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【完結済・第6章まで加筆修正完了】アキの異世界旅行記 ~旅先でなぜか変なフラグ立ってトラブルに巻き込まれて···ホント困ってます~  作者: ぷちきゅう
第4章 温泉湯治とダンジョン観光

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4-4.密偵

 本日は話の都合上、なんと3話投稿してるんです!

 ここはその3話目ですので、今日初めて読んだ!という読者の方はこの話の前に2話投稿してますので、先にそちらを読んでから戻ってきて下さいね。

 観光案内所の営業開始まで時間があったから冒険者ギルドに寄ったら、たまたまなのかパスさんがいた。

 

 ···ボクたちを見てビックリしてるぞ?

 

 

「あーっ!アキさんとリオさんだ!やっと来てくれたぁ~」

 

「おはようございます、パスさん。久しぶりですね。お元気そうでなによりですよ」

 

「おかげさまでアクロまで帰ってこられましたよ~。アキさんたちも3日前に着いてたんですよね?門番から報告があって、それからず~っと待ってたんですよぉ~」

 

「ああ、それはすいませんでした。温泉楽しんでて、天気悪かったので宿でのんびりしてたんですよ」

 

「良かった~。危うく逃げ···、ゲフンゲフン!会えないかと思って心配してたんですよ~」

 

 

 ···今、『逃げられる』って言いそうになってなかった?これってマズい状況になりつつある?

 

 

「いや、審査官から日付指定されなかったので、ここから旅立つまでに寄ればいいかな?と思ってたんです。待ってるとは思わなかったんですよ」

 

「そうでしたか。じゃあ、申し訳ないけどちょっと別室に案内するんで、ついてきてくれるかな?あんまり長く時間はとらせないから!」

 

「は、はぁ···。いいですよ」

 

 

 なんだか嫌な予感がしてきたぞ!謝礼渡すだけなのに別室でお話って、立ち話ではマズいって事じゃない?でも逃げることもできないから仕方なくついていくか。

 

 部屋は小さく、ボクたちとパスさんだけになった。さて、何を聞かれるのか···。

 

 

「さて、ちょっと個人的に確認したいことがあったんだよ。···あっ!大丈夫だよ!?そう身構えなくても気軽に話してくれればいいし、ここでの話はギルドには絶対報告しないからね」

 

「はぁ、で?一体何ですか?」

 

「···キミたち、私と別れた後に魔獣の大群に出くわしてない?」

 

「!、そ、それはぁ~···」

 

「いや、話しにくいだろうとは私も思うんだよ。じゃあ、私が見た光景を話すね。

 

 キミたちと別れて街道へ向けて歩いていたら、変な予感がしたのさ。そこで、近くにあった高い木に登って状況を確認したら、とんでもない数の魔獣が迫ってきてたんだよ。キミたちに避難を呼びかけようと木から飛び降りようとする直前にキミたちがいたあたりで強烈な光が出たんだよ。

 

 その光が収まってしばらくしたら、森が円形に切り開かれて、魔獣たちが倒れていたんだよ。

 

 そして、その中心には白銀竜の着ぐるみがいたんだ。その着ぐるみはとてもヒトが放つ魔法とは思えない規模の炎魔法を使用し、火事を抑えるための雨を降らせる水魔法を使ったんだ。

 

 そして魔獣の殲滅が完了したそこで···、キミたちが立っていたのを見ちゃったんだ」

 

「··················」

 

「その様子だとキミたちで間違いなさそうだね。安心してほしい。

 

 ギルドには『見知らぬ旅人が魔獣の群れを殲滅した。顔は見えづらかったし、現地へ向かったら既に去った後だったので、誰かは不明だ』と正式に報告し、ギルドもその内容で疑問なく受理されて、私に報奨金も出たよ。これが正式な報告書の写しだ。内容を確認してもらって構わない。

 

 そしてキミたちが私を救出したって話だけはさせてもらって、謝礼金も今は私が預かっている。

 

 もちろん、名前は伏せているからキミたちだってことは知られていないよ」

 

「··················」

 

「そして、私自身はこの事をキミたち以外にしゃべるつもりはない。まず信じてもらえないだろうしね。

 

 ···ただ、私は仕事上(・・・)真実の情報を掴んでおきたいってのがあるから、こうやって確認したかっただけなんだよ。

 

 気を悪くしたなら謝るよ。謝礼金はこれだ。

 

 ···このまま何も言わずにこの部屋から出て行ってもらっても構わないよ。長々とここまで聞いてくれてありがとう」

 

 

 ···見られていたんだ。しかも、一部始終すべて。

 

 ここまではっきりと状況を掴まれている以上、もはや隠し立ては不可能だ。話を聞いているボクとリオの態度だけで確信しちゃってる。

 

 ただ···、『信用して大丈夫なのか?』という大問題がある。

 

 パスさんは絶対に他言しないって言ってるけど、それを信じれる根拠は?そんなものはない。

 

 ただ、助けて1泊だけ一緒にキャンプしたってだけ。

 

 どうする?何が最善なのかがわからないよ。そうしたら、リオから結論を出してくれた。

 

 

「アキ。話しても大丈夫だと思うぞ。こいつは信用できると思う」

 

「リオ、いいの?」

 

