【9】私、魔剣でスライムを3匹も倒しちゃいました。でも、なぜか第4魔王はご立腹のようです。
《まえがき》
英玲奈は第4魔王をうまく騙して、2回目の異世界転移を・・・。
今度は魔物退治です。最弱のスライムですが。
現在までの主要登場人物
吉野英玲奈 主人公(高校2年生 17歳)
五十嵐静香 第4魔王(今は第4使徒という事になっている。)
御影桐子 序列7位の最上級悪魔(英玲奈の中では天使、という事になっている。)
魔剣を貰って、テンションマックスの英玲奈。
すぐに使ってみたいという一心で、何やら妙案を捻り出そうとしているようです。
ひとつの事だけを考えちゃだめ、いくつも同時に考えるのよ。
「さてと、次は・・・。」と、第4魔王。
「英玲奈、あなた思考が支離滅裂になって来たわよ。大丈夫?」
よし、いけるかも知れない。
「ちょっとテンションが上がってしまって、でも大丈夫です。」
と、言葉で答える英玲奈。
思考を読まれないために、同時にいくつも事を考え、相手を混乱させる・・・。
なかなか器用な事をやってのける英玲奈。
聖徳太子でもない限り、私の本当の考えはバレないわ。
そして、伝えたい事は、言葉を発して伝える。
これで、完璧ね。
「そう、それならいいけど。」
「あのう、魔物を倒す訓練も必要だと思うんですけど・・・。」
「弱い魔物なら今の私でも、倒せるんじゃ?」
「そりゃ、弱い魔物なら何とかなるでしょ。」
「なによ。いきなりしゃべりだして。」
「まさかあなた、もう一回異世界に行かせろと、言うんじゃないでしょうね。」
「だめよ、今日の桐子はもう限界、これ以上は無理よ。」
「いえ、違うんです。時間連動せずに、私一人で行って、チョコチョコっと訓練して帰って来るんです。」
「だめよ。それじゃあなたの安全を確保できない。」
「じゃ、静香さんか桐子さん、どらかが、私の安全のために同伴するっていうのはどうしょうか?」
「だめよ。異世界にはあなた一人で行くのよ!」
「でもそれって、かなり矛盾していると思うんです。」
「今は私一人で行ってはいけない、安全を確保できないから。これ、少しおかしいですよね。」
「安全を確保できるのは、一日に5分間だけ。5分で訓練なんか出来ないですよね。」
「もちろん、静香さんがサポートしてくれると言うんなら、24時間大丈夫ですけど。」
第4魔王の急所を突いていく英玲奈。
「一日に5分間だけなら、レベルを上げるなんて不可能と思うんです。」
「静香さんがサポートしてくれたらなぁ、十分訓練できるのになぁ。」
第4魔王の急所をぐいぐいと突いていく・・・。
「嫌よ。疲れるから、絶対にイヤ!」
「じゃ、訓練の時だけ、私に誰か護衛を付ける。という事を主さまにお願い出来ないでしょうか?」
「そうしないと、このままではいつまで経っても、私はレベル0のままです。」
「魔王を倒すどころか、異世界にも満足に行けません。」
ここからが、肝心なところ、主さまの許可を貰って既成事実を作っておくのよ。
頑張れ、私。
「それって、私に主さまの許可を取れってこと?嫌よ。」
「主さまの不興を買ったらどうするのよ。嫌よ。」
「いえいえ、違うんです。許可が欲しいと言っているのは私で、静香さんじゃありません。」
「静香さんは英玲奈のアホがこんな事を言っていますと報告するだけでいいんです。」
「このままでは、目的の達成は不可能です。それでは静香さんも困るでしょう?」
「私、静香さんを困らせたくないんです。」
「どうでしょう?」
巧妙な誘導に嵌ってしまった、案外、御し易すかった第4魔王。
「うーん・・・。」
考え込む、第4魔王。
「わかった、一応報告してみる。」
一瞬、静香さんの位置が少しずれた。
「意外と簡単に許可が出た。」
これが異次元転移かぁ。想像していたよりはるかに凄い。
「ついでにガチャの事も少し聞いてきた。」
「『面白そうだから、ちょっと作ってみた。』だそうだ。」
「レベルはやっぱり使用すると上がるそうだ。詳しくは教えてくれなかった。」
「『とにかく楽しんでもらえれば良い。』という事だ。」
しゃべる口調がいつもと全然違う静香さん。
やっぱり、主さまと話をした後ではこうなるんだ。
「かなり疲れた。悪いが10分間だけ休ませてもらう。続きはその後だ。」
「桐子、コーヒーを頼む。」
「承知しました。」
ソファで、一息つく静香さん。あっ、栄養ドリンク飲んでる。
本当に別人になったみたい、どっちが本当の静香さんなんだろう?
