3-2.世の中、知らない方がいい事もあったんだ···
グロー歴504年12月18日 晴れ
···気がついたら朝だった。
···昨日はどうしたっけ?酒場でヤケ酒したのは覚えてるんだけど、それ以降の記憶がないんだよ。
そんなに飲んだのかなぁ?確かに二日酔いで頭痛いし。よくわからないんだけど、とりあえずリオに聞いてみるか。
「リオ、おはよう。昨日酒場で酒飲んでから記憶がないんだけど、ボク大丈夫だった?」
「ん〜?おー、アキ。おはようー。だいぶ気が落ち着いたかー?」
「えっ?なんの事?だからボク覚えてないんだけど···。もしかしてボクなんかやっちゃったの?」
「あ〜〜、まぁ、気にするなー。そういう事も人生あるからなー」
···?いったい何があったんだろう?リオは教えてくれそうにないようだ。これって以前あった時と同じ状況だよ?また今回も真相は闇の中なのか?
とりあえず支度して朝飯を食べに酒場に行った。
やっぱり周りの人から穏やかな目で、見守るような目で見られたよ···。どうして?と思ったら、隣のテーブルに座っていたおっちゃんから声をかけられて真相が判明した。
「よお!昨日はいい飲みっぷりだったなぁ!その年でそれだけ飲めるってのはいい事だ!ただ···、加減は覚えておいた方がいいぞー。あんちゃんが困ってたぞ!」
「ええっと、助言ありがとうございます?」
「はははっ!でもいいものを見させてもらったよ。今後の旅も大いに楽しみな!ところで、昨日はあの後あんちゃんとおたのしみだったんだろ?ちょっと若すぎる気もするが、毎晩おたのしみはうらやしいなぁ~~!!おっちゃんも、もうちょっと若かったらなぁ~~!!はははっ!」
「はあっ!?い、いや、ボク男ですけど!?そんな関係じゃないですよ!!」
「な、なんだってーーーー!!アツアツなカップルじゃなかったのか!?あんなに最初はいい雰囲気で飲んでたのに!?」
「そんなわけないじゃないですか!!男二人旅ですよ!」
「お、おう。そうだったのか。こりゃ悪いこと言っちまったな。すまん!」
「もういいですよ。よく間違われますし。ところで、昨日ボクが飲んでるところ見てたみたいでしたけど、どんな感じでした?途中から記憶がなくて···」
「···聞いて大丈夫なのか?本当に言ってもいいんだな?」
「ええ。お願いします」
「じゃあ···、まずは飲んだ量だな。ビールを樽ジョッキで軽く10杯以上飲んでたな。テーブルの上に並んだ空き樽の数を見てオレ自身ビックリしたよ。
そこからさらに蒸留酒まで注文しだした時は、止めに入ったほうがいいんじゃないか?と思ったけど、2杯目であんちゃんが止めに入ったな。
その間のあんただが、ヤケだったのか?かなりグチをず~っと言ってたな。途中、いきなり陽気になってビールジョッキを持ったまま席を立っていろんな客に絡んでいたぞ。
まぁ、あんたが非常に陽気で見た目がかわいいから、ほかの客とも意気投合しておごってもらったりしてたよ。
客と一緒に不思議な踊りも披露していたなぁ。
こっちも見ていると楽しくて面白かったからつい1杯おごっちゃったぜ!あっ、おれはジュースだけどな!
最後に席に戻ってまたグチをあんちゃんに言って泣き出してから部屋に帰ったな。
こんな感じだったんだが?」
···聞かなかった方がよかったよ。以前のトルネさんの言った事は正しかったんだ。世の中、知らない方がいい事もあったんだ···。
えっ!?ボクって酔うとそうなっちゃうの!?元の世界では多少は飲めたけど、記憶がなくなったり陽気になって絡んだり泣いたりなんてした事なかったよ!?
チビチビとお酒を楽しむ飲み方しかしてなかったのに、ビールを樽ジョッキで軽く10杯以上って···。逆にそれだけ飲めるんだな。
もしかして、これも神様のせい?酔ったら記憶ぶっ飛んで楽しくなってしまう体も仕様なの?
あ~、酒で人生狂う人ってこんな感じなのかぁ~。まぁ、ボクの場合はみんな喜んでくれたみたいだからまだマシな方だけど、今後は自重しよう。
落ち込んだボクを見ておっちゃんは気まずそうにしていたが、親切に教えてもらってお礼を言っておいた。
さっさと朝食を終えてチェックアウトだ!買い物も明日以降でいいや!一刻も早くここを出たい!
逃げるようにチェックアウトしたボクたち。
朝食後に今日の行程を計画したかったけど、とにかく宿場町を出たかったので、町の外でリオと打ち合わせをすることにした。
「さあ!気を取り直して!今日はどこまで行く?リオ?」
「そうだなー、とりあえず街道沿いに午前中は昨日と同じ身体強化5倍で進んでみるかー。魔獣レーダーはどんな感じだー?」
「そうだね···、あれ?街道に魔獣が集まってるところがあるよ?」
「うんー?それってどれくらい先だー?」
「えーっと、ここから11km先あたりかな?あれ?なんか魔獣がさらに集まってきつつあるような感じだけど?」
「もしかして、誰か襲われてるのかもしれないぞー?アキ、もしそうなら助けに行くかー?」
「うん、そうだね。リオも調子が出てきたことだし、大丈夫そうなら助けよう!」
「よし!じゃあ、身体強化5倍で現地へ向かうぞー!着いたらすぐに戦闘に入れるように魔力剣は手に持っとけー」
「わかった!急ごう!」
そしてボクとリオはほぼ全速力で走った。11kmってことは約30分程度で着けそうだ。
それまで持ちこたえてくれればなんとかできる!ボクだって学園で鍛えてもらったんだし、どれだけ成長したか確認できるチャンスだ!
そして現場に到着した。
そこでは商隊が魔獣7体に襲われていた!必死に護衛が魔獣の相手をしていて、2体は倒すことができているようだけど、森からはさらに2体の魔獣が出てきた。
「フィアーボアだ!こいつは群れで行動する魔獣だぞー!」
「リオ!どうすればいい?」
「乱戦状態だから魔法はなしだ!接近戦で応戦するんだ!魔力剣の修行の成果を見せる時だぞー!」
「わかった!右をやるからリオは左をお願い!」
「任せとけー!!」
初の魔獣との戦闘だ。これまでの成果を見せる時だ!!
アキくんが酒で記憶がない時の状況が判明してしまいました。
お酒は楽しく飲むのが一番ですね!絡み酒は人によって迷惑なので、皆さんは気をつけましょうね!
さて次回予告ですが、本作で初めての戦闘回です!
戦闘シーンの描写って難しいですね。現時点でのアキくんの実力を思う存分発揮します!




