賑やかな宿
「おい!起きろ!」
「可愛い子ちゃん起きてー!」
「ちょっと二人とも、そんなに揺さぶらないの。」
元気な少女の声と、穏やかな女性の声と、落ち着いた淑女の声がする。私の周りに三人いる・・・?どれも聞いたことがない声。けれども聞いててなんだか安心するけど安心しちゃ駄目な状況だこれ。あんまり心配させないように起きないと・・・
「おはようございます!助けてくれてありがとうございました!」
「ふぎゃっ」
「ひゃあああ!!ごめんなさいごめんなさい決して悪気は無いんですただちょっとなんていうかその・・・ごめんなさい。」
私が起きた拍子に私から向かって一番左のちっちゃい子が吹き飛んじゃった・・・そんなに勢い良く起きちゃっていたんだ・・・慰謝料寄越せとか言われたらどうしよう・・・しかもおはようございますとか言ったけれど窓の外がっつり夜じゃん!
「お前そんなに元気になったのか!良かったぞー!」
「ふぇえ!?」
意外と気にしていなさそうだし良かった・・・まあその子は近接職っぽいし吹き飛んで怪我するような感じでもなさそうだし良いか・・・
「生きてて良かった・・・初対面の三人と一緒に居るのは不安でしょう。自己紹介でもしておきませんか。私はミナミ。予言者兼プリーストをやっております。よろしくお願いします。」
「私はナオコだ!剣士だから剣のことならお任せあれだ!よろしくな!」
「私はオウギよ。見ての通り魔法使いだわ。仲良くしてくれると嬉しいわ!」
個性的な方々だなあ・・・しかも何かいい匂いだし溶けちゃいそう・・・
「ふにゃ・・・」
「ちょっと大丈夫ですか?無理せず休んでもよろしいですよ。」
「ミナミは相変わらず堅苦しいわね・・・ナオコちゃんを見習ってもうすこしフランクに振舞っても良いんじゃないかしら?」
「だだ大丈夫ですよ!ちょっといい匂いだなーって・・・あはは・・・」
うう・・・初対面の人にいい匂いだなあって完全にセクハラじゃん・・・かなり申し訳ない気持ちに罪悪感が重なってもう穴があったら埋まりたい気持ちになってくる。しかも皆年は私と同じくらい、ナオコちゃんに至っては外見も相まって小学生ぐらいにも見える。私は職業おろか卒業すら難しそうなのに・・・
「私はホナミです!職業はまだありませんが・・・よろしくお願いします!」
「ホナミちゃん!見た目も名前も可愛いなんて!疲れたなら私の膝枕で休んでいくと良いわ!」
「ヒェッ」
オウギさん積極的過ぎて私には少々刺激が強すぎるというか何というか・・・でも私の事を可愛いって思ってくれるのはうれしいかも・・・
「あーオウギの悪い癖が出たか・・・こいつはちっこくて小動物みたいな奴に目がないんだよ。ごめんなホナミ。」
「いえいえ別に良いんです良いんですよ!」
「オウギに襲われそうになったら言えよ?」
「んもう、お姉さんをエロオヤジみたいに言わないのー!そういうナオコちゃんだって愛で尽くしてあげるからー!」
「そういうのいいんだよ!」
「悲しいわ・・・しくしく・・・」
「うわあああ私が悪かった!だから泣くな!なんでもするから!」
「うふふー、今なんでもするって聞こえちゃったわー?」
「やっぱなかったことにしてくれー!!」
「・・・騒がしい者達で本当にすみません。」
「大丈夫です!」
「それなら良かった。」