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赤い毛糸事件④ からくり

みんなは星野に目を向けすこし引いていた。

私自身気が狂ってしまったかと思ったが何かおかしなことがないと彼はこのようには笑わない。きっと何かを掴んだのか、そしてそれが幼稚なもので笑っているのか。とにかく何か進展があるに違いない。そう私は感じていた。


「いやあすごいね、あまりにも雑だ。少し知恵に自慢のあるやつがやったことだがそこに甘さというものが潜む。」やはり何か掴んだようだ。


「犯人が分かったのかい?」

星野は全体を見渡し笑いながら

「目星はついたねえ。亀田、放課後部室に来い。」そう言って教室を後にした。


廊下にて、私は星野に尋ねた。


「何を掴んだんだい?君はもしかして佐伯が犯人ではないと言いたいのか?」

すると自信満々に

「ああ、確実に違うと言ってもいい。」

私は驚いた。自分もそしてきっと周りも佐伯が犯人で間違いないと確信していたのに確実に違うなんて言われたのだ。


「理由を聞こうじゃないか。」

「ああ、その前にホームルームが始まっちまうぜ。昼休みに部室に来なよ、昼食でも食べながら話そう。」そう言って急いで教室へと向かっていった。


昼休み、部室に行くと情報通の後藤(ごとう) 零士(れいじ)がいた。

この探偵部の協力者であり推理力は乏しいもののそのコミュニケーション能力の高さでいつも役に立っていた。


「さ、君の推理を聞こうじゃないか。」私は椅子に腰を落とし弁当を開きながら言った。


「うん、まず佐伯ではない理由から行こうか。それは意外と単純なことさ。まず、あの赤い毛糸めちゃくちゃに切られてたね。ハサミに素材が付くくらい。だが彼の制服はどうだった?何も付いてなかったろう。そこでまずおかしいと思ったんだよ。それにあの長身だ、制服も大きいんだし必ずと言っていいほど毛糸がつくはずだよ。

そして、あのハサミだよ。みんなあれで佐伯が犯人だと思い込んだ、そうだろ?」私はたしかにそうだと頷いた。


「ただあんな事誰でもできる。切ったあとに彼の机の中に入れてしまえばいいんだ。一つの事柄にとらわれて大きな事実を見失ってしまっているね。」そう言われて私は妙に納得した。

たしかにそうだ。証拠品をわざわざ机に入れておくなんて不用心にも程がある。まるで自分が犯人ですと自首しているように感じる。


「そして、何よりこれがおかしくてたまらなかったんだ。」そしてハサミを取り出した。証拠品のハサミだ


「僕が切っても少し違和感がある。なぜならこのハサミは左利き用だ。バカにしてるのかと思ったよ。零士、このクラスに左利きは何人いる?」

すると零士は少し考えて

「3人だな、細川と岸田と山根」

「ふむ、予想通りだ。」


「放課後犯人を連れてこようか。鷲田、亀田を放課後この教室に呼んでくれ。そして零士は岸田を呼んでくれ。きっと塾があるとか言うと思うが少しで終わるとか言ってくれ。無理に逃げると逆に怪しまれるだろうしついてくるだろう。まあそこら辺は上手に頼むよ。」

私にはなぜ彼が真相にたどり着いたのかさっぱり分からなかった。





登場人物紹介

後藤(ごとう) 零士(れいじ)

顔が広く話術に長けている。何かと探偵部の役にたってくれている。

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