青との別れ
散々泣き散らしたあとスッキリして辺りを見渡す、桜黄がこちらを見ていた。
「久しぶりー……」
自分の感覚では1日にも満たなかった気がするが後で聞くと18日間もたっていたと言う、もう葬式も新一年生の入学式も終わって、学校が始まっていた。
親の死に目にも会えないどころか自分の葬式にも立ち会えないとは。
桜黄は「おう」と一言走り出した。
私は置いていかれまいとひたすら話しかけながらついて走った。
しかし、少し変なことに気がついた3回に1回は私の話が聞こえないのか反応を示さなかった。
だとしたら桜黄には声は聞こえず口の動きかたでそう返事した可能性が高くなった。
しかしどんどん聞こえにくくなっていきしまいにはなにも聞こえないのか私を置いて走っていってしまった。
そう言えば桜黄は部活は真面目に取り組むタイプだから私とかのことは後回しにする傾向があった。
それに気がつき私は追いかけるのをやめた。
辺りには暖かそうな風が吹きその風は桃色の桜の花びらを、遠くに飛ばしていた。
それを見ながら私はふと、眠くなるような感覚を覚えた。とても心地の良い暖かな感覚、それに身を任せ目を閉じると数えるまもなく意識は闇の中へと幕を閉じた
【21日目】
目を覚ますように意識を取り戻した。
どうやら場所はいつもランダムらしく今回は家の中だった。
しかし自分の家ではなく何となく見覚えのある一人用のベットとテレビが置いてある部屋だった。
テレビが今日の日付を告げている。
(21日前回の二日後…)
ふと鈴のおとがした、驚いて音のした方を見ると白い子猫が座っていた。
その後すぐにこの部屋の持ち主が扉を開けて帰って来た。
青ちゃんだ、青ちゃんは猫を撫でながらまだ眠たそうな瞼をこすり、コーヒーを一口飲んだ。
しかし私に気がついた様子はなく猫と戯れ始める。
どうして良いかわからなくなり、私は声をかけた。
「青ちゃん楽しいかい。」
驚いたようすで辺りを見渡す青ちゃん、どうやら声は聞こえるようだ。
「濃緑、何処にいるの、もう私には見えなくなっちゃったよ。」
泣きそうな声で青ちゃんは猫とじゃれていた手を止め探し始めた
「うん、わかってるよ」
正直私も目の前に出たかったがそれさえ叶わない。
「もうそろそろなのかもね私達。」「…」
彼女も気がついていた。
「いろんな思い出があったよね、修学旅行とか、ゲームセンターに遊びに行って先生に見つかったときとか」
「…あれ先生が怒ってたよ」
「うそっ、謝っとこう。……」
「そうした方が良いよ。」少しクスッと青ちゃんは笑った。
「あと…あとさ離れていても親友だからね。」
「うん…ありがとう。大好き」泣きそうになるのを我慢し私はお礼を言う、だんだんと意識が遠くなっていく中、泣いている青ちゃんにどうしようも出来ない不甲斐なさに後悔を抱きながら闇へと意識はまた溶けていってしまった。