4-10.湯治終了!次の目的地へ
本日で第4章は完結です。
そのため、この時間に投稿しています。
夜にネタバレ集と設定資料集を投稿します。
宿に帰ってきたのは午後5時だった。
結局1日ダンジョンに籠ってたことになるね。
今晩がとりあえず最後の宿泊になるんだけど、これからどうしようか?
「リオ、一応今晩が最後なんだけど延泊する?それとも出発する?」
「アキがゆっくり出来て気分最高!ってなったんだったら出発しようかなーと思ってるんだけど、どうだー?」
「うん!ゆっくりと温泉を堪能できたよ。もう大丈夫!明日出発しようか!」
「おう!じゃあ今夜は今回最後の温泉だぞー!一緒に入ってゆっくりするぞー!」
「おー!!」
そしておいしい夕食をいただいて、お酒もちょっとだけ飲んで楽しいひと時を過ごすことができた。
5泊させてもらったけど、いろいろなことがありすぎたなぁ~。
でも、これも経験だ!明日からの旅に活かせることが多かったからね。
グロー歴504年12月35日 曇
今日でアクロ温泉ともおさらばだ。転移ができるようになったから、たまにはここに来ることにしようっと!
寝起きに最後の朝風呂に浸かり、眠気を吹き飛ばす。
そして朝食をいっぱい食べてからチェックアウトして、町を出る前に食料の買い出しに行った。
···やっぱりリオはたらふくお菓子を笑顔で買い込んでた。
ただ、あれだけ買い込んでも太る気配ないんだよね。ドラゴン族って、基礎代謝高いのかな?
それに比べてボクはあんまり背が伸びた気配がない···。本当に成長するのだろうか?これも神様の仕業なのか?
さて、町を出て南にある商業国コレクタへ向けて出発だ!
今日は身体強化を2倍程度にして体に負担がかかりにくいように普通に歩くことにした。
いままで結構全力で走ってたからね。『普通』の旅人っぽくするために当分はそうすることにした。
今になって気づいたけど、確かに全力で走ってたらビックリするよね?荷物は肩掛けカバン一つだけだし、身体強化を知らない人からすれば体力持たないと思うだろうしね。
あれだけでも結構目立ってたんだなぁ~と思うよ。
今日からも当面は街道から少し離れた場所でキャンプだ。だいぶ時間は経ったものの、あの大量の魔獣殲滅で街道の横の森が荒れちゃったから温泉街にいた時も『謎の戦闘の痕跡があった!』ってちょっとした騒ぎがあったぐらいだ。宿場町に泊まったら情報交換で北から来たボクたちが質問攻めにあう可能性が高いからね。
「ではでは~、今日はここをキャンプ地とする~!」
「おー!じゃあテント建てて夕食の準備だぞー!」
「もうテント建てるのも、火を熾すのも慣れちゃったよね~。テント暮らしも苦じゃなくなったよ」
「そうならないと旅はツラいだけだからなー。アキが旅が楽しくなったんだったら良かったぞー」
「ありがとう、リオ!まぁいろいろあったけど、今は楽しく過ごせてるよ」
というか、いろいろありすぎなんだけどね···。神様が『トラブルに巻き込まれやすい』なんて仕様をボクの体に仕込んでるからなんだけど。
グロー歴505年1月1日 曇
今日から新年だ。といっても、この世界では祝う風習は全くないからただの1日だ。
「リオ、あけましておめでとうございます。今年もよろしくね!」
「い、いきなりなんだー?そのあいさつはー?聞いたことないってことは、元の世界のあいさつなのかー?」
「そうだよ。新しい年が始まる1月1日には『明けましておめでとう』ってあいさつをしていたんだよ。今日がそうだったからやってみたんだよ」
「そんな風習があったんだなー。まぁ、そんなに新年だからって特別何か変わるわけじゃないから気にしてなかったなー。じゃあ、明けましておめでとなー!今年もよろしくー!」
「うん!今年もいろんなところを旅しようね!」
「おー!じゃあ、今日も1日元気よくいってみよー!」
グロー歴505年1月8日 曇
