3-6.もうやめて!アキのライフ(精神力)はとっくに0よ!!
今日は土曜日だから2話投稿してます!
こちらは本日2話目の投稿です。朝に1話投稿してますので、今日初めて見た!って方はこのお話を読む前にそちらを先に読んでくださいね。
「どうもレックスデラックスは倒されたらしいんだが、倒したヤツはなんかかわいい白銀竜の着ぐるみを着ていて、空を飛びながら戦ってたらしいんだとさ」
ブフーッ!!ボクとリオは吹き出した!
見られてた!!アクタさん以外に見られちゃってた!?は、恥ずかしい!!!
これはなんとしてもシラを切らないと!!
「おっと!大丈夫か!?まぁ、吹き出しちまうぐらいバカげた話だよなぁ?わかるぜ?
なんでそいつはそんなバカげた話をしたのかはわからんがな。混乱してたとしてもありえんだろう?
かわいい着ぐるみ着て戦うなんて、正気の沙汰じゃないぜ!
まぁ、レックスデラックスは倒されて、森に長い爪痕を残すぐらいの魔法で倒したのは確からしいんだが、それがその着ぐるみ着たやつとはとうてい思えんよなぁ~」
「は、ははっ···。そ、そうですね···。ちょっと信じられないような内容のうわさですね···」
「だよなぁ~!じゃあレックスデラックスは誰が倒したんだ?って話になるんだが、これもまたわからんのだよなぁ。
今まで出たうわさをまとめてみると、どうしてもその白銀竜の着ぐるみを着たヤツが倒したって話になってしまうんだよなぁ~。
これはこれからの行程の判断に迷うんでちょいと尋ねたんだが、まぁいいか!討伐されたってことは安心して行けそうだ!と判断してもな!」
「そ、そうですね···。ボクたちも安全に来れたので大丈夫じゃないでしょうか?」
「そうだな!わかったぜ。ありがとよ!」
「はい···。道中お気をつけて···」
食欲がなくなってしまった···。でも、今食べてるのを残すのもまずいので、さっさと食べてリオと逃げるように部屋に戻った。
「うう···、見られてた。もうだめだぁ~」
「アキー!しっかりしろー!まだアキの顔を見られたわけじゃないんだから大丈夫だぞー!」
「リオォ~、ボクのライフはとっくに0どころかマイナスだよぉ~」
「何わけのわかんないこと言ってんだー!?気にすんなー!」
「ごめん···。今日はもうこのまま寝かせて···」
「う~ん。わかったぞー。しっかり休むんだぞー」
「うん、おやすみ···」
「おう、おやすみー。って、これは相当重症だぞー。どうすっかなー···?そうだ!アキ、ちょっと待ってろー!」
リオは部屋を出て行った。と思ったらすぐに戻ってきて、なにやら目をつぶって集中しだした。···何する気だ?
すると、リオの体が光りだして、次の瞬間にはボクが初めてあった時の小さな猫サイズ···、ではなくてボクとほぼ同じサイズの白銀竜の姿になっていた。
どうしたんだ?
「へっへっへ~、アキ!今日オレはこの姿でアキと一緒に寝るぞー!」
「え!?狭くない?でも、なんでいきなり?」
「気づいていなかったかもしれないけど、アキ。お前にはこの世界では本当の家族がいないんだ。
寂しい思いやつらい思いをしたって、それを素直に言える関係なのは、受け止められるのは今はオレだけだ。
オレは本当の家族にはなれないけど···、だけど!アキの家族っぽい事はしてあげられると思うんだ。
この姿なら触り心地がいいだろうから、ぬいぐるみ代わりとしてオレを抱いて今日は寝ろ。それで心が落ち着くならそれでいいからな。
···今のオレにしてやれることと言えばこれぐらいだ。
そうそう、さっきフロントで延泊申し込んどいたからなー。明日は朝ゆっくり起きたらいいぞー」
「···ありがとう。気を使わせちゃって。お言葉に甘えさせてもらおうかな?」
「おう!オレは触り心地いいぞー!」
そうしてボクはリオを抱き枕代わりにして寝た。
暖かくてモフモフで気持ちよかったよ···。あっという間に眠気が襲って意識を手放した。
グロー歴504年12月19日 雨
翌日、ボクは起きれなかった。
やっぱり変身はほかの人から見たらあの人のような感想になっちゃうんだ···。
そりゃそうだよ?着ぐるみ着て戦うなんて、元の世界のショーでもしっかりしたコスチュームでやるんだもん。ありえないって思われても仕方ないよね?
確かに変身した後の力はすさまじいよ?時間制限付きとはいえ、世界最強クラスだよ?もしかしたらリオが戦った大魔王に匹敵するぐらいじゃないの?
