4-1.ねんがんの温泉地に着いたぞー!
今日から第4章がスタートです!
全10話、のんびりとくつろぐアキくんとリオくんをお楽しみ下さい。
明日から3連休ですね!
もちろん2話ずつ投稿しますので、のんびり3連休引き籠る方、旅行にお出かけする方、受験勉強で疲れた時に読もうとする方、皆さまお楽しみ下さい。
グロー歴504年12月30日 午後2時 曇
「ついに···、ついに!着いたぞー!!アクロ温泉!!」
あれから8日、急ぐ旅じゃないから!ということで身体強化を使わずにゆっくり歩いて旅をした。
道中は全てキャンプ!と言いたいところだったけど、リオが思ってた以上に食べちゃったから、1回だけ宿場町で食糧補給と宿に泊まったんだ。
まぁ、変身した時にだいぶ魔力を消耗したみたいだったから、このあたりは仕方ないよね?
あと、やっぱり宿に泊まったらカップル扱いされた···。部屋は強制的にダブルだよ···。仕方ないから今回もリオをモフらせてもらったよ。
ただ、今回はカップルっぽいフリをしていたら、何人かは情報交換で話しかけられたけど、特に困った事にはならなかった。
えっ!?もう女の子でいいんじゃね?だって!?そんな訳にはいかないよ!ボクは身も心も男なんだから!!姿だけなんだよ!?女の子っぽいのは!!
とりあえず、これまでよりも多少マシなトラブルはあったけど、他はキャンプ旅を続けることができた。
生活魔法が使えるとアウトドアも楽しいね~。元の世界では考えられないよ!こんなに好きになるなんてね。
そして火山っぽい山が見えだしてきて、卵の腐ったような硫黄の臭いがしてきた。でもこれって本当は硫黄じゃなくて硫化水素なんだよね~。
アクロ温泉に近づいていくにつれて、湯煙が立ち上っているのが見えた。湯量は豊富なようだね。火山のふもとにある温泉だから、おそらくは酸性泉か硫黄泉だろうね。
どっちも元の世界では住んでた近くにはなかった泉質だから個人的に大好きなんだよ~。
「いやー、やっと着いたなー。身体強化使わないから結構かかったぞー」
「でも、道中はいつもよりも楽しかったよ!こういうのも旅の楽しみの一つなんだとわかったよ」
「アキが喜んだのなら良かったぞー。じゃあ、早速宿を探すぞー」
「おー!どんな温泉があるかなぁ~」
そして、温泉街に入る手前にあった入街審査を受ける。その際に連絡事項として、出発するまでに一度冒険者ギルドに寄って欲しいと言われた。
パスさんが言ってた謝礼かな?あれは元はといえばボクのせいなんだから、気を使わなくてもいいのに···。
まぁ、いいや。行かなかったらそれで町を出る時に何か言われそうだから、滞在中に伺うことにしよう。
そして、門をくぐるとそこには···?
お土産屋さんと温泉宿がたくさん並んでいた!本当に日本にあった温泉街と雰囲気が似ているよ!
いかんいかん!変にテンションが上がりすぎるとまた失敗するぞ!まずは観光案内所っぽいところを探そう!貸し切り温泉の宿があるか聞いてみるぞ!
「すいませーん!ここの温泉で貸し切り温泉のある宿ってありますか?」
「やあ、いらっしゃい!かわいいお嬢さん!貸し切りの宿ならこことここの2件かな?最初の1軒目は部屋自体が小屋になってるし、小屋に露天風呂が併設されてるんだ。食事も小屋で食べれるからあなたたちのようなカップルには最適じゃないかな~?ただ、ちょっとだけお値段が高いんだよ。
もう1軒は普通の宿なんだけど、大浴場の他に別料金で時間貸しの貸し切り温泉があるんだよ。こちらはリーズナブルな価格だね!懐具合で決めたらいいんじゃないかな?」
「なるほど、参考になりました!ありがとうございました!」
「いえいえ!ゆっくりしていってね!!いい思い出を作るんだよ~!」
「リオ、どっちにする?お金はリオが出してくれるって事だからリオが決めてよ!」
「じゃあ、最初の小屋タイプの宿だなー!ここなら人の目を気にせずに風呂もメシも堪能できるぞー!」
「いいの?ちょっと高いらしいけど?」
「だ~か~ら~!気にするなー!オレが泊まりたいんだよー!!」
「わかったわかった!···ありがとう、リオ!」
「おう!じゃあ、行くぞー」
···リオには本当に感謝だよ。いつもボクに気を遣ってくれる。本当にいい相棒に出会えて良かったよ!
