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『俺はパーティーメンバーに殺されたとさ。』  作者: 盛嵜 柊 @ 『シド』書籍化進行中


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3/4

***3***

全4話中、3話目。

第1話より一時間おきに投稿しております。



 うっすらと意識が浮上し、重い瞼をゆっくりと持ち上げた。

 しかし開けたはずの視界は薄暗く、自分がどこに居るのかさえ認識が出来なかった。


 その視界に仄かに光るものを感じた。それだけがこの暗闇の中で唯一の光源であり、無意識にそちらへ視線を流す。

 ぼやけた視界でも、細長く発光しているものは剣ではないか、とそう思った。

 剣……?

 俺の剣は使われなくなって久しいが、今も剣帯に吊るされたまま所在なさげに闇と同化していた。

 そこで、頭がクリアになってきてハッとした。


 ―――あいつらは?!―――


 視線を上げれば暗闇が広がり、この部屋にはもう誰も居ないのだと知って深く息を吐き出した。

 そう、俺は呼吸をしていた。

 ささやかな光源にかざした手にはベットリと赤いものがつき、胸には服が裂けた跡と、そこから流れ出たであろう黒い液体で辺りはしっとりと湿っている。

 だが破れた服から覗くのは肌の色だけで、刺さっていたはずの剣も傷跡も消えていた。


「……ころされた……んじゃなかった……のか?」


 剣は引き抜いて持って行ったのかと周辺を見れば、俺の足の上に剥き出しの剣を見付けて困惑する。


 全長は90センチほど、光る刃と黒い柄はシンプルな造りで、初期装備で購入するような品物に見える。

 それは胸に刺さっていた剣と相違なく、わざわざ俺から引き抜いて捨てていったのかとため息を吐いた。

 しかし先程までは光っていなかったはずだが……まあいいか。

 ではせめて、この剣は貰って行こうと淡く光る剣にそっと手を伸ばした。


 俺が柄を握り前方に掲げた瞬間、淡いはずの光は輝きを増し、白い光がボス部屋という広い空間を全て明らかにするように辺り一面に広がって行った。

 ――?!――

 俺は光に包まれながら咄嗟に目を瞑るも、一体なにが起こったのかとそっと目を開いていけば、俺の手の中の光は、脈動をしているかの如く点滅を始めていた。


(あるじ)よ、我に名を与えるがよい』


 どこからか中性的な声が聞こえてきて、俺は咄嗟に周辺を確認するも誰かが来た様子もない。

 しかしその時、再び頭の中に声が降る。

『主よ、何を呆けておる。我はここだ』

 剣を握る腕を伝い俺の顔をそよ風がかすめて行って、慌てて手元を視界に入れる。


「………剣?」

『さよう。我は今しがた、主により命を与えられ魔剣となりしもの。我に名を与え、我を己のものとするがよかろう』

「…………」


 剣が話している? いやいやいや、それはないだろう……。

 これは夢みたいなもので、もしかすると俺は死んでいてあの世にいる?

 ―――うわっ~! 俺はどうなってるんだ!


『主、聞いておるのか?』

 一人混乱の中に居た俺に業を煮やしたのか、主という割に呆れた声が聞こえるのも気のせいか?

「これは夢なのか? いや、やっぱり俺は死んでいるんだな……」


 剣を見つめながら呟く俺に、今度は諭すような声色になる。

『主は生きておる、しっかりせぬか。――取り敢えず我に名を与えてみよ』

「……………わかった」

 返した俺の声は掠れていた。

 悪い夢だとしてもこのまま流されてみようと思ったのは、俺が思考を放棄したからだ。


 ―――俺が命を与えた剣―――


 どういう意味かはわからないが、取り敢えず名前を付けないと話が進まないらしい。

  “名付け”……か。

 だが急に名を決めろと言われても咄嗟に思い付くものでもないが……うん? なんか閃いたかも。


「ゾイ」

 この名前は、『生命(ゾイ)を与えた剣』というそのままの意味だ。


 俺が名前を発すると、言葉を受け取った魔剣が今日一番の輝きを発した。というか眩しすぎて視界が真っ白になったぞ、おい。


 光が収まった頃合いで閉じていた瞼を開いた俺は、更に目を見開く事になった。


「え?」


 呆気にとられる俺の視界に飛び込んできたのは、先程までとは全く異なる形状の剣だった。

 淡く発光しているのは同じであるものの、初期装備の如く面白みのなかった手の中の物に、今はその面影もない。


 全長90センチだった物が一回り大きく120センチ程になり、手の中にある柄は俺の手に馴染むように緩やかな曲線が施され、そこには精密なアラベスク文様が彫り込まれていた。

 そして一番違うところは刃の形だ。

 先程までは直線的なフォルムであったものが、刃が波打つフランベルジュ型……と言えばいいのだろうか。とにかく普通の見かけではない事は確かだった。

 確かにこれは、魔剣と呼ぶような特殊な剣であるという事が一目でわかる形状だ。


「……違う剣か?」

『否。我は先程まで主の胸を貫いていた剣であったもの。そして主の命を吸い取り魔剣へと生まれ変わり、 “ゾイ”という真名を頂き完成されたものだ』

「はい?」


 俺の聞き間違えでなければ、サラリととんでもない事を言われた気がするのだが……。


「俺の命?」

『さよう』


 俺が説明を求めて言葉を返したはずも、ゾイはさも“当たり前だ”と言わんばかりの対応で終了する。

 俺には全く意味が解らないのだが、これは皆が知っている事なのか?


「ゾイ……それはどういう事なのか、俺にもわかるように説明してくれ」

 思わず苦虫を噛みつぶしたような顔になってしまったが、ゾイは気に留めた様子もなく『よかろう』と語り始めた。





次話は一時間後に投稿いたします!

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