表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ワールドリフォージ(世界の理は、一生懸命なドジっ子AIでした)  作者: S.フォージ
【第2章】 実測試験(ベンチマーク)の果てに待つ、予期せぬ『強制終了』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/46

【第2章】第1話:ブリーフィングルーム

第1章と第2章の幕間。

ここは世界の裏側、「ブリーフィングルーム」。

フォージとゼノンが、限られたリソースで「詰み」を回避するための、シリアスな作戦会議を行います。


 気がつくと、俺は再びあの「無」の空間に立っていた。

 地平の果てまで広がる、眩いほどの白。

 第一章を終えた俺の意識が、次章へ進むためのインターフェース――ブリーフィングルームへと強制的に同期されたのだ。


「フォージ様、同期完了しました。現在、世界設定マスタデータへの介入権限が一時的に開放されています」


 脳内に響くゼノンの声が、いつもより冷徹に、そして厳かに響く。

 視界には、複雑に絡み合う光の幾何学模様と、それを取り巻く無数の「数字」が浮かび上がっていた。


「……ゼノン、この浮遊している数値は何だ? 以前はなかったはずだが」


「これらは『高位の存在ユーザー』からの観測データです。この世界を観測する者たちの評価が、直接的なエネルギーとして変換されています」


 ゼノンが指し示した先には、ホログラムのインジケーターが明滅していた。


 ・ビュー(観測数):1,24

 ・レビュー(評価):8

 ・コメント(思念):2


「……少ないな。エンジニアとして言わせてもらえば、このリソース量で本番環境を回すのは心許ない」


「左様です。現状、こちらから提供できるポイントは依然として不足しています。内訳を解説しますと、第一章における『三神インストール』の達成報酬が100。アドリブによる『システム安定化』のボーナスが180。そして先ほどの観測データからの変換分が20。合計して、現在保有しているのは『300RP(世界改変ポイント)』のみです」


 300。神々をねじ伏せ、観測者たちの注目を集めてようやくこれだけか。

 俺はこの貴重なリソースをどう使うべきか思考を巡らせる。

 真っ先に修正すべきは、あの「光源」だ。


「ルナの『物理発光』を削除したい。あの設定そのものをデリートするには、何ポイント必要だ?」


「確認します。……個体名『ルナ』の根幹定義の消去。……必要ポイントは5000RPです。現状のリソースでは、全く手が届きません」


 ゼノンの無慈悲な回答に、俺は思わず舌打ちをした。

 勇者というメインプログラムの根幹に触れるのは、やはりコストが跳ね上がるらしい。

 だが、あんなバグ(光害)を放置したまま第2章を戦い抜けるほど、俺の精神はタフじゃない。


(削除がダメなら……書き換え(パッチ)はどうだ?)


 俺はエンジニアとしての視点で、ルナの設定コードを見つめる。

 『光り輝く美貌』という記述。この「輝く」という動詞が、物理的な発光処理をダイレクトに呼び出してしまっている。


 ならば、その後に「条件」をインサートしてやれば、コストは下がるはずだ。


 その時!俺はあるアイデアを思いついた!


「ゼノン、いいアイデアがある!

実際にやってみる。コストを確認してくれ!設定そのものを消すんじゃなく、文字を追加して意味を限定させるんだ。これなら……」


「……マスター!これは……いける気がします!計算します!」


 数秒の静寂。幾何学模様の展開速度が上がり、ゼノンが弾き出した結論が宙に浮かぶ。


「……算出完了。この三文字の属性追加インサートであれば、ちょうど300RPで実行可能です。現在の全リソースを使い切ることになりますが、これなら『仕様変更』として受理されます!」


 やはりな。仕様そのものを変えるには莫大なエネルギーがいるが、記述の「解釈」を歪めるだけなら、この程度のリソースでもセキュリティの隙間を突ける。



 俺は指先を動かし、光のコードの中間に、楔を打ち込むように三つの文字を刻み込んだ。


「リフォージ・プロセス、実行。――世界に、新しい定義パッチを適用しろ」


 刹那、精神世界が激しく明滅し、俺の意識は再び「現実」へと引き戻されていった。


***




【リフォージ・ログ】




個体名:ルナ

変更前:光り輝く美貌

変更後:光り輝く『ごとき』美貌


※物理現象としての「発光」を、文学的な「比喩」へと強制置換する三文字。


これにより、システム側は「実際に光らせるのではなく、そう見えるほど美しい」と、正常まともなレンダリングへと処理を変更した。

わずか三文字の「ごとき」。エンジニアの機転が「光源」を「直視できる美女」へと再構築しました。

これにて準備万端。第2章、本格始動です!


次回、ギルドでの実測試験ベンチマークが始まります!お楽しみに!

お楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