3-11.自分のやった事の後始末は自分でつけてやる!!
本日は作者が夜勤のため、この時間に投稿しています。
「申し遅れました!私はアクロの冒険者ギルドから依頼を受けた調査員冒険者のパスといいます!」
「ボクはアキ、こっちはリオです」
「おう!リオだぞー!」
「パスさんはこれからどうされるんです?」
「アクロに戻りたいところなんですが、先ほどの魔獣の襲撃で荷物を失ってしまいまして···。もう夜になってしまい、近くの宿場町まで移動する事もできないので困ったことになってしまいました···」
「う~ん、リオ。パスさんを今夜だけ一緒に泊めてあげる?」
「アキがいいならいいぞー。テント2つあるからもう1つ出すかー」
「そうだね。ボクとリオは一緒に寝ればいいからね」
「そ、そんな!巻き込んで迷惑をかけておきながらテントまで貸していただくわけにはいきませんよ!!寝ずの番でいいですから!」
「パスさんも追われて疲れてるだろうから、遠慮せずにテント使ってよ。そうそう、寝ずの番はボクの魔法で代用できるから大丈夫ですよ」
「う~ん···。じゃあ、お世話になります!本当にありがとうございます!」
「ついでに今から夕食なんだ。好みに合うかわからないけど、良かったら食べて下さいね」
「何から何まで···、ありがとうございます。そうだ!アクロへ行く用事あったら冒険者ギルドに必ず寄ってくれませんか?気持ちだけですが謝礼を用意しますから!」
「そんなに気にしなくてもいいですけど···、まぁ寄れたら寄らせてもらいますね」
パスさんと一緒にキャンプする事になった。
まぁ、こうなった原因が超必殺技を考えなしにぶっ放したボクだからね。罪滅ぼしじゃないけど、これぐらいはしてあげないと。
パスさんのような、このエーレタニアの冒険者とお話しするのは初めてだ。これまでは商人の人や旅人ばかりだったからね。
パスさんは調査専門の冒険者だそうだ。小柄な体型を活かしていろんな魔獣の調査を行い、討伐が必要か?とかの情報を冒険者ギルドに届けるのが主な仕事で、今回みたいに魔獣に奇襲をかけられたのはほとんどないらしい。今回は本当に異例だったようだ。
さて、パスさんも疲れてるだろうからそろそろ寝るか、といった際に、もはや恒例のやり取りが起きてしまった。
「アキさんとリオさん!私だけのテントを貸していただいてありがとうございます!お二人は一緒のテントで寝られるという事ですが···、私の事は気にせずにおたのしみ下さいね」
「えっ!?あの~、ボクは男なんですけど?」
「えっ!?···そ、そうだったんですか!?ごめんなさい!女の子だと思ってしまって、いい雰囲気のカップルだなぁ~、うらやましいな~、彼氏ほしいなぁ~って思ってしまいましたぁ!」
「あぁ~、まぁよく間違われるんで···。いいですよ。気にしてませんよ(精神に中ダメージ!)」
「本当にごめんなさい!(でも、男同士で一つテントの下っていうのもそれはそれでアリ···、かな?)」
「はっ!?今なんて言いました!?」
「えっ!?い、いや、何にも言ってないですよ~!気のせいですよ~」
「そうですか?···まぁ、今日はこの辺で寝ましょう。おやすみなさい」
「はい!おやすみなさい~」
···小声だったけど確かに聞いたぞ!!そういう関係じゃないって!元の世界にもいたけど、腐女子ってみんなこうなのかなぁ~。···ボクたちの同人誌が作られるって事ないよね?
