表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ワールドリフォージ(世界の理は、一生懸命なドジっ子AIでした)  作者: S.フォージ
【第1章】 輝く日常と、インベントリに潜む『規格外のドライバ』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/46

【第1章】第2話:高輝度(HDR)すぎる妹と、課金必須のパッチ

名前が決まったので、意気揚々と食堂へ。

しかし、そこで待っていたのは、、、

【第1章】第2話:高輝度(HDR)すぎる妹と、課金必須のパッチ


 腹が減ってはデバッグはできぬ。

 俺は部屋を出て、ギシギシと鳴る階段を降りていった。


 この宿は「王都の最安値」という設定らしい。

 階段は薄暗く、壁には謎のシミがあり、全体的にじめっとしている。

 まあ、これくらいの枯れた雰囲気も悪くない。


 だが、一階の食堂に近づくにつれて、俺は異変を感じ取った。


「……なんだ? 朝から溶接作業でもしてるのか?」


 食堂の入り口から、尋常ではない光が漏れている。

 薄暗い廊下とのコントラストが強すぎて、網膜がチカチカするレベルだ。

 俺は目を細め、恐る恐るその「光源」へと足を踏み入れた。


「――お兄様! こちらですわ!」


 光の中心から、鈴を転がしたような可愛らしい声が聞こえた。

 声の主を探そうとして、俺は即座に後悔した。


「うおっ、眩しっ!!?」


 俺は反射的に腕で顔を覆った。

 なんだこれ。太陽か? いや、核融合炉か?

 窓際の席に座っている「何か」が、物理的に発光している。

 逆光で顔が見えないどころの騒ぎじゃない。

 その存在の周囲だけ、輝度ブルーム設定がバグっている。

 動くたびにキラキラと過剰な光の粒子パーティクルが舞い散り、薄暗い安宿の食堂をクラブのダンスフロアのように照らし出していた。


『あぁ……ジェマ様が「誰よりも輝いていなければならない」と仰って、発光パラメータを限界突破オーバーフローさせたようです』


 脳内でゼノンが申し訳なさそうに解説する。


「物理的に輝かせてどうする! HDRハイダイナミックレンジ合成の失敗例か!

 周囲の客を見てみろ、全員目を背けて食事してるじゃないか!」


 文句を言っている間にも、俺の視神経は悲鳴を上げている。

 このまま直視すれば焼き切れるのは時間の問題だ。サングラスなんて洒落たものは持ってない。

 どうする? 目を瞑って会話するか? いや、それは失礼すぎる。


 俺はエンジニアらしく、手持ちのリソース(機能)で解決策を探る。

 半透明で、視界を遮ってくれて、減光効果がありそうなもの……。


「……あ、あるな」


 俺はルナの方を向き、心の中で強く念じた。


(ステータス・オープン!)


 シュン、という効果音と共に、視界に半透明の青いウィンドウが展開される。

 俺はそのウィンドウを、まるで盾のように顔の前にかざした。

 ステータス画面の背景色ダークブルーが、絶妙な「NDフィルター(減光フィルター)」の役割を果たしてくれた。


 ――完璧だ。

 フィルター越しに見るルナの姿が、ようやく鮮明になる。

 銀色の長い髪に、宝石のような碧眼。整った顔立ち。

 リアルで見ると、破壊力(と輝度)が段違いだな。


 と、ウィンドウの端に表示された「対象詳細ターゲット・インフォ」に目が止まった。

 俺の視界にある「ルナ」のパラメータが、自動的に解析・表示されているらしい。


 【ルナ】

 クラス:勇者(救世の聖女)

 加護:女神の寵愛(限界突破)

 特徴:光り輝く美貌、神聖な雰囲気


「……これかぁぁぁ!!」


 俺はウィンドウ越しに叫んだ。

 原因は、そのふざけたテキストデータだ。

 

 

 

 ****光り輝く美貌****

 

 

 

 


「…いや、普通は比喩だろ!?

 『笑顔が素敵』とか『内面から溢れるオーラ』とか、文学的な表現として受け取るだろ!

 なんで『文字通り(リテラル)』に解釈して実装しちゃったんだよ!」


『ジェマ様はピュアなので、言葉のコンテキストを読む機能が実装されていません!

