなりふるなよ。視線が集まってるじゃないか。ポイさんとヨミさんなんて怖い目でファイティングポーズを取ってるし。言ってやれ、という事なのだろうけど。


「何か言ってくださらない? その容姿で沈黙されると気が休まりませんわ」


 剛くん達が深く頷いている。それは良いが。

 やめて欲しいなぁ、興味津々で耳を傾けるのは。こんな大人数にだぞ? でもまぁ、まずは起立気をつけだ。そうして“鬼顔の面被り”を外して。


「どうも、ヘラです。この度は宜しくお願い致します」

「あら、良い男……コホン。挨拶など求めていませんわよ。求めているのは意見です」


 ぐいぐい来るなよ。鬱陶しい。ほら、ポイさんとヨミさんからの視線が鋭くなったじゃないか。


 まずはタチミツさんの話を最後まで聞きませんか? そう提案すれば、もう聞きましたわ。それに、私はあなたに意見を求めていますの、と返される。

 おいおい。世界の中心に立っているつもりかよ。


 なら、言わせて貰おうかな。


「良いのではないですか? 貴女の……えーと、名前も知りませんが、この女性の意見を採用すれば」


 項垂れるポイさん。さらに怒り顔になるヨミさん。獅子丸くんだけ笑ってる。


「言葉に棘がありますわね?」

「そうですか?」

「はっきりと言いなさい。私の作戦に問題があるのであれば」

「え? 作戦だったのですか。さっきのが?」


 別に喧嘩を売りたいわけじゃない。だが作戦と呼ぶにはあまりにもお粗末だ。


 彼女まで震えだした。お気に召さなかったらしい。


 でもなぁ、と。


 今の状況ではどうしたって俺が正義になる。それに気付けないのならこの人が醜態を晒すだけだ。


「では、はっきりと言いましょう。初めに、俺は先陣なんて望んではいません。しかし、貴女の発言は、タチミツさんの話を遮ってまで言うほどの内容ではなかったかと」

「……へえ? その喧嘩、買ってさしあげますわ」


 だから喧嘩を売りたいわけじゃないんだって。そして、あんたが勝手に印象を悪くしているんだよ。


「彼の説明は途中だったのです。俺が先陣を任された理由、並びに根拠が証明される前に、名前も言わない貴女が遮ってしまった」

「根拠なら聞きましたわ。あなたが強いから、と」

「いいえ、違います。おそらく、この後にフィールドを見る機会を設けていたはず。でなければ攻略も糞もないのですから。そして、この場に到達したプレイヤーであれば理解できると彼は考えていた」


 状況ってのは自分の目で見て、肌で感じて、はじめて明確になるのだ。互いを知らないプレイヤー同士でそれを省くわけがない。

 タチミツさんだって“見て貰う”と言っていたし。


「彼は言ったでしょう? 空間が埋め尽くされていると。名前も言わない貴女は、そこにどうやって飛び込むのでしょう?」

「それは扉の外――」

「知らないのですか?」


 事前に説明があった筈だ。敵への有効な攻撃は祭壇の中に入っているプレイヤーでなければならない。外で付与されたバフも解かれてしまう。つまり、扉を開けて外から“えいやー”と矢や魔術を撃ったところで意味はないのだ。

 そのスペースを作るために近接戦闘を得意とする者が飛び込む。合理的かつ、正攻法だと考えられるけど? 彼女が求める効率的な方法ではないのかもしれないが。


「……しかし」

「今までの情報を踏まえた上で、是非ともお聞かせ願いたい。合理的で効率的な攻略法を」


 さあどうぞ、と。彼女にバトンを渡す。


 待てども何も言わないから、もう一つヒントをあげよう。


 どれだけの時間で魔術を発動できるのか尋ねてみる。

 よくぞ聞いてくれましたわ、オホホ。と言ったわけではないが、そんな顔をして胸を張った。


「3秒も要りませんわ」

「……たったの?」

「普通は5秒ほど掛かりますものね? これでも発動時間には自信があり――」

「ああ、ごめんなさい。違いますよ、逆です。3秒も必要なのか、という意味です。たったそれだけの能力で先陣を買って出たのか、と」


 それなら何回でも殺せるぜ? と言うか俺より遅いし。


「仮に貴女の言う通り、魔術士が先陣を切るのならポイさんが良いでしょう」

「なんですって?」

「彼女の発動は1秒だ」


 ですよね? とポイさんに問い掛ければ、ちょうどそれくらいね、と返される。


 お分かり頂けましたか? と言って説明していく。

 互いの実力も知らず、フィールド状況も直接見ていない。だからこそ、まずは確定事項だけを伝えたのだ、タチミツさんは。その後に現実を見れば、彼が先陣を任せたプレイヤーにどれだけ信頼を置いているのかが伝わりやすい。貴女が考える通り、この攻略の鍵を握るのは最初に飛び込むプレイヤーなのですから。


 ひと息に話して、彼女にバトンを渡す。


 言いたい事は以上。なので着席する。


 場には白けた空気が蔓延していた。さっさと動こうぜ、と誰もが考えているだろう。

 これでもまだ話し続けるのなら、彼女は本物の間抜けだ。


 でも、言うんだろうなぁ。口をパクパクさせているし。


「こ、これは遊びじゃありませんのよ! 全プレイヤーの命運が懸かっていますの! 覚醒はもちろん、聖都を拠点にするプレイヤーにとっては死に戻りできるかどうかも懸かっていますの!」