せっかくキャンプで人の目を気にせずゆっくりできるって思ったのに···。
「(アキー。今日もモフらせてやるけど大丈夫かー?)」
「(うん。お願いするけど、静かに寝ようね。パスさんに変に思われちゃうし)」
「(そうだなー。途中から顔が少し赤かったからヘンな事考えてそうだったなー)」
「(そうだよ!結局気にしながら寝ることになっちゃったよ。明日こそはゆっくりしたいなぁ~)」
「(まぁ、事情が事情だけに追い出す事できないしなー。今日はあきらめようかー)」
「(そうだね。じゃあ、おやすみ、リオ!今日もモフらせてもらいます)」
「(おー!今日もお疲れ様ー!おやすみー)」
グロー歴504年12月22日 晴れ
周りが明るくなり、鳥の鳴き声で起きた。リオは横にいなくて外で人型になって火を熾していた。
「おっ?おはよー、アキ!今日もいい天気だぞー」
「おはよう、リオ!昨日はぐっすり眠れたよ」
「それは良かったぞー。だいぶ顔色が良くなってきたなー。ただ、まだムリは禁物だぞー」
「うん、わかってる。今日も頼りにしてるよ!」
「おう!任せとけー!」
リオと朝のあいさつを交わした後、パスさんも起きてきた。
「ふわぁ~、おはようございます。お二人とも早いですね~」
「おはようございます、パスさん。ゆっくりできましたか?」
「おかげさまでしっかりと休めましたよ!では、私はこの辺で失礼させていただきますね」
「えっ?朝食はいいですか?」
「そこまでお世話にはなれませんよ。宿場町までは昼までには着けるでしょうから大丈夫ですよ」
「そうですか。では、道中お気をつけて!」
「はい!ありがとうございました」
パスさんは起きたらすぐに出発した。かなり急ぐ内容らしいね。それじゃあ、ボクたちも片づけて出発するとしますか!
その時だった。
またスマホから警告の通知があり、魔獣レーダーから魔獣が多数接近しているとの情報だった!
「リオ!やっぱりボクがこの前放った超必殺技の跡あたりから魔獣がたくさんこっちに向かってるよ!」
「やっぱり黒魔力が多すぎたか!何もせずにここから去ったら宿場町が襲われそうだぞ!」
「リオだけで対処できそう?」
「う~ん···。ちょっと難しいぞ···。半分はなんとかできそうだけど、数の暴力になってるから魔法が間に合わないと思うぞ」
「じゃあ···、合体変身しよう!」
「アキ!!自分が何言ってるのかわかってるのか!?魔法制御が不安定な状態で変身したら、どんな悪影響が出るかわからないんだぞ!?」
「そんなのは承知の上だよ!!でも···、これは自分がやった事の後始末なんだ。できる限りボクの手で片づけたいんだ!!」
「アキ···、わかった。だけど、無茶はしてもムリは絶対するな!できる限りオレがサポートする!いっぱい指示出してくれよ!」
「ありがとう、リオ!じゃあ···、大掃除を始めようか!!」
初めて自分の意志で変身することを決意したんだ。解決するための力があるんだ!そして、自分のやった事の後始末は自分でつけてやる!!
アキくんが自分の意志で変身することを決意した回でした。
まぁ、変身を人に見られる環境じゃなかったってことが大きいんですけどね。
変身後の魔法は莫大な魔力を消費してチート級の威力を発揮する反面、後で魔獣がわんさか発生してしまうという大きなデメリットがある事が前回で判明しています。
これは作者がこれまで読んだり見てきた作品ではほとんどない設定で、かつ作者自身が疑問に思っていた事なんですよね。何のデメリットもなしにチート級使えていいのかな?ってね。
それを本作では『黒魔力』という形で表現してみました。ある意味実験的な事をやっています。
今後のお話ではこのデメリットも計算した上で魔法を行使する事になっていきます。
さて次回予告ですが、第3章の最終話です。
大規模な魔獣の襲撃に対して若干覚醒した(最近公開された映画ように種がはじけたような?)アキくんが変身後の力を思う存分発揮します!もちろん悪影響を考慮してですよ!
明日も朝投稿、夜にネタバレ集と設定資料集を投稿します。




