苺パフェともふもふ魔物
「そろそろ起きて下さい。」
「・・・ひゃっ!?」
「ぐっすり眠れたようで何よりです。おはよう。」
「おはようございます!」
この部屋には私とミナミさんしかいない。ナオコちゃんとオウギさんはもう身支度を済ませているのかな?にしても、全身が筋肉痛で痛くて起き上がれない・・・
「昨日ははしゃいでいましたものね。筋肉痛が痛いのでしょうか。」
「はい・・・」
見事に図星だ・・・
「なら、私が起こしてあげましょう。さあ、手を取って。」
「えっ!?」
結構勢いよく引っ張られる感覚と共に無事起き上がることが出来た。けれども今度は足が痛くて動けない!でも何とか自力でベッドから脱出成功。
「・・・ありがとうございます。」
「当然のことですよ。」
昨日といい今日といいミナミさんにいつも助けられてばっかりだなあ・・・
「そういえばナオコちゃんとオウギさんはどこに行ったのでしょう・・・」
「あの二人なら村に遊びに行っていますよ。あなたも行きますか?」
「私も行きたいです!あの・・・ミナミさんも一緒に行きませんか?」
「ええ。喜んで。」
・・・やった!誰かを何かに誘うなんて初めて!でもやっぱり借金もさっさと返済したいし家に帰りたいし・・・今日ぐらいは遊んだって良いよね。
よく考えるとミナミさんと二人っきりなんて初めて!?いや、そもそも友達と二人っきりで遊びに行くという事自体初めてなんだけど!どうしよう・・・沈黙が気まずい・・・やっぱり二人と合流するべきだったかな緊張するこんな時ってどう立ち回ればいいのか分からないよ・・・
「どうしたのですか?そんなに思いつめた顔をして。」
「うっひゅううあ!?」
「!?」
「あっあのこれはそのアレで・・・決して友達と二人で遊ぶのが初めてでなんて話せばわからないって思っていた訳では無いんですよ!?」
「・・・友達?」
「何か気になるんですか?」
「いえ、私の事を友達として扱ってくれる事自体珍しいなって・・・」
「ふぇ?」
「ああ、良いの良いの。こちらの話よ。そんな事より、このお店、行ってみませんか?」
「はい!そうしましょう!」
私達が向かった先はお洒落な雰囲気のカフェだった。
「いらっしゃいませー。二名様でよろしいですねー?こちらの席へどうぞー。」
店員さんに言われて着いた席は窓側だった。良かった・・・トイレの前とかじゃなくて。やっぱりミナミさんが美人だから窓側にしてくれたのかな・・・。
「へえ・・・思ったより品揃え豊富なのね・・・」
「もしかしてこういう所に行くの初めてなんですか?」
「ええ。恥ずかしいことに実はそうなの。だから行ってみたかったのよね・・・。夢が叶いました。」
「なんだか意外です。ミナミさんってこういう所にあまり興味無さそうだなって思ってたから・・・」
「よく言われるわ。」
意外と女の子らしい所あるんだなあ・・・。どこか近寄りがたかったミナミさんが可愛く思えてくる。
「ご注文は何にしますかー?」
「オレンジジュース一つお願いします。」
「こ・・・こちらの兎苺ラブラブパフェで・・・」
「かしこまりましたー。オレンジジュースと苺パフェですねー。」
「っ・・・」
注文したメニューの名前が可愛すぎる・・・!それに赤面までして・・・だめだめ、笑いをこらえないと!ミナミさんが頑張って恥ずかしい名前のメニューを読んだのに店員さんが略称を言ったなんて・・・面白くもなんとも・・・ある!
「ちょっと、私何かおかしなこと言ったかしら!?」
「ごめんなさい・・・!ミナミさんって何だか可愛いなって・・・!」
「照れるじゃないの!そんなにからかわないでよ!」
「ごめんなさい・・・!」
「笑っているんだか謝っているんだか!」
「お待たせしましたー。オレンジジュースと苺パフェです。」
「「ありがとうございます。」」
ジュース美味しいー!オレンジの程よい酸味がまだほんの少しだけ眠っていた私の頭を活性化させる。それと共に視界がより鮮明になる。ミナミさんは苺パフェを幸せそうに頬張っている。見ているとこっちまで幸せになってくるけれど、見られていることに気付いた途端頬を赤らめるのでより和んでしまう。
「「ごちそうさまでした。」」
「美味しかったですね。また食べたいです。」
「そうですね!」
「次は何処へ行きましょう・・・」
「こことかどうですか?」
次に入っていったのは魔物もふもふ所。可愛くて人懐こい魔物を沢山愛でる事が出来るらしい。
「キュ~!」
「キュッキュ!」
「キュキュキュ?」
「・・・!?」
「わあ・・・すごい好かれてる・・・」
ミナミさんの所にたくさんのもふもふ魔物が・・・でもこのままじゃミナミさん埋もれちゃうんじゃ!?でもなんだか幸せそうだしいっか!
魔物をたくさんモフった。
「可愛かった~!」
「そうですね。癒されました。」
「なんだか新鮮な気持ちです。普段は冒険者としての活動ばっかりでこういう時間は少なかったし、あったとしても中々輪に入れなかったので・・・実際、ナオコとオウギと組んだのは三日前ですし。」
「三日前!という事は全員知り合って日が浅いのかな・・・」
「いえ。あの二人は幼馴染だそうよ。」
「なるほど・・・確かに息ぴったりでしたよね!」
「そうね。私にもそんなパートナーが欲しいわ。」
「私もです!」
輪に入れないなんてこと、ミナミさんのような人でもあるんだ・・・割と意外かも。
「そろそろ宿に戻って二人と合流しましょう。きっと帰っているはずです。」
「えっもうそんなに時間が経っているんですか!?」
「いつの間にか楽しんでいましたね。」