3-1.バカップル爆誕!?
今日からは第3章です!
作者が仕掛けた逆襲トラップ···ではなくてトラブルで、アキくんが史上最大のピンチを迎えてしまいます。
まずは前菜からお楽しみ下さい。
さあ、ここからは長い長い旅になるぞー!
とりあえずジスタ3国までは街道が整備されているので、街道沿いに進んでいく。街道外れても特に何もないからね。
魔獣レーダーでも特に迫っている危険はないようだから、久しぶりに身体強化4倍で一気に進むことにした。
カイジの町でもリオの魂の器の治療とかで結構魔法使ったから魔力量が多くなったみたいだし、どこまでもつか?も気になるからね。
そしてリオ、これまでは小さな竜状態で飛んでたから身体強化は使ってなかったけど、今は人型で少年の姿だ。
この状態で身体強化を使ってボクに付き合ってくれた。ちなみにリオは1.5倍程度で使ってるそうだ。
やっぱり人間とドラゴン族の種族の違いってのが如実に表れてしまうね。これは仕方ない。
ただ、この状態のリオの全力でもボコボコにしてしまうカーネさんって、もはや人外レベルなんだなぁ〜と実感したよ。
途中の宿場町もすっ飛ばして行けるだけ進んでいき、ちょうどお昼になったので、景色のいい小川の近くで昼食を摂ることにした。
「ふぅ~、結構走ったよね?2時間で40kmぐらい走ったよ。リオは調子どう?」
「う~ん、やっぱり今までと感覚が違うから微妙だなー。魔力だけは結構あるんだけど、使い方がいまいちなんだよなー」
まぁ、ボクのせいでボクの魔力が混ざっちゃってるからなぁ~。代わりに合体魔法が使えるようになったけど···、あんまり思い出したくないけどね。
「とりあえず、普通に使う分には問題はなさそうだぞー。このままの調子で進んでいくかー?」
「今日はちょっと早めに休まない?今まで町中で過ごしてたから体鈍ってるし、初日から飛ばしすぎると後半バテるだろうしね」
「そうだなー、そうするかー!で?この先の宿場町まであとどれくらいだー?」
「そうだね···。ここなんかはどうかな?あと34km先の宿場町!ちょっと一回り大きそうだから、なにか他にもお店あるかも?」
「よーし!じゃあそこに決定だー!もうちょっとしたら行くかー。そうだ、アキ!身体強化5倍にあげてみろー。多分大丈夫だぞー!」
「うん!そうしようか。じゃあ、午後も頑張ろうね!」
リオから見てボクも成長したって事かな?このエーレタニアに来てから約8ヶ月。エーレタニアは1ヵ月が35日だから地球だと約10ヶ月弱だ。
もうそんなにもなるんだね。成長したようで良かったよ。
ただ···、背が伸びた感じがあんまりしないんだよね。大丈夫かな?神様が作った体だけど、成長期だよね?早く男の娘脱したいんだけど···。
そして、昼休憩を終えて初の身体強化5倍で街道を進んでいくことにした。
えっ?10倍もやっただろって?あれはレックスに追いかかられて命の危機だったから···。
気を取り直して、街道を進むボクたち。うん!5倍でも体は大丈夫そうだね。リオも身体強化2倍弱で一緒についてきてくれた。
そしてだいたい1時間半、ちょうど宿場町の宿のチェックイン直前ぐらいの午後2時半ぐらいに到着した。
この世界でも宿のチェックインはだいたい午後3時が多いんだよね。これも元の世界の感覚と一緒なのでありがたいけど。
さぁ!チェックインするか!ここの宿もこれまでの宿と同様の作りだね。
···なんか某ビジネスホテルチェーンっぽく感じてきたよ。
「あらあら、いらっしゃいませ~。お食事?それとも宿泊かい?」
「宿泊でお願いします。ツインの部屋って空いてます?」
「あら?何言ってるの?ダブルでしょ?なんでツインにしちゃうのかしら?もしかしてダブルとツインの違いを知らないかしら?」
「いや、ちゃんとわかってますよ。ダブルが大きなベッド1つでツインはベッド2つですよね?」
「ちゃんとわかってるなら、なんでダブルにしないのよ?せっかく泊まるんだからそうしなさいよ!」
···うん?話が噛み合わないよ。なんでおばちゃんはボクたちにダブルを押し付けてくるんだ?
もしかして、そういう趣味がある人なのかな?自分の趣味を客に押し付けるのもどうかと思うけどね。ボクたちはそういう関係じゃないし。
「あのー、おばちゃんの趣味を押し付けられても困るんですけど。頼むからツインの部屋に泊まらせて下さいよ」
「···もしかしてあんたたち、カップルじゃないのかい?」
「はあっ!?カ、カップルゥ?ど、どうしてそんな考えになっちゃうんです!?」
「どうしてって、かっこいい少年とかわいい少女が一緒に旅するって事はカップルじゃないのかい!?」
···そういう事かー。ボクが女の子に間違われちゃうの久々だったから忘れてたよ。
だからリオが彼氏でボクが彼女のカップルに見えちゃったんだ···。
って事はやけに道中微笑ましい顔でみんな見てくるなぁ〜って思ったのは付き合ってる熱烈なカップルだと思われてしまってたのかぁ〜。
これはしまったなぁ〜。でも、この姿はもうどうにもならないから、訂正しなきゃいけない時は絶対に訂正するようにしようっと。
「ボク、男です。ほら、身分証にも書いてるでしょ?男2人旅だからツインでお願いします。もしくはシングル2部屋で」
「そ、そうなのかい?あたしも長年いろんな客を相手にしてきたけど、今日ほど驚いたことはなかったよ···。はぁーっ、世の中は広いんだなぁと改めて思ったよ。じゃあツインの部屋を用意するよ」
「わかっていただけてよかったです。よろしくお願いしますね」
なんとか納得してもらってよかったよ〜。これでカーネさんたちのように嘘つけ!って言われたら大変だったよ。
さて、部屋に入ってボクたちはベッドに腰掛けた。
「ふぅ〜。なんで毎度毎度チェックインするのに揉めるんだろうなぁ〜」
「まぁ、アキは旅行用の格好しても、顔からどうしてもそう思われちゃうんだろうなー。こればっかりはどうしようもないぞー」
「しかも今日はカップルだよ!?カップルって···。どうしてもそう見られちゃうのかなぁ〜?」
「ははは!もうあきらめるしかないんじゃないかー?オレはやりとり見てて面白かったぞー!」
「もう!面白いって、こっちは必死なんだよ?少しぐらいフォローしてよ!?」
「ははは!まぁどうしようもない時はもちろんそうするぞー。頑張れー!」
「むぅ〜〜、人ごとだと思ってぇ〜〜!」
実は今回の旅費はすべてリオ持ちなんだよ。ボクがリオの魂の器を治してあげたから、そのお礼なんだって。
だからあんまり宿については強く言えないんだよね。
とりあえず部屋でくつろいでから夕食を食べるために酒場へ行く。
今日はもうヤケだ!酒も飲んでやる!!
···これがいