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出来損ないの少女  作者: 入間
7/19

初めての討伐

あれ・・・このベッドってこんな寝心地だったっけ・・・というか家にベッドが無いからここは・・・

そう思って目が覚めたら宿屋で、昨日知り合ったばかりの三人の寝顔が見える。三人とも幸せそうに寝ている。私も思いの外深い睡眠がとれたようで、疲れが完璧に取れている気がする。今日は何でもできそう!もしかしたら冒険だって・・・冒険・・・できれば思い出したくなかったことを思い出してしまった。

昨日の約束のこと。お金を返すのは別に良いとして、それでなぜかナオコちゃん達とパーティーを組むことになったんだよね・・・恐らくエクナル中の制服を着ていたから冒険者志望だと思って誘ったのかもしれないけれど、それは勘違い中の勘違いなんだ・・・少し憂鬱に感じる。二度寝しよ。

「もう起きていたのですか。おはようございます。」

「おはようございます!」

二度寝しようと思い始めたまさかのタイミングでミナミさんが起きちゃった・・・そうだ、あのことを聞かないと。

「あの、宿代っていくらでしたか?」

「確か割り勘して一人610パケでしたので・・・大体1830パケですね。」

「1830パケも!?」

(説明しよう!パケとはこの世界の通貨で、1パケ大体10円だ!)

この宿屋は確かに部屋も綺麗だししっかりしたベッド四つあるしテーブルにいつの間にかおいしそうなパンが乗ってるし・・・比較的高級な宿っぽいので納得。だとしても結構、というかかなり高いかも・・・

「おっはよー!」

「あららー、もう起きちゃったのね・・・おはよう。」

「おはよう!」

「おはようございます。」

ナオコちゃんが起きた。多分私たちの話し声のせいかな・・・ちょっと反省。オウギさんも今起きたのかな?全員が起きたので仲良く朝ごはんを食べる。やっぱり冒険者なだけあって皆よく食べるんだなあ・・・。そしてオウギさんが時折ナオコちゃんにあーんしていてぶれないなあと思った。食べ終わったら歯を磨いて顔を洗って私服(私の場合は制服)に着替えて髪を整えて身支度完了!・・・あれ?断ろうと思っていたのになんで身支度済ませちゃったんだろう・・・

「「「「行ってきまーす!」」」」

「今日は壊滅しかけている村に出没したモンスターを狩りましょう。確かここから割と近いらしいですよ。」

「近いってどのぐらいですか?」

「10La程ですよ。」

(説明しよう!Laとはこの世界の長さの単位で、1La辺り大体100mだ!

「遠いじゃないですか・・・」

「おいおい、そんなんじゃ冒険者できないぞー?」

ナオコちゃん大当たり!私は冒険者できないから別の方法でお金を稼ぐよ!・・・と言いたいけど、流石に冒険ムードをぶち壊すような真似はしたくないな・・・

大体13分後、村の看板が見えてきた。

「はぁ・・・はぁ・・・」

「大丈夫かしら?」

「ぜぇ・・・大丈夫です・・・」

なんで皆こんなに体力あるの・・・私はもうへとへと・・・これじゃあモンスター討伐なんてできないよ・・・

「皆さんよく来てくれましたね!私はこの村の村長代理エリーです!皆さんは冒険者の方々ですか!ではこの村の食料を狙う雑魚を討伐してくださいねー!報酬は死体の数により変動します!それでは頑張ってねー!」

「「「了解しました!」」」

「りっ了解しました・・・」

エリーさん結構強引な人だなあ・・・村長代理って言っていたけど、村長さんはどんな人なんだろう?

村はそこまで広くはなさそう。食料目当てなら畑に向かいそうだな。作物を踏まないように待ち伏せしないと!

「きゅー!」

「ひゃっ!?」

緑色のまるくてかわいいモンスターに驚く!さすがに私でもやらないと思っていたけれど!だめ、このままじゃ襲われる・・・!

「そこっ!」

「!?」

ミナミさんの拳によりモンスターは粉々になった。彼女の手は緑色に染まった。

「ホナミ・・・あなた、もしや自分の戦闘スタイルが分かっていないのですか?」

「はい・・・実はそうなんです・・・」

すると間髪入れずにミナミさんが私に向かってとびかかってきた!?えっどうしようしかもこれ結構殺気を感じるやつ!こんな一瞬でよける事なんて私にはできないしあああもうどうしようこれじゃあまた怪我し・・・ていない!?いつの間にか私の髪がほどけていて、手は私を守るように固く伸びたリボンを握っていた。

「これは・・・!?」

「初めて見るスタイルですね・・・。ですが比較的良い動きでした。この調子で頑張って下さいね。」

「ありがとうございます・・・」

そっか・・・これが私のスタイルなんだ・・・ってことはこのリボンを自由に変形させる感じなのかな?試しにリボンの切れ味を鋭く伸ばして・・・

「えいっ!」

「ぷぎっ」

「すごい・・・」

そのリボンは私が念じた通りに動き、モンスターを倒すことができた。そして私は達成感と、モンスターを倒す気持ちよさを覚える。そこからは視界に入ったモンスターを手当たり次第に切り付けていった。

「楽しい!」

「おー!ホナミも頑張ってんなー!」

「私たちも負けていられないわね!」

「あの子・・・思ったよりやるじゃないですか・・・」

いつの間にか夕暮れ。村に入ってくるモンスターの頭数こそ少なくなったけれど、だんだん強くなっていくのを感じた。いつの間にか私の足は震え、頭がフラフラする。それでも皆がんばっているから私も頑張らないと!それに、せっかく貰ったチャンスは無駄にしたくないから!

「・・・!?」

また地面が頭に近づく。

「大丈夫ですか!」

「あっ・・・ミナミ・・・ちゃん・・・」

「ふふっ、初心者が休憩も昼食も全くとらずに魔物を倒し続けるからこうなるのよ。暫く休んでいて下さいね。」

「えへへ・・・そうしま・・・zzz」

体感30分後、私は起床した。ここは・・・ミナミさんの背中!?

「!?」

「意外と早く起きましたね。やはり私はおんぶが下手だったかしら?」

「いえいえ全然そんなこと無いですよ!?ありがとうございます!」

「寝ている間に死んでいたとか死んでも嫌でしょう?」

「結局死んでますよねそれ・・・」

「そろそろ帰りましょうか。あの子たちも大分疲れていたようですし。・・・おっと。その前に活動報告ですね。」

二人と合流してからエリーさんの所に向かう。

「皆お疲れ様ー!・・・んー・・・これじゃあ死体の数は確認できないから・・・はい!一人200パケに加え、この村のお店すべて無料にしちゃう!いわゆる顔パスってやつですよ!」

「「「「ありがとうございます!」」」」

確かに今日討伐したのはゼリー状のモンスターがほとんどだったから死体の数えようがないよね・・・と思いつつ、所持金を見て心の中でガッツポーズをする。残り借金1630パケ!この調子で頑張るぞー!・・・あれ?冒険が嫌だったはずなのに・・・楽しんでる?

そんなことを考えていたら村の宿に着いた。

「っはー!ベッド気持ちいいー!」

「埃が飛ぶのでやめてください。」

「ごめんごめん・・・」

「そろそろご飯の時間にしましょうか。」

「そうね。」

村から支給されたおにぎりを頬張る。おにぎりってこんなにおいしかったっけ・・・それから一人ずつお風呂に入る。宿にあったパジャマに着替えて歯を磨いたあと、私は倒れるように寝た。

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