 「光り輝く」と書いてあれば、光らせるのが仕様です!』


「なんて融通の利かない物理エンジンだ……!」


 俺は呻き、ウィンドウ越しに安堵の息を吐く。

 とにかく、この「盾」さえあれば会話は成立する。

 だが、ルナの反応は予想外だった。


「お兄様? その……お顔の前に浮かんでいる『青い板』は、何ですの?」


 ……ん?

 俺は動きを止めた。

 今、「青い板」って言ったか?


「……おいゼノン。GMゲームマスターコールだ」


『はい、マスター。何でしょうか?』


「まさかとは思うが、このステータスウィンドウ、他の人間(NPC)にも見えてるのか?」


『はい! ジェマ様のこだわりで、「近未来的なUIが空中に浮かぶとかっこいい!」という演出プランにより、全プレイヤーのUIは「物理的に可視化」されています!』


「カッコいいとかどうでもいい! 世界観が崩壊してるだろ!」


 俺は脳内で机をバンと叩いた。

 ファンタジー世界の住民が、突然現れたホログラムウィンドウを見て「あ、ステータスですね」とはならない。

 これは「魔法」なのか「技術」なのか、説明がつかない異物はノイズにしかならない。


「ゼノン、今すぐ仕様変更だ。UIに『不可視属性インビジブル』を付与しろ。ユーザーにだけ見えていればいい」


『そ、それが……できません』


「は? さすがにこれはバグだろ?」


『この世界の基本法則ソースコードを書き換えるには、膨大なエネルギーが必要なんです。

 具体的には、**「リフォージポイント(RP)」**が必要です』


「なんだそれは」


『この世界を観測する「高次元の存在(読者様)」からの「評価」や「期待」を数値化したものです!

 世界を面白くする、感動させる、あるいはバグを直して快適にする……そういった行動でRPが溜まり、そのポイントを消費することで、初めて世界のルールを書き換えられるのです!』


 なるほど。

 つまり、ただのデバッグ作業じゃない。

 「魅せるプレイ」をしてポイントを稼がないと、バグ修正パッチすら当てられないというわけか。

 なんてシステム……いや、やりがいのある仕様だ。


「で、今の俺のRP残高は?」


『ゼロです! まだ何もしてないので!

 ちなみに「UI不可視化パッチ」の適用には、500RPほど必要です』


「……詰んだな」


 俺は諦めてため息をついた。

 今は恥を忍んで、この「可視化された謎の板」を使い続けるしかない。

 目の前の光害ルナを防ぐには、これしか装備がないのだから。


「お兄様? もしもし?」


 ルナが不思議そうに小首を傾げている。

 俺は必死にポーカーフェイスを作り、もっともらしい嘘をついた。


「いや、ルナ。これは……そう、俺が編み出した『遮光結界』だ。

 お前の輝きがあまりにも眩しいからな。こうでもしないと、愛する妹の顔も見られない」


「まぁ! 私のために、そんな新しい魔法を……! 素敵ですお兄様!」


 チョロいな、妹よ。


「お兄様……でもそんなに真剣な眼差しで見つめられると、私、照れてしまいます……」


 違う。俺が見ているのは君の顔じゃなくて、その横に浮いているふざけたステータス記述だ。

 だが、ルナのテンションは上がってしまったらしい。


「お兄様の視線を感じて……私、もっと頑張れそうです!」


 ボッ!!!


 ルナが嬉しそうに微笑んだ瞬間、光量が倍増した。

 青いウィンドウの遮光性能を、圧倒的な光の暴威が貫通してくる。


「ぐあああっ!?」


 視界がホワイトアウトする。

 ダメだ、この子もジェマと同じで「加減リミッター」を知らない。

 俺は涙目になりながら、青いウィンドウを閉じた。これ以上は無駄だ。


「くそっ……まずはサングラスの調達と、RPポイント稼ぎからか……」


 こうして、俺のフォージ(世界改変)の第一歩は、

 「魔王を倒す」ことでも「世界を救う」ことでもなく、

 「妹の輝度を下げるアイテムを探す」ことから始まることになった。

「ステータス画面が他人にも見えちゃう問題」、地味に大ピンチです。 これを直すには**「リフォージポイント(RP)」**が必要……。


そして、このポイントは**「高次元の存在(読者様)」**からの評価で溜まります。


もし、「この世界のリフォージを手伝ってやろう」と思っていただけたら、 **【ブックマーク】や【下の評価(★★★★★)】**をポチッとしていただけると、フォージのRPが増えて、ルナの輝度が調整できるかもしれません!


次回、いよいよチート能力(?)ゲット回です!お楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