6-5.魔導の塔 その3
今日も2話投稿します!
グロー歴505年1月18日 晴れ
さて、今日も攻略の続きだ!
まずは転移で5階のスタート地点まで飛んだ。
どの階も雰囲気は全く同じだ。窓もなく、ただ通路があるのみでなぜか壁が光ってるので明かりいらずだ。
とりあえず、最初は変身なしでエンカウントするまで進み、戦闘直前で変身する作戦だ。少しでも距離を稼いでおかないと後が続かない。
···妙だ。魔獣がいないぞ?魔獣レーダーで確認したけどもこのフロアには魔獣がいない。どういうことだ?ここまではかなり多くの魔獣が通路や広間にいたはずなんだけどね。
結局このフロアでは1回もエンカウントせずに転送装置にたどり着いてしまった。こういうフロアもあるって事かな?もしくはワナ?
そういえばあのマンガでも、急にエンカウントしなくなったらヤバイってあったな。···もしかすると、この先にはこれまでとは比べ物にならない強敵がいるってことなのかな?
嫌な予感がするけど、進むしか選択肢がないんだ!ボクはリオと手をつないで転送装置を踏んだ。
次の瞬間!ボクたちは屋上に来ていた。···あれ?屋上?もしかしてもうゴールなの?屋上には何もないんだけど、これってどうやったら結界を解除して出られるのかな?
戸惑っていると、ボクの後ろから声がしたんだ。
「ほう?貴様らか?余の魔導の塔に侵入した輩とは。ただのガキではないか。···いや、一匹はドラゴン族か?まあいい。いったいここに何しに来た?」
「なっ!?いつの間に?アキ!オレの後ろに!!コイツ、ただものじゃないぞ!」
「う、うん!」
リオがものすごく警戒している!しかも額には汗がびっしょりだよ!?な、何者なんだろう?こいつは?見た目は黒髪の少年なんだけど、雰囲気がおかしいぞ?
「質問に答えてもらおうか?貴様らはいったい何しにここへやってきた?返答次第では···、わかっているな?」
「オレたちは旅人だ。リーク砂漠を越えようとしている最中にたまたまこの塔の結界に閉じ込められたんだ。脱出するために塔を登ってきたんだぞ!」
「なるほどな。まさかこの砂漠を徒歩で越えようとする愚か者がいたとはな。しかも子どもだけでだ。···貴様ら、ただのガキじゃないな?」
「そんな事はどうでもいい。お前は何者だ?この塔の事を知ってるのか?脱出方法があるなら教えてくれ。すぐにここを立ち去るぞ」
「質問しているのはこちらなのだが?···余の質問に答える気はないと判断してもよいのだな?」
「なんでそうなるんだよ!旅人だって言ってるだろ!?オレたちはここで何もしちゃいないぞ!···あっ、道中の魔獣は倒しちゃったけどな」
「ガーディアンを倒せる実力を持つ者など、人間ではほとんどおらぬわ。···もしかして貴様らか?コレクタのエコロアリクイーンを倒したのは?」
「···違うぞ?確かに滞在してたけど、オレたちは公園に現れたアリを退治しただけだ。···まさか!?あの事件の犯人はお前なのか!?」
「それを知ってどうする気だ?···まさか、余を捕まえようというのか?」
「いいや、それはオレたちの仕事じゃないからな。オレたちはただこの塔の結界の外に出たいだけだ」
「ほう?余が目的ではないのだな?だが、残念だがここを知られた以上、生かして帰すわけにはいかぬぞ?」
「やっぱそうなるか!アキ、離れてろよ!まずはオレだけでやってみるぞ!!」
「うん!必要ならいつでも準備できてるよ!」
「おう!···ちょっと確かめたいこともあるからな。ちょっとだけワガママ通させてもらうぞ!」
「ハハハ!!余に立ち向かおうというのか!?いいだろう!少しだけ相手してやろうぞ」
謎の少年がそういうと、リオも戦闘態勢に入った。ただ、いつものリオと違って緊張感がすさまじいよ。そんなにヤバイ相手なのかな?
