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灰色猫とちびあるじ

はじめての狩り

作者: 昼行灯

澄んだ水がサラサラと流れる小川のほとり。


キラキラと光る水面(みなも)を、じっと見つめる灰色猫。


その灰色猫のユラユラと揺れる尻尾を、チョコチョコと追いかけるちびあるじ。



灰色猫とちびあるじは、いつも一緒です。



たしっと、灰色猫の尻尾を捕まえたちびあるじ。


そ~っと、もう片方の前足を持ち上げたところで、サッと尻尾に逃げられてしまいます。


「みゃ!」と小さく鳴き、またチョコチョコと尻尾を追いかけます。


しばらく尻尾との追いかけっこをしていたちびあるじ、飽きてしまったようです。


よじよじと、灰色猫の背中によじ登ります。


ごろごろと灰色猫の背中でひとしきり暴れまわった後に、ぺろぺろと毛繕いを始めます。



キラリ! と灰色猫の目が光った瞬間。パシッ! とその手が閃き、水面から魚が弾き飛ばされます。



狩りに成功した魚を咥え、眠ってしまったちびあるじを器用に背中に乗せたまま寝床に帰る灰色猫。


今日の夕飯は、取れたての魚と木の実です。


すやすやと眠るちびあるじの頭をひと舐めして起こします。


パチッと目を開けたちびあるじに「にゃあ!」と鳴き、食事にしましょうと声をかけます。


「みゃぁ!」と一声鳴き、ちびあるじがチョコチョコと食卓にやってきます。


スッと、取れたての魚をちびあるじに差し出すと。


両足でずりずりと魚を押し戻し、木の実を咥えて灰色猫のとなりに座り、かりかりと齧りだします。


困った事に、あるじさまが食べるのは木の実ばかりです。


灰色猫は、そんなちびあるじの頭をぺろっとひと舐めし取れたての魚をいただきます。



灰色猫は考えます。あるじさまにも狩りの楽しさを知ってもらおう!


狩りの特訓開始です。


どんな特訓がいいだろう?


カサカサカサ!


たし!


ちょうどいい獲物を捕まえました。


この黒い生き物は、すぱしっこくってなかなか死にません。狩りの練習にもってこいです。


ぱくっと咥えちびあるじのもとへと急ぎます。



すやすやすや、ちびあるじは夢の中です。


もぐもぐもぐ、あまーい木の実を口いっぱいに頬張る夢を見ています。



てしてし! 頭を優しく叩かれます。


目を開けると灰色猫が何かを咥えてこちらを見ています。


「みゃ...!!! みぎゃ!!!!!」


ちびあるじが凄い勢いで飛び退きます。狩りの才能ばっちりです!


パカッと、口を開き咥えていたモノを落とします。


ビクッ!!! とちびあるじが固まります。狩りの緊張感がばっちりです!


カサカサカサ!


「み、みぎゃぁぁぁああああああ!!!」


凄い勢いで逃げ出すちびあるじ。それを追いかける黒い生き物。


あるじさま、逆です。逃げるのと追いかける立場が逆です。


「みぎゃぁぁぁああああああ!!!」


あるじさまが、灰色猫のお腹の下に逃げ込んできます。


パクッとちびあるじの首根っこを咥え持ち上げます。


あるじさま、あるじさま、逃げてはダメです立ち向かうのです。


ブーン!


黒い生き物がちびあるじに向かって飛んできます。


「みぎゃ! みぎゃ! みぎゃぁぁぁぁ!!!」


暴れだすちびあるじ、やる気満々です!


ブーン! ピタッ!


「み、きゅぅ...」


気を失ってしまうちびあるじ。


残念、狩りは失敗です。






その後、灰色猫はちびあるじに、無言で頭をてしてしと子一時間叩かれました。


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