6-7.···知ってる天井だ
本日も2話投稿しますね!
···どこだ、ここは?
意識があるってことは、助かったのかな?でも、どうやって?
···わからないや。···でも、なんだか知っている天井のような気がするよ。···どこだったっけ?
···しばらくしたら、部屋に誰か入ってきた。···誰だ?
「アキさん!?ようやく目が覚めましたのね!大丈夫ですの!?」
「···えっ?アイリ···、さん?ここは···、カイジの町ですか?」
「そうですわ!覚えてませんの?あなたとリオが屋敷のエントランスで倒れているのをメイドたちが発見して大騒ぎになりましたのよ。多少のケガはしてましたが、私の回復魔法で治したから大丈夫だとは思うのですけどね。あれからほぼ3日ほど眠っていたのですわ」
「···そうなんですか?あれから···、3日?そんなに···、経ってるんですね」
「はい。それと、まだリオが目覚めてませんの。アキさんが目覚めたのなら、もうすぐリオは起きると思いますわ」
「そうですか。···ボクは、助かったんですね?」
「そうですわ。助かってますけど···、いったい何があったんですの?リオと一緒にここまで転移してくるなんて余程のことがあったと思われますけども···」
「それは···、ごめんなさい。ちょっとまだボーっとしていてうまく考えがまとまらないんです。···少し時間をいただけませんか?」
「···そうですわね。わたしの配慮が足りてませんでしたわ。では、軽めの食事をお持ちしますね。気分が落ち着いたら話していただければよろしいですわ」
「···ご配慮ありがとうございます。お言葉に甘えさせていただきます」
そうしてアイリさんは出て行った。
···どうしてボクはこの屋敷に転移できたんだ?あの塔からここまで相当距離が離れているし、そもそもボクの魔力は底を尽いていたんだ。転移できるはずがないよ。
···そうだ!ボクが気を失う前に誰かが来たんだよ。あれって誰だったんだろう?おそらくボクたちを助けてくれた人なんだろうけど、まったく顔を見てないからわからないんだ。
そうやっていろいろと考えていると、スマホに通知が来たんだ。···メール?えっ!?メールだって!?もしかして神様!?
メールの本文にはこう書かれていた。
『アキくんへ。
この世界を大いに楽しんでいるようでなによりだ。様々な特典を授けてそれが有効に活用されているようで私も嬉しいよ。
さて、今回の件だがあまり私がエーレタニアに顕現するのは禁じられていてね。キミたちの知り合いの屋敷へ転移させることで精いっぱいだったのだ。
大魔王ムーオに関しては私の落ち度であった。これについては謝罪させてもらおう。
私は近々、新たな整調者を選任するつもりだ。キミたちには負担をかけたくないからね。
ムーオの件については私に任せて、キミたちは好きに旅を続けてくれたまえ。もし、困っている人を見かけたら助けてもらえると嬉しい。
最後に、キミがこの世界にやってきて良かったと一度言ってくれたね?その言葉を聞けて、私がやったことは間違っていなかったと確証を持てたよ。本当にありがとう』
···助けてくれたのは神様だったのか。って、このメールだけどツッコミどころありすぎるんですけど?
大いに楽しんでるって何を?楽しんでるのは困ってアタフタしてるボクを見てる神様じゃないの!?
そこを謝罪してよ!男の娘にしてトラブルまみれにして!!も~~~!!
いかんいかん、怒りで意識がはっきりしてきたぞ?とりあえず、ボクとリオは神様に助けられた。そしてカーネさんとアイリさんの屋敷に神様が転移させたってことでOKね?
