雲形組事件⑤ 未遂
その日私たちは星野が何か見せてくれると言うので東山の家で泊まることにし、東山の母はどこか違うところで泊まってほしいと伝えた。事が起きるまで寝ないで待っていようということで23時には家のすべての電気を消し、暗闇の中私と星野と佐伯、東山は一つの場所で固まっていた。誰も何も話さなかった。ただひたすらに時間だけが過ぎスマホの時計が午前2時になるのに気がついた。その時、玄関の階段を登る音が聞こえた。そして星野の指示で鍵をかけないでいた扉が静かに開いた。私たちは目配せをしリビングの扉の前でその人物が入ってくるのを待った。
扉が開いた瞬間、私たち4人は一斉に侵入者を取り押さえた。手に武器は持っていなかったのですぐ縄で結ぶことができた。その男はやはり星野が狙った通り雲形組の長身の組員だった。
「いやー危なかったね。さてどうして侵入してきたのか聞こうか。その前に佐伯、とりあえず警察を呼んでくれ。」冷静な星野に対し犯人は暴れ回っていた。
「このやろう、覚えてろよ!俺は雲形組だぞ!」
「分かっているよ。ここにたくさん来てたこともねほら早く理由を言ったらどうなんだ?」
聞けば罵倒ばかりで結局何も聞き出せなかった。犯人は捕まり雲形組も芋づる式で解体問題になるくらいまで追い詰められた。東山については大目に見てもらい軽い罪ですんだ。
あとで警察に聞いた話だが、長身の組員はもともと東山の借金取りであり東山を借金の肩代わりで仕事に誘った男でもあった。ここ最近雲形組は財政難で借金を無理やり徴収するため東山の家族を脅すことを企んだ。借金取りをしてた時に東山の家の鍵が時々かかっていない事があったので、何度も来てそのタイミングを狙ってたみたいだ。
ーこれがこの事件の全容で終わってみれば動機などがあっさりとしていたが、かなりスタミナを使った事件であった。