私も疲れたぁー、思考を複雑にするってメチャクチャ疲れるぅー。
今日はもう普通に戻そう。
「あのぅ、桐子さん、私もコーヒーを頂いてよろしいですか?」
「承知しました。」
15分くらいが経過した・・・。
ちらっと、静香さんをみて見る。
そろそろいいかな、異世界行きたいな。
「そうね、そろそろ行くかな。」
「あなた思考の混乱がもどったようね。頭の中異世界だらけよ。ゲンキンな子ねぇ。」
静香さんも通常営業に戻ったぁ!
「誰が通常営業なの?」
エヘ。
「何がエヘよ。」
「その前に、あなたのその格好を何とかしないとね。」
「そのままで、行くつもり?」
上は薄手のセーター、下はジーパン、靴は、あっ、スリッパだった。
「さっきはそれでも良かったけど、靴は履かないとね。」
「これ、使いなさい。」
靴とジャケットが出てきた。
鑑定すると、
-----------------------------------------------------------------
鑑定結果
靴(軍靴仕様)
普通の靴に似せていますが、軍事用です。
革のジャケット
普通の革のジャケットですが、防護力を強化されています。
-----------------------------------------------------------------
二つ同時に鑑定できた。
身に着けると、
「転移先はさっきと同じ所、あそこはスライムの棲み家なの。」
「スライムの獲得ポイントは、1匹10ポイント。相手のレベルが高ければもう少しあるわよ。」
「とにかく、10匹倒したら、レベル1になれるわ。」
「桐子、あなたも行くのよ。」
「承知しました。」
「じゃ行くわよ!」
さっきと同じ森に着いた。
「桐子、索敵!」
「半径20m以内、何もいません、30m以内3匹、40m以内8匹、60m以内22匹。」
「桐子、30m以内の3匹を呼び寄せて!」
「承知しました。到達まで、約3分!」
「英玲奈!準備!」
私は神経を集中して、落とさないように日本刀の魔剣を取り出した。
「バカね、鞘ごと出してどうするのよ。戦いに邪魔でしょ!」
「やり直し!」
「来るわよ。急いで!」
何とか刀身だけ出して、両手で握り、構えた。
「何それ、右手と、左手が逆、あなた右利きでしょ。」
「もういい、そのまま、向かってくる1匹目を突いて!」
がむしゃらに1匹目を突くと消えた。
「2匹目が来るよ、手を持ち替えて、右と左の間隔を少しあける!」
「今度は横に払って切る!」
えっ、えっ、横に払う?
「えーいもう、さっきと同じ、突く!」
「3匹目も突く!」
スライムを3匹倒せたぁ!やったぁ!
「一度帰還する!」
えっ、どうして?
《あとがき》
帰ったら、間違いなくダメ出しを食らいそうな英玲奈。
せっかく第4魔王を陰謀にかけて、魔剣を使う機会を得たのに・・・。
これから、どうなるのでしょうか?
ご期待ください。
現在までの主要登場人物
吉野英玲奈 主人公(高校2年生 17歳)
五十嵐静香【種族】人類(第4魔王、今は第4使徒という事になっている。)
御影桐子 【種族】悪魔(最上級悪魔 序列7位、英玲奈の中では天使、という事になっている。)
面白いと思われましたら、ブックマークをよろしくお願いいたします。
広告の下のポイントも入れていただけると、とっても嬉しいです。
感謝感激いたします。