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アンフェア・リアリティ  作者: 東師越
第3章 もう一度だけ会いたかったんだ
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行間 七瀬俊史、そしてオリバー・グリフィス

 フルダイブ型VRゲームは実現不可能と呼ばれる代物だった。


 それを題材にした漫画やアニメを好んで読んで観ていたが、好き故に疑問に思う部分が幾つもあった。


 何十時間もダイブしていて排泄はどうしているのか、ずっと寝ていて運動能力の低下は社会問題化しないのか、VR酔いがあっても即座に販売停止とならないのか。


 フィクションにあれこれ言うのは間違っているとは思うが、実現したいと願う私はそういった壁と立ち向かわなければならなかった。


 しかしあの未曾有の大災害のせいで世界全体の科学力が異能力(ディナイアル)方面に一極集中し、夢はさらに遠ざかる事となった。




 だが、私の不壊の壁を打ち破ったのは異能力(ディナイアル)だった。






 クレア様の動向に大きな変化があったのは、2069年のある日。


 いや、正確にはその5年以上前から不穏な動きを見せていたのは分かっていた。


 彼女はこの腐った世界を浄化し、愚民共から忌まわしく魔女から新たなる世界の女神へとなった。


 なのに死を望んでいる? 笑わせるな、彼女がいない世界など虚無に等しい暗黒だ。彼女無しで成り立つほどの崇高な輝きは皆無だ。


 老い先短いこの体で出来ることは限られるが、今一度この俺が正すべく動くほかに無い。




 クレア教は、クレア=ブラッドフォルランス無くして世界の均衡を保たれる世界を否定する。






 その者達と手を組むことは確かに躊躇った。


 しかしその者達以上に、私の理想を叶えるための応援をしてくれる者はいないと判断した。


 今は窮屈なカプセルに眠っているこの子も、今再び目覚める最後の機会を得た。


 最期に、こんなわがままなジジイを許してほしい。


 私を救い、私を支え、私を作り上げたあの日の思い出を過ごすために君ともう一度──






 ──もう一度だけ会いたかったんだ。

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