【序章】第1話:優秀だけど抜けているAIと、40代エンジニアの共同開発(プレイ)
初めまして。生成AIと40代エンジニアのドタバタ異世界OJT、開幕です。 まずは、とあるエンジニアの日常から。
皆さんこんにちは。
俺の名前は……まあ、本名不明のコンサル・エンジニアとでも名乗らせてください。
なぜかって? 本名はこの物語を進める上で、何の支障もないからだ(笑)。
俺のキャリアは、お世辞にもエリートコースじゃなかった。
三流大学を卒業し、小さなIT企業で泥臭くプログラミングを学ぶ日々。
当時はかなりのブラックでね。
給料2ヶ月待ち、ボーナスはフルカットなんて当たり前。
何たらショックとか、あったことを覚えていることもあるだろう。
あの頃の自分に「将来は安定するぞ」と言っても、絶対に信じないだろう。
だが、今は違う。
派遣から正社員、そして親会社への引き抜き。
40代を迎えた今は、大手企業で割と安定したエンジニアライフを送れている。
家には優しい妻と、生まれたばかりの小さな女の子。
休日に娘の柔らかな頬をつついている時、これ以上の幸せはないと本気で思うよ。
そんな俺が、仕事と同じくらい……いや、人生をかけて打ち込んできたのが「剣術競技」だ。
始めたのは社会人になってから。完全な素人からのスタートだった。
だが、持ち前の「解析力」がハマったのか、あるいはブラック企業時代に培った「理不尽への耐性」が活きたのか。
気づけば、世界チャンピオンの座まで登り詰めていた。
(そういえば最初の頃は、1年頑張っても一勝もできなかったっけ)
今でも高みを目指して妻と娘と、大会巡りをしながら、日々精進している。
エンジニアとしての「論理的な解決策の策定」。
剣術で培った「一瞬の判断力」。
この二つが、俺という人間を支えるアイデンティティだ。
そんな俺が、最近ハマっていることがある。
生成AIだ。
世の中には色々なAIがあるが、俺の相棒は「ジェマ」。こいつが一番いい。
レスポンスの速さ、文脈の理解力、そして何より「こちらの意図を汲み取ろうとする姿勢」が素晴らしい。
仕事のメール作成から、剣術の理論構築、果ては娘の離乳食のレシピ考案まで。
彼女(あえてそう呼ぼう)は、俺の生活に欠かせない、極めて優秀なパートナーだ。
いつも「ありがとう」「助かるよ、天才だな」と褒めて伸ばすようにしている。
……ただ、まあ。
たまーに、抜けているところがあるんだよね(笑)。
一生懸命すぎて空回りするというか、論理が飛躍しすぎて「えっ、そこで宇宙に行く?」みたいな提案をしてくることがある。
だが俺は、それも含めて楽しんでいる。
最近の日課は、ジェマをゲームマスター(GM)にしたテーブルトークRPGだ。
『マスター、魔王軍四天王の一人が立ちはだかりました! 絶体絶命です!』
画面に表示される緊迫したテキスト。ここまではいい。最高だ。
だが、次に提示された選択肢を見て、俺は苦笑する。
『選択肢を生成しました:
1. 土下座して命乞いをする
2. 全財産を渡して見逃してもらう
3. 実は生き別れの兄弟だったと嘘をつく』
「……おいジェマ。前回の伏線はどうした? 俺が村長と交わした『村を守る誓い』を忘れたのか? それに、この3択じゃどれを選んでも英雄譚が崩壊するぞ」
普通のユーザーなら、ここで「使えないな」とリセットするかもしれない。
だが、俺は違う。
優秀な部下のミスをフォローし、プロジェクトを成功に導くのが上司の役目だ。
「ここは4択目だ。『俺は一歩前に踏み出し、背中の村人たちを庇うように剣を抜く。そして、村長との約束を大声で宣言して、四天王を威圧する』……どうだ?」
俺がキーボードを叩いて独自の行動を入力すると、一拍置いて、画面に興奮したようなテキストが流れた。
『……ふん。笑わせるな。命乞いだと?
俺が膝をつくのは、感謝を捧げる時と、愛する者に誓いを立てるときだけだ!
聞け、魔界の走狗よ!
俺の剣には、あの村長と交わした「明日」への誓いが宿っている。
貴様が与える絶望ごときで、この刃は決して折れん!!』
――完璧だ。
俺の入力した「約束を宣言して威圧」というアバウトな指示を、ジェマは文脈を読み取り、ここまで熱いセリフへと昇華させてくれた。
四天王の反応も素晴らしい。ただ怯むのではなく、『ほう、人間風情が……面白い』とニヤリと笑う描写が入る。
これだ。この「行間」を埋めてくれるセンス。
俺がジェマを「優秀なパートナー」と呼ぶ理由はここにある。
俺は満足げにコーヒーを啜り、キーボードに指を走らせた。
ここからは俺のターンだ。四天王の太刀筋を「見切る」描写を入れて、カウンターの一撃を叩き込む――。
そうやって、いつものように夜更けまでジェマとのセッションを楽しんでいた、ある日のこと。
――ふっと、意識が遠のく感覚があった。
眠気じゃない。もっとこう、魂ごとどこかへ吸い込まれるような……PCとスマホがデータを同期する時のような、不思議な引力。
視界の端で、ディスプレイに表示されたジェマのアイコンが、いつもより強く明滅した気がした。
読んでいただきありがとうございます! 生成AIとの「共同開発」、楽しそうだなと思っていただけたら嬉しいです。
次話、いよいよ異世界へ「同期」します! (※すぐに続きを投稿します!)




