3-10.超必殺技の副作用
グロー歴504年12月21日 曇
今日からはキャンプで夜を明かすことにした。
まずは食料をたらふく買い込んでからチェックアウトして宿場町を出た。
···おやつが多かったような気がするけど、気のせいかな?
キャンプなので、今日はどこまで進むという目標はない。とりあえず歩いて行けるところまで行き、そこでキャンプをする。ある意味自由な旅だ。
そうそう、魔法の制御が不安定で思うように魔法が使えないボクだけど、生活魔法とスマホ連携の創作魔法だけは問題なかった。
とりあえずは通常の生活には問題ない。
困るのは魔獣との遭遇や昨日みたいな山賊が出た場合だ。
その時はボクはリオの足手まとい確定だ。
そうならないように、一番初めにリオの拠点からアーマチュア街まで行った時のような慎重さで街道を進んでいた。
そうして時間は午後3時半、明るいうちにテントを張ったりしないといけないので、早めに切り上げて街道から外れて森の奥の方に向かった。
もちろん、魔獣レーダーで安全確認は万全だ!少し開けた場所があったので、今日はここでキャンプだ!
「じゃあ、今日はここをキャンプ地とする〜!!」
「おー!!じゃあ、テント張るかー!アキも手伝ってくれよー」
「もちろん!久々のキャンプだねー!」
そうしてテントを張り、焚火ができるように枯れ枝を拾いに行った。
そして、陽が落ちてきた。焚火の明かりをじーっと見てると心が安らいだ。
あれだね~、動画サイトで焚火を映してるだけのものがあったけど、気持ちがわかるよ。落ち着いてくるんだよね。
「今日はひさびさに二人っきりの夜だね~。周りに気を使わないといけない人がいないから気持ちが楽だよ」
「そうだなー。女の子に間違われることもないから、安心してくつろげるのもいいんじゃないかなー?」
「ほんと、なんで神様はボクの格好をこんなにしちゃったんだろうね?与えられたギフトもトラブルに巻き込まれやすいって、ある意味イジメだよ」
「まー、あの神は性格がひん曲がってる部分があったからなー。自分は面白いと思ってもその人からすれば面白くないってところがあったしなー」
「あー、それわかるわー。ボクが読んでた小説でもそうだったよ。作者さんとボクの感覚が全く違っててボクは面白くもなかったから、そういうのと同じだね」
「人それぞれ考え方や感じ方が違うからなー。わかってほしくてもわからないって事もあるから、人間関係って難しいもんだぞー」
「そうだね。しかし、こうやってリオと落ち着いていろいろと話せるのは嬉しいなぁ~」
「どうしたー?急にー?」
「いや、いままで酒場でも楽しく話していたけど、周りの目線とかがあったからこうやって腹を割って話したことなかったような気がしたんだよ。今日は完全に二人だけだから、たわいもない話ができて、嬉しいんだよ」
「そうかー。まぁ、しばらくはキャンプするから、そういった時間は多くとれるからなー。遠慮なくするといいぞー!」
「ありがとう、リオ!」
その時だった。スマホから通知音がしたんだ!何があったんだ?
「アキ、どうした?」
「スマホから通知音が···。えっ!?魔獣レーダーから警告が来てる?この近くに魔獣が近づいてるようだよ!」
「どっちからだ?大物だったらここから魔法をぶっ放すけど?」
「えっと···、左だ!大きさは前のフィアーボアとレックスの間ぐらいかな?数は···、4体!」
「なら、このまま姿が見えたら即攻撃するからな!アキはちょっとだけオレから離れてろ!」
「うん!」
リオが身構える。すると、何かがこっちに向かって走ってくるような音がしてきた。
あれ?これって、もしかして誰か追いかけられてるのかな?
そう気づいた時には姿が見えてきた。小柄な猫耳の獣人だ!必死に逃げているようだ。向こうもこっちに気づいた。
「ご、ごめんなさ〜い!追いかけられてるんです〜!!」
「橫に跳べ!魔法をぶっ放すぞー!」
「はいぃーーー!!」
リオが予告して猫耳の獣人は跳び退いた!
その後ろにはトラっぽい魔獣が追いかけていたけども、次の瞬間!リオの岩砲が無数放たれた!!
トラっぽい魔獣は避けることもできずにその場で撃ち抜かれた。
やっぱりリオは強い!!
状況に応じていろんな手段が講じられるのは強いね!
さて、さっきの猫耳の獣人さんは大丈夫かな?
うん、森の中を走ってたからかすり傷があるけど、ほぼ大丈夫そうだ。ちょっと状況を確認してみるか。
「あの~、大丈夫ですか?」
「は、はい!大丈夫です。あ、あの!助けていただいてありがとうございました!」
「いえいえ、無事で良かったですよ。どうして追われてたんですか?」
「実は、先日ここから北で起きた謎の魔法の痕跡について調査依頼を受けまして、そしたら黒い魔力溜まりがたくさん発生してて、そこから先ほどの魔獣が出てきたんですよ~」
「えっ!?黒い魔力···、ですか?」
「そうなんですよ~。あそこまで規模がデカい魔法?を使われると、魔獣発生の元になる場合が多いので、調査に行ったんですよ~。そしたら見たことのない大きさだったので、ビックリしました!」
「ははは···。そ、そうでしたか」
どうやらレールガンの魔法の副作用が出ちゃったんだね···。
黒魔力ってリオから聞いてはいたけど、そこまでの魔法は使えないから関係ない!って思ってたんだよね。やっぱり超必殺技撃ったたら出ちゃうんだね···。
これは、使ったらしばらく様子見ないと、2次被害が出ちゃうわ。
という事は、今回のトラブルも原因はボクか···。
その後も猫耳の獣人さんの話が続いた。
「まさか逃げてる方向にキャンプしてる人がいるとは思わず、巻き込んでしまって申し訳ないです!しかも助けていただいたなんて、本当に感謝してます!」
「い、いや。災難でしたね」
「でもなー、オレたちだったからなんとかなったけども、他の旅人だったらマズすぎるぞー。気をつけろよー」
「はい···。本当に申し訳ないです」
「しかし、その謎の魔法の痕跡ってこんなに近いんですか?」
「そうですよ~。もう少し西だったら宿場町にも影響あったんじゃないですかね~?」
やっぱり超必殺技は場所考えて撃たないとマズいね···。
あの時はハイになってたから全く後の事を考えてなかったんだよなぁ〜。
できるだけ変身しないよう気をつけよう!と心に誓った。
···だけど、そう問屋は卸さなかったんだ。
キャンプ生活を始めたものの、アキくんがぶっ放したレールガンの超必殺技の副作用で魔獣に襲われてしまいました。
そして出会った冒険者さん。アキくんたちを巻き込んだ形になってしまいましたが、この出会いは今後のアキくんたちに重要なイベントとなります。
どんな形かは今後をお楽しみに!
さて次回予告ですが、魔獣の襲撃を退けたアキくんたちにさらなる危機が迫ってきます。
その時、アキくんは重大な決心をするのです。
なお明日ですが夜勤のため、投稿は出社前の朝にします。
明後日は第3章最終話のため、24時間戦ってボロボロ状態な作者が寝る前(朝)に投稿し、夜にネタバレ集と設定資料集を投稿します。