でもその代償がなぁ~。あの格好だもんなぁ~。
これって、変身を多用するなって神様の警告なのかな?スマホにはメール来てないからわからないけど。
カーネさんたちが言ったように、ボクがリオの魂の器を修復した際に『結果的』にかわいくしちゃったってのが根本原因ではあるんだけどね。
はぁ~。もう落ち込んでる場合じゃないよね。
「おっ?アキ、起きたかー?大丈夫かー?顔色がまだ悪いようだぞー?」
リオはすでに起きていた。今は人型の姿になっている。
「おはよう、リオ。だいぶ楽にはなったよ。リオのおかげだよ、ありがとう。それで、今何時ぐらい?」
「もう午前11時だぞー。今日もゆっくり休んどけー」
「もうそんな時間なんだ···。ごめんね、リオ。迷惑かけちゃった」
「気にしなくてもいいぞー。まさか変身がアキの精神にここまでダメージを与えてしまってたなんて考えてなかったからなぁー」
「そうだね。あんまり多用するなって神様の警告なのかもしれないね」
「あー、そう言われると納得だなー。あの神のやることだし、そういう嫌らしい仕込みをしててもおかしくないぞー」
「リオにそういう風に言われるなんて、あんまり神様信用してないんだね?」
「大きな声では言えないけどなー。一応整調者時代に会ってはいるからどんなヤツかは知ってるしー」
「そうなんだね。さて、ボクも寝てばかりじゃダメだ。ちょっと温泉にでも入ってくるよ」
「あっ!温泉は今清掃中だぞー。午後からだから、今のうちに昼飯食って、それからにしとけー」
「そうなんだ。ありがとう、リオ」
「おう!せっかく温泉あるところで連泊するんだから、ゆっくりしろよー」
ありがとう、リオ。さりげなく気遣ってくれて。いつも助かるよ。
さて、昼食を終えるとちょうど温泉の清掃が終わったようだ。
ゆっくりと温泉に浸かって疲れを癒す。
そう、温泉は精神的にもいいとされてるんだよ。転地効果って言って、普段の環境じゃなくて解放されたー!って精神的リラックス効果があるからね。
温泉地で連泊なんて、元の世界でもやってたけど、こっちでもやれるとは思わなかったなぁ~。
そうだ!エーレタニアに温泉地ってあるのかな?こういう宿場町みたいじゃなくて町全体が温泉地ってところ。
もしちょっと寄り道ぐらいで行けそうなところがあったらぜひ行ってみたいなぁ~。
上がったらスマホで確認しよう!よし、ちょっとだけ元気が出てきたぞ~!
大好きな温泉の事を考えたら元気が出てきたよ。早速部屋に戻ってスマホの地図アプリで温泉地を検索する。
すると、この先150kmぐらいのところでちょっと街道から外れたところにアクロっていう温泉地があることが判明した。
っていうか、温泉マークついてたよ···。あれっ?しかも今泊っているこの宿場町にも温泉マークがついてる!?
昨日はこんな表記なかったよ!?知らない間にアプデされたのか!?
もしかして、変身であまりにも落ち込んだから神様が励ましてくれたのか···?まぁ、元気にはなったけど。
「リオ?この先に温泉地があるって知ってた?」
「んー?アクロの事かー?行ったことはないけど知ってはいるぞー」
「そうなんだ。ねぇ、通り道だしちょっと寄ってみない?」
「そうだなー。アキは温泉大好きだからいいかー!遠回りでもないし、ちょっとだけくつろぐかー」
「ありがとう!じゃあ、次の目的地···、っていうか経由地だね。アクロへ行こう!」
「おー!アキ!頑張って行くぞー!」
落ち込んだりしたけど、ボクは元気です。
身バレはしませんでしたが、戦闘シーンを見られて恥ずかしさのあまりショックを受けて落ち込んでしまったアキくん。
全快まではしませんでしたが、リオくんのモフモフぬいぐるみフォームで心を少しだけ癒されました。ここはリオくんがやさしさを見せてくれましたね。
話中のとおり、アキくんはたった一人でエーレタニアにやって来たため、家族がいません。
そのため、リオくんが親代わりになってくれているんですね。
良き相棒でもあり、親でもあるリオくんでした。
『抱く』という行為は精神の安定と安心感をもたらすようですが、現状医学的には証明されていません。いわゆる『ぬいぐるみセラピー』なんですが、抱き枕や抱きぬいぐるみが売っているということは何かしらいい作用があるのでしょうね。
さて次回予告ですが、精神が弱ってしまったアキくんに、(作者が)さらなる追い打ちを仕掛けます!その時、リオくんはどうするのか!?
明日は日曜日なので、朝と夕方頃に投稿しますので、お楽しみに~。




