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親友を嫌いになった


 俺の親友は、自然を何より愛してる。何より森が好きなんだ、だから俺らは出会えた。俺は平民だが、あいつはここの貴族だ。あいつはほんと自由で、自由で……。

 多分、俺はあいつが、多分羨ましいんだ。今、俺の感情をはっきりと断言できないけど、今俺はあいつに会いたくない。嫌になっちまったのかな、全部もってるあいつが。それか、何も持ってない俺が嫌になったか。


「にいちゃん、今日は外行かないの?」

「行かないよ。森、飽きたんだわ。」

「あんなに毎日楽しみにしてたのに〜。」


 俺の弟は外に出かけた。きっと友達に会いに行くんだろう。俺は、友達と会う約束をすっぽかしてここにいんだ。情けない、嫉妬だけで。恨めしいよ、金持ってて、己をしっかり持ってて、行動力がある。……許嫁だっている。優しくて、愛嬌もある、魅力的な。俺なんかと比べちゃいけねぇ、存在。


「……もう俺、あいつと居たくねぇよ。あいつと一緒にいると、息が詰まって死にそうなほど苦しい。」


 胸を握りしめた。辛い、なんで辛いか分からなくてもどかしい。どんな言葉も当てはまらない。



 夕暮れ。

 意味もないのに窓を見て過ごしてた。あいつがもしかしたら来てくれるかもって。俺がどこに住んでるか、あいつがどこから来たのかまだお互いにわかってねぇのに、馬鹿な考え。

 ガキの頃から、十年間近くずっと、お前という親友を誰よりも好きだった。ずっと思ってた、お前以外最高の友達なんていねぇと、……今の俺はお前のことが嫌いだけど。


 ドアが叩かれた。弟だ、今日は帰ってくんの遅かったな。


「にいちゃん?」


 ドアを開けると、予想通り弟が立っていた。俺の顔を見て、そんな心配そうな顔をすんな。俺今そんなに酷い顔してっか?


「なにか、悲しいことがあったの?友達喧嘩したの?」

「なんもねーよ、眠いだけだ。」

「そーなの?……ならいいけど。」

「川行って、目覚ましてくるわ。」

「え、でも、寝た方がいいよ?」


 弟の肩をトントンと叩いて、俺は外に出た。

 罪悪感が凄かったんだ。優しいあいつを、裏切るような真似しちまって。……嫌われたくない。


 だから、意味は無いけど、いつもの待ち合わせ場所に向かった。居て欲しいとは思ったけど、俺は信じてはない。って、……信じてる。


 もう太陽の体は半分しか残っていない。空の赤が消える前に、俺は帰らなきゃ。だから、走るしか無かった。走って、とりあえず走ったそれは、意味のない足の疲労。


「……遅せぇよ、ディラン。」

「ライリー……?」


 目的地に着いた。

 目の前には俺の親友のライリーが居る。待ってたんだ、ずっと俺の事を待ってたんだ。お前にはうんざりだよ……どうしてそんなに良い奴なんだよ。少しくらい、俺のことを裏切れよ。


「……ごめん、ライリー。」

「謝ったって許さねぇーよ。」

「そうしてくれ。……ったく、お前は嫌になるほど良い奴だな。」


 ライリーの目を見た。瞳の奥の優しい光も、俺を見ていた。


「お願いがあるんだ。」

「なんだ。」

「俺と縁を切ってくれ。」

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