「ああ。アキは気づいていないけど、パスは怯えてる(・・・・)ぞ。さすがは一流の冒険者なんだな。表情には全く出さずにオレたちと話をしていたんだよ」

 

「ええっ!?そうだったんだ!パスさん、本当ですか?」

 

「···ええ、さすがですね。元整調者(ピースメーカー)のリオさん。その通りです。私は今、キミたちが怖いです。あの力が、今回は魔獣殲滅に向いていましたが、それが私たちに向いたらまず世界中の人々は止める手段がないでしょうから」

 

「なるほどな。そういうことか。そして、オレの正体も見破っていたか。あんた、ただの冒険者じゃないな?」

 

「そこまで気づいてしまうんですね?確かにリオさんの正体を言ってしまった以上、私も正体を話しましょう。

 

 

 私はパス。アクロの冒険者ギルド所属、それと『ピムエム皇国の密偵』です」

 

 

「えっ!?ス、スパイって事ですか!?」

 

「だからだな?魔獣の情報を集めつつ、この国の情報も収集して皇国に流していたんだな」

 

「リオさんの言う通りですよ。ああ、警戒しなくても皇国にもキミたちの情報は流していないからね。逆襲されたら『皇国』としてもまず勝ち目はないしね」

 

「そうだったんですね···。ありがとうございます。パスさんも言いにくい話じゃなかったですか?」

 

「キミたちに比べれば軽い方だと思うよ。むしろ、キミたちが言いにくかったんじゃないかな?」

 

「はい、そうですね。リオもOKしたので話しますが、パスさんが言った事は全て事実です。まさか見られていたなんて思いもしませんでしたよ」

 

「ありがとう。キミたちにとっても重大な秘密なんでしょ?深くは聞かないよ。ただ、確認したかったのは『あの力をどう使うのか?』って事なんだよ」

 

「あれはボクたちだけしか使うことのできない創作魔法です。そして、どうしても使わざるを得ない時にしか使うつもりはありません。あくまで自衛のために使います」

 

「···それを聞いて安心したよ。ホッとした。あの力はヒトが持つにしては強大すぎる。いかに元整調者(ピースメーカー)のリオさんだからといって、平時にあの力は危険すぎるんですよ。

 

 そしてその力を他に知られてしまえば、力を得ようとしてキミたちはいろんな組織や国に狙われることになりかねないんだ。

 

 人間は欲深いからね。その力を使う時はちゃんと状況を確認してからにすることをオススメしておくよ」

 

「助言ありがとうございます。気を付けておきますね」

 

「ははっ!良かったよ。キミたちなら大丈夫だと思うよ。ただ、追い詰められた時はヒトは正常な判断ができない場合がある。キミたちが選択した行動がいい方に向かうことを祈るよ」

 

「そうですね。肝に銘じておきますね。そうそう、こちらも正しい情報を一つ渡しますね。あの謎の魔法の跡って、あれは変身したボクの超必殺技の魔法だったんです。あまりに莫大な魔力消費だったので黒魔法が溜まったみたいなんです」

 

「そういうことだったのか···。納得したよ。ありがとう。ただ、この情報も本国に伝えてはいけないものだね」

 

「ははっ、そうですね。そう言っていただけるならボクたちも安心できそうです」

 

「そう言ってくれるとありがたいね。さて、思っていた以上に話が長くなったね。観光案内所はもう営業開始だよ。思いっきり楽しんでおいで」

 

「ありがとうございます!そうさせてもらいますね」

 

 

 そうして、ボクたちは冒険者ギルドを後にした。

 

 

 

 

 ···よかった。彼らなら大丈夫だろう。力を正しく使ってくれそうだ。

 

 私の正体まで話して信用を得ることができたのは僥倖だ。

 

 さすがに彼らの力をアテにするつもりはないが、この信用を得ることができたのは非常に大きい。

 

 本国には報告できない内容だし、あくまで個人的なつながりではあるけどね。

 

 万が一、この世界の危機が訪れた場合に整調者(ピースメーカー)以外の人々の希望になる可能性が高い。

 

 そうならない事を祈りつつ、彼らが別の組織に力を利用されないように見守らせてもらうとしようか。

 この回は作者が書いていて恐怖を感じた回でした。

 書いている最中に全身が震えだして止まりませんでした···。


 書き出した時はこんな話にするつもりは全くありませんでした。それが、書いてる途中でアキくんとリオくんが


『何も考えるなよー。今回はオレたちで話を進めるぞー。その内容だけ書くんだぞー』


と言い出してその通り書いたんです。


 ···その結果がコレでした。自分が本当に書いたのか?まったく自信がないんです!

 いや、本当にスゴイ体験でしたよ。キャラが自我を持つことの凄さを感じた回でした。


 まさか自分が創り出したキャラがここまでの自我を持って、作者が考えていた設定を改変してしまうとは思いもしませんでしたね。今後はこういった最初の設定がキャラによって改変されてしまう事がほとんどになってしまいます。これも小説家冥利に尽きるって事なんでしょうね。


 さて次回予告ですが、パスさんからの助言を聞いたアキくんは今後どう行動するか?を真剣に考えます。もちろん、参考にするのは読んだ小説とアニメですけどね。

 果たして、アキくんはどういう結論を導き出すのか!?

 明日は朝と夜の2回投稿ですので、お楽しみに!

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