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プロローグ

 都内の某高校。

 門を入り正面に位置するピロティと呼ばれる空間は、すきま風が絶えないためなかなか人の姿は拝めない。

 しかし今日に至ってはそこで何やらイベントがあるようで、興味を持った生徒たちがひっきりなしに集まってくる。

 野次馬が囲うかたちで見物していたのは、互いに見つめ合う男女のようだ。


 「じゃあ、いくぞ」

 「う、うん…」


 野次馬たちは息を飲む。その瞬間、男は女の顔に近づき、自らの唇を女の唇を触れさせる。

 その状態で沈黙が流れ、五秒ほど経ってから男が女から唇を離すと、野次馬たちがその場で歓喜に沸いた。


 『うぉー、やった!』

 『常森・堺カップルの公開キスだ!』


 さかいと呼ばれている女は顔を真っ赤にしながら、野次馬たちのなかにいた友達の肩に身を寄せる。

 一方、常森つねもりと呼ばれている男はそっけない態度でその場を離れようとする。そこですかさず彼の親友、富永とみながが止めにはいる。


 「おいおいどうだった、初めてのチューは?」

 「…別に」


 野次馬たちは、獲物を食らい終えたハイエナの如くピロティから散っていく。そのなかで一人、うつろな目で常森を見つめる女生徒を除いて…。


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