 ほら、やっぱり喋ったじゃんね。ギルドメンバーはどうして何も言ってやらないんだろう。

 マスターであるティータンさんに視線を向ければ、彼は苦笑いと共に両手を合わせて見せる。すまん、という意味だろう。もう少し付き合ってやってくれ、と。


 本当に、良い加減、面倒になってきたぜ。


 しかし、盟主がそう言うのであれば分かりやすくいこう。ただ、大人としてはもう少しだけ我慢したいところだ。


「遊びじゃないからタチミツさんが作戦を立てたんだ。誰からも一目置かれる状況判断能力と作戦立案能力を有する彼が。最も危険な役割を俺に与えたんだ。俺にしか不可能だと、若しくは最適解だと判断したんだ。それを掻き乱しているのは貴女だ」

「良い加減になさい! 貴方のような謎多いプレイヤーに託せる状況ではなくってよ! 無茶をするのが若者の特権だとでも勘違いしているの⁉︎ 自分を特別だと思い込み、自分こそが正しいと信じているあなたのような人に!」


 そんなつもりは少しだってないけどなぁ。と考えていれば、彼女は満足そうに鼻を鳴らした。俺が答えに窮したと思ったのだろう。


「さぞ優秀なスキルと称号に恵まれたのでしょう。しかし、貴方のような世間知らずの若者に制御できているのかしら? 甚だ疑問ですわ。いえ、良いのよ。そうやって勘違いして我が身を滅ぼすだけなのであれば。その自己心酔に巻き込まないで欲しい、と言っているの」


 よく喋る奴だ。必死すぎて滑稽だと気付かないんだな。幸せ者め。


「自分こそが最強で、何をやっても許されると思っているのね。偶然にも幸運によって得たスキルや称号で勘違いしてしまった。言ってさしあげますわ。あなたは特別ではなく、ただの平凡な世間知らずです。もっと世間を知るべきですわ。認めて欲しいというエゴに付き合わせないでくださいまし」


 言い切ったとばかりに胸を張っているけど、こいつは間抜け確定だ。自分が何を言っているのか少しだって理解していない。

 なら、教えてあげよう。


「やぁ、どうも。やっと自己紹介をしてくれたのですね」


 そう言えば、彼女は目を点にして黙った。ぽかん。そんな擬音が相応しい間抜け面であった。

 本人以外の全員が笑っているのに。高校生の剛くん達ですら理解しているのに。


 皮肉を言われた事にも気付けない。


「あなた、何を言っていますの?」

「いや、だから。とても良い自己紹介でした。そこまで自己分析できているとは恐れ入ります。ただ、少しばかり長ったらしい」

「なっ――」


 若いなぁ、と。

 論戦に持ち込みたいのか、非難したいのかは分からないけれど、俺の鼻を明かす腹づもりなのだろう。

 残念だね。こちらには明かされる鼻も開かれる腹もない。なんせソロで非効率プレイを楽しめる真性のマゾヒストだぜ。若い女の子に嬲られるのなんか御褒美でしかない。


 さて。これ以上は付き合ってられない。まだ喋るつもりなら身をもって理解してもらう。


「わ、私に恥をかかせましたわね!」


 喋りやがった。馬鹿め。


 だから忠告してやったろ? タチミツさんの話を最後まで聞け、ってさ。間違ったもんは仕方ねぇ。頭が悪いのもしょうがねぇ。けど。


「相手のことを理解せずに喧嘩を売るのは――良くねぇよ」


 バリ、と床を鳴らす。“迅雷”で彼女の背後までひとっ飛び。目で追えたのは――三人。獅子丸くん、ティータンさん、“十二戦士”の知らない女性。


「3秒あれば、何ができるか教えてやろうか?」


 そっと首を掴めば、ヒィ、と弱気な悲鳴が聴こえた。

 静まり返る室内。ピンと張り詰めた空気。それを壊すのは俺の役目じゃない。


「ヘラ、あんた、センスないわね」


 ポイさんが笑って言う。さすがだ。


「あー、あれっすね。ヘラさん、芝居が下手っす」


 続けて獅子丸くんが無表情で。


「怒ったフリをするヘラ様も素敵ですわ!」


 ヨミさんはなぜか目を輝かせて。


「旦那、あんたはレディにも容赦しねーんだな」


 黒羽さんが煙草に火をつけて。


「あら、良い催し物だったじゃない。自らが証明してみせた、と言った方が良いかしらね?」


 その煙草を握り潰してザオトメさんが。


「さて。これで彼の自己紹介は済んだね。彼が我々にとっての矛の先端。現時点でトップのヘラくんだ」


 そうして、タチミツさんがまとめる。


 何でも良いが、さっさとイベントを進めたいのです。




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― 新着の感想 ―
[良い点] 恋愛要素がなくてとてもお話に入りやすい 主人公が大人だけあって敬語に違和感がなく自然なところも良い お互いに相棒と呼び合える関係も大好き
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