最初に仕掛けたのはリオだ!ロックキャノンを放ちつつ、間合いを一気に詰め寄った!そして避けた少年の頭に全力の回し蹴りを食らわせた!んだけど、そこに少年はいなかった。
どこに行ったんだ?リオも見失って周りを警戒している。
「どこを見ている?目で追っても余の動きにはついて来れぬぞ?」
「なっ!?ぐあっ!!」
ボクの後ろにいた!そして背中を強くたたかれて吹っ飛ばされてリオに当てられて一緒に転がってしまった!
強い!ボクと同い年ぐらいの見た目なのに、パワーもスピードも桁違いだ!このままじゃ勝ち目はないぞ?
「リオ!やっぱり切り札を切るよ!!準備はいい!?」
「ちょっと待ってくれ!確認したいことがあるって言っただろ!?もう少しだけ時間をくれ!!」
「リオ···、わかったよ」
リオ、何を確認したいんだろう?相手はこちらの質問にはあまり答えてくれなかったよ?そうしたら、とんでもない質問をリオはしたんだ!
「···お前、大魔王ムーオだな?気配で気づいたぞ。まさか生きていたとは思わなかったぞ」
「···ええっ!?そうなの、リオ!?本当に!?こんな少年だったの!?」
「いや、姿は全然違うぞ。ただ、気配と魔力が一緒なんだ。最初は気のせいかと思ったけど、さっきの攻撃でわかったぞ」
「···リオだと?そうか!貴様!あの時の白銀竜の整調者だなぁ!?貴様らのせいで余の計画は大きく狂わされたぞ!!」
「やっぱり生きていたか!アキ、ここでアイツを倒すぞ!!このまま生かしておくわけにはいかないぞ!!」
「うん!どこまでやれるかわからないけど、頑張ってみるよ!!」
「余を倒すだと!?笑止!!仮にここでやられたとしてもムダな事よ!!余はダミーだからな!あの時と同じ事よ」
「···ってことは、空中庭園のムーオも偽物だったって事か!?」
「その通りだ。ある作戦の陽動で派手にやらせてもらっただけのことよ!そのまま滅ぼしてしまえれば楽だったのだがな!!」
···なんて事だ。リオが魂の器を削ってまで倒したと思っていた大魔王が、実は偽物だったなんて!ということは、本物はもっと強大だって事だ!
展開が早すぎて頭が追い付かないよ?どうすればいい?ただ単に脱出するだけではいかなくなったよ!?
「ハハハ、リオよ!その姿ということはやはりかつての力は失われたな?整調者解任は知ってるぞ?もはや余に歯向かう力などないはずだ。ちょうどよい!ここでかつての恨みを晴らしてくれるわ!!」
「それは残念だったな!あの時の力は確かに失われたけど、オレには新しい力があるんだ!アキ、いくぞー!!」
「うん!せーの!!」
「「インテグレーション!!」」
「な!?何事だ!?」
まぶしい光にムーオが驚いた。光が収まると、変身して白銀竜の着ぐるみを着たボクを見て、ムーオはさらに怒りだした!
「···その姿は!?やはり貴様かぁー!!クイーンを倒したのは!どこまでも余に盾突く害虫どもめ!!ここで始末してくれるわぁ!!」
「リオ!一気に叩くよ!!」
『おう!アキ、超必殺技も使っていいぞ!!大魔王よりも魔獣のほうがはるかに相手しやすいからな!!』
「うん!頃合い見計らってやるよー!」
まさか、かつての大魔王とやりあうことになるなんて···。落ち込んでるヒマはないぞ!!目の前の敵をなぎ倒すんだ!!
な、なんと!倒したはずの大魔王が生きていた!?
リオくんが倒したのは本体ではなく、偽物だったのでした!!
···まぁ、第5章で気づいた読者様もいるでしょうけどね。
これまでにないほどの最大のピンチを迎えてしまいました。
しかし!リオくんにはあの時にはなかった新しい力が、今はあります!
さて次回予告ですが、本体ではないにしても大魔王ムーオに立ち向かうことになったアキくんたち。
果たしてアキくんが使うゲームやアニメの技や魔法は通用するのか!?
次回は本日夜に投稿します。お楽しみに!