考えが落ち着いたところで軽めの食事をメイドさんが持ってきてくれた。ちょうどおなかがすいてきたのでよかったよ。
食べ終わると、アイリさんがやってきたんだ。
「アキさん?だいぶ落ち着いたかしら?」
「はい、ありがとうございます。それで、リオは起きましたか?」
「それがまだですの。リオは昔から寝坊助なので、そろそろ叩き起こしに行きましょうか!アキさんも一緒に手伝ってくださいまし!」
「えっ?ボクも叩き起こすんですか?···ちょっと気が引けるんですけど?」
「そこは気にしないで結構ですわ!リオですから大丈夫!」
「···いや、あの~。ゆっくり休ませてあげてほしいとボクは思うんですけどね」
「そんな甘いことをリオに言ってはいけませんわ!ささ!行きますわよ~!」
「ち、ちょっと!?引っ張らないでくださいって~!」
というわけで強引にベッドから引きずり出されてリオが寝ている部屋にやってきた。
そこにはカーネさんがいた。カーネさんはリオの看病をしてくれていたみたいだね。
一方のリオは、まだ寝てるんだけど相変わらず寝相が悪い。枕が足元に来ているよ。どうやったらこうなるんだろう?
「おっ!?アキ、起きたか!?大丈夫か?」
「カーネさん、ご心配おかけしました。ボクはもう大丈夫ですよ」
「そうか!そうか!よかったぞー!!あとはこの寝坊助リオだけだな!」
「兄さん、そろそろいつもの実力行使といきましょうかね?久々に!」
「おっ!?アレをやるのだな!?久々だから手加減できるかわからんがやるぞ!」
···いったい何をするんです?このお二人は?
すると、カーネさんがリオを羽交い絞めにしたまま起こして、アイリさんは両足を持って外に出て行った。
そして、噴水のところにやってくると···、そのままリオを噴水へ投げ込んだんだ!!
ボチャーンと大きな音がして10数秒経つと···?
「ぶはーーー!!ゲホッ!ゲホッ!な、何事だー!?」
「おう!やっとお目覚めだな!リオ!!」
「久々の目覚ましはいかがでしたかしら?」
「えっ!?カーネにアイリ···!?って事は、ここはカイジの町なのかー!?」
「そうですわよ、寝坊助さん?起きないからこうして久々の方法で起こしてあげましたわ!」
「···確かに目が覚めたぞー。しかも最悪な形だけどなー」
「なら大丈夫ですわね!さて、くだらない茶番はここまでにして、何があったのか話してもらいますわよ?」
「くだらない茶番って、お前たちがオレを噴水に投げ込んだんだろー!?なんでオレのせいになってるんだよー!?」
「起きないリオが悪いんですわよ?ささ、部屋に戻りますわよ~」
「う~~っ!この兄妹は本当に腹が立つなー!!」
「リオ、そう言わないであげてね。リオが起きるまで3日も看病してくれたんだからね」
「···えっ!?そんなに経ってるのかー?それは知らなかったぞー。っていうか、なんでカイジに戻ってきてるんだ?」
「それも含めて説明するよ。じゃあ、部屋に戻ろうか!」
「···その前に服を乾かせろよー。今度はカゼひいちまうぞー」
神様のおかげでカイジに戻ってこれたのはよかったよ。さて、これから会議だ。カーネさんとアイリさんの意見も聞きたいしね。
そうそう、みんなは寝ている人を噴水に投げ込んじゃダメだよ!!溺れちゃうからね!
ドラゴン族のリオだから大丈夫だったんだからね!
···それもどうかと思うけど。
なんと!神様直々に助けに来てくれました!
まぁ、討伐完了していたと神様ですら騙されてたんで、その補償の意味もありますけどね。
ただ、アキくんの言う通り神様は結構ズレてますね!人じゃないんで感覚が違うというのもあるんですけど、これは元からこういう性格です。
···作者の性格に似てるじゃん!っていう意見はすでに締め切っておりますので、受け付けませんよ(笑)
若干ネタバレになりますが、この神様は実は頻繁に顕現して、『力を持たない人』に化けてエーレタニアで遊んでます。自分で創った世界なんだから『巡回目的』で楽しんでるんですね~。
メールの内容は半分本当で半分はウソです。『顕現して力の行使に制限がある』ってだけです。
もちろんアキくんたちの旅も、さすがに常時とまではいかないまでも見ちゃってます。
トラブルが起こるたびに腹抱えて笑ってるんですよ!
果たして!これまでに登場したモブの中で神様はいたんでしょうか?
さて次回予告ですが、カイジの町に戻ってきたアキくんたちは今後の旅の方針について相談します。
次回は本日の夕方~夜あたりで投稿しますね!