···そうして順調に旅は進み、7日後にボクたちはレオナード王国を事実上出国したことになって商業国コレクタに着いた。
道中、魔獣との遭遇は2回あったけど、1回は撃退して1回はやり過ごした。
旅人にも会うことはほとんどなく、ボクたちは普通の旅人としてたどり着くことができた。
この世界では明確な国境線はほぼない。そのため、国を超えた移動はほぼすべての国で可能なのだ。
ただ、宿場町を除くすべての町で入街審査が必ずある。
国民とは、『住民票が町に属し、町に住んでいて税金を払っている』人の事で、旅人や商人なんかは国民扱いではない。
ただ、商売したら場所代としての税金や入国税は払うんだけどね。
話がズレたね。
コレクタの入国審査の列にボクたちは並んだ。
時刻は午後4時半。ちょうど入国ラッシュの時間帯だったようで、1時間弱待たされてしまったよ。
そしてやっとボクたちの番が回ってきたんだけど、ここでトラブルが発生してしまったんだ。
「やあ、待たせてしまったね!審査するから身分証を見せてくれるかい?」
「こんばんは。ボクの身分証はコレです。よろしくお願いします」
「···へぇ~、初めて見るタイプの身分証だね。···うん、認証魔道具も認識しているね。···持ち込む荷物って、もしかしてその肩かけのカバンひとつだけかい?旅人のようだけど、荷物が少なすぎるんじゃないかな?」
「いや、これはちょっと変わったカバンでして···。容量以上にたくさんのモノが入るんですよ」
「···そうなのかい?じゃあ、キミの入国目的って何かな?」
「旅の途中で寄っただけなので、数日滞在して食料とかを調達してから次の目的地に向かうんですけど?」
「···なるほどね。すまないけど別室でちょっと詳しいお話を聞くことになってしまうんだけどいいかな?」
「···えっ!?ボ、ボク、何か悪いことしましたか!?」
「いや、多分大丈夫だと思うんだけどね。ちょっと今訳アリで審査が厳しくなってるんだよ。上からの通達があってね。申し訳ないが了承してもらいたい」
「···わかりました。あの!ボクの後ろの人はボクと一緒に旅しているんです。一緒に別室に行くことってできますか?」
「それはかまわないけど···。ツレの人も詳しくお話を聞くことになっちゃうけど、それでもいいのかな?ちょっと時間かかっちゃうよ?」
「はい、大丈夫です。ずうずうしいお願いで申し訳ないんですけど」
「わかったよ。じゃあ、案内の者をよこすからあそこのベンチで待っててくれないかな?」
「はい。ご配慮ありがとうございます」
「こちらこそ規則なんでね。すまないね」
···いったい何があったのかな?入国審査でひっかかっちゃったよ。審査官の人は親切な人だったから悪いイメージはないんだけどね。
さて、どうなることやら···。
第4章 完
『懐かしいなぁ···。アクロ温泉がまさかボクの終の棲家になるとはこの時思ってなかったんだよね···。転移があったから好きな時に温泉を楽しめるなぁ、とは考えていたけどね···。そしてコレクタかぁ。···まさかあんなとんでもない事件に巻き込まれるなんて思いもしなかったんだよね』
最後の年老いたアキの感想のとおり、アキにとってアクロ温泉は人生を終える終着点となります。
それだけ温泉好きなアキにとっては最高の土地だったんですね!
作者も温泉大好きなので、老後は毎日温泉三昧したいなぁ~!と思ってまして、書いていてアキくんがうらやましくなりましたよ···。
ただ、現実は残酷でして、家に温泉を引くと利用料の他にも定期的に配管の高圧洗浄が必要なんですね。温泉って、温泉法に定める成分を含んだ地下水なので、含まれている成分が配管に付着して流れる量が少なくなってしまうのですよ。
ですので、定期的に洗浄しないといけないんですね。場合によっては地面掘り返して配管取替も自腹···
しっかり貯金してないとムリですわ。
さて、本日は夜にネタバレ集と設定資料集をいつもの時間あたりで投稿します。