さて、目的の宿は川沿いにあった。宿の名前は『アレスタ亭』。
···なんかめっちゃ高そうな宿なんだけど!?いいの?ここで···?
玄関で立ち尽くしたボクを見て、リオはさっさと先に玄関をくぐってフロントへ行ってしまった。ちょ、ちょっと待ってよ~。
「ちわー!今日からとりあえず5泊したいんだけど、空いてるかー?」
「あら、いらっしゃいませ!5泊ね?空いてますよ!え~っと、お二人様でいいかしら?」
「おう!そうだぞー!ここの温泉っていいのかー?」
「ええ、もちろん!卵の腐った臭いのする火山特有の温泉は最高よ~。他の宿場町にある温泉とは一味違うからオススメするわよ!」
「へー、そうなのかー?アキ、このおばちゃんが言うことって本当かー?」
「ボクが知ってる情報だとその通りだよ。硫黄泉は殺菌作用があったりするから一部の肌の病気にはいいとされてるね。ただ、肌への刺激が強いから皮膚の弱い人はちょっと厳しいかもね」
「あらあら!お嬢さんは温泉に詳しいのね!?だったらうちの温泉が良いってわかるんじゃないかしら?」
「そうですね。良いと思いますよ。あと、ボクは男ですから」
「···え?···そうなの?···カップルじゃないのね?見た目では全くわからなかったわ。ごめんなさいね、変なこと言ってしまって」
「いえ、よくあるので気にしないですよ。宿泊、お願いできますか?」
「ええ、もちろん!こちらが小屋のカギよ。小屋の露天風呂はいつでも入れるから、好きな時間に思いっきり楽しんでちょうだいね!
連泊の場合、風呂の清掃は希望した時間に伺うようにするわね。夕食は午後6時、朝食は午前7時半に持っていくからね。昼食は別料金で用意するけど、朝食までには注文してね!あと追加オーダーとかあったら、悪いけどフロントまで来て注文してね」
「おー!ありがとなー、おばちゃん!代金はこれでなー!」
「はい、確かに!ではどうぞごゆっくり過ごしてね~」
さて、今夜から宿泊する小屋に入った。
結構広いよ~!リビングにソファ、ツインベッドに···、専用の露天風呂!!
元の世界でもこんな豪華な部屋には泊まったことないよ!?
「リオ?なんかすごい豪華なんだけど···。本当に良かったの?」
「もー、いいじゃんかー!旅してたらこんな宿に泊まることなんてそうそうないんだぞー。せっかくだから楽しんでくれよなー!」
「···そうだね。じゃあ、思う存分楽しませてもらいます!」
「おう!じゃあ、まずは風呂入るかー?なんか雰囲気よさそうだよなー」
「そうだね!元の世界でもここまでいい雰囲気の温泉は少ないよ。一緒に入ろうか!」
「よーし!オレもゆっくりするぞー!アキ、背中洗ってやるぞー」
「じゃあ、ボクも!誰にも気にせず楽しもうね~!」
書いていて、本当に温泉に行きたくなりましたね!
作者が住んでいる『はりまちほー』は火山がないので硫黄泉や酸性泉がないんですよね~。
ですので、遠くへ旅行しないと入れないのです。
ああ!今なら温泉宿で缶詰で執筆という『プロ作家ごっこ』がリアルで出来るのに(笑)!
仕事が落ち着いたら休み取って連泊しよう!と、仕事を忘れて遊びたい作者でした。
さて次回予告ですが、最高の温泉宿での夕食時にアキくんが酒を飲んで現在の心境をリオに素直に吐きます(言葉)。そして、今のアキくんの行動指針の原点について語ります。
明日から3連休は朝と夕方の計2話投稿します。お楽しみに!




