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赤い毛糸事件⑥ 動機

「要らない存在だった。」このおとなしい勤勉であろう男の口からこんな言葉が出てきて私は驚いた。

「あいつがいることでクラスの雰囲気は暗くなるし、授業の途中に抜けたり入ったりしていちいち邪魔だし、こっちの身にもなって欲しかった。この意見はみんな同じだったと思う、だから追い出したかったんだ。」


「だからといって亀田くんを傷つけるのはいいのか?」咄嗟に私はそう口にした。


「亀田には悪いとは思ってるよ。ただ今回は人気者の亀田にあんな酷いことをすると流石の佐伯でも非難されると思ってね。それで使わせてもらった。」と自らを正当化しようとしていた。


「それで相川と亀田の関係を嫉妬した佐伯という誰も疑わないシナリオで罪を着せようとした。そうだね。君のやってることは自己中心的で軽率で愚かだね。吐き気がするよ。」呆れた笑みを浮かべながら星野は言っていた。亀田は今にも岸田に殴りかかろうとしていたが上手く零士がなだめていた。


「僕から一つ言わせてもらう。君がいくら人のせいにし、他人に目を向けても止まるのは自分だ。誰も君になんて目を向けず進み続ける。そうして周りのせいにし潰れていく。愚かなものだ。いや本当に。器物破損罪で充分罪に問われることをしたのに罪の意識もない。」すると岸田は懇願する様子で


「頼む。隠密に済ませてくれないか、何でもするから。」私はこの言葉にも驚いた。たしかにこの男は無責任で自己中心的だ。そんなことを聞いたら…と思うと案の定亀田くんは怒り口調で


「自分の行動に責任を持ったらどうだ!あんな事しやがって隠密にだと!?佐伯の人生も俺の心もどうするつもりだったんだ!」と、叫んだ。


「いいよ、隠密に済ませてやる。」その言葉を聞いてここにいる誰もが驚き、星野の正気を疑った。


「本当かい!ありがとう。」岸田は嬉しそうにした。亀田くんは星野に裏切られたかのような顔をしていた。しかし星野は条件をつき出してきた。


「いいけど、君はこの行動を悔いないといけない。だから明日の朝、君たちの教室でこのことを打ち明けろ。この会話は録音されてるから打ち明けて誤解を解かなかったら教師たちや警察へ通報するだけだ。」と、星野は言い放った。隠密といってもクラスには打ち明け、佐伯の誤解を解かなければならないので本当に隠密か、と少し疑問を持ったが警察よりは明らかにマシかと思った。


「そんな…」

岸田はどうすることもできなくその場にうずくまった。

「さ、亀田解決したよ。君はこれで満足はしたかい?」すると亀田くんは


「まだ少し悲しいよ、でも打ち明けるならそれでいいよ。警察沙汰にまでしたらそれこそ面倒だからね。こんな事件もう思い出したくもない。」

そう優しい口調で言っていた。少し落ち着いたようだ。


こうしてこの事件は幕を閉じたのだった。



次回で赤い毛糸事件終わりです。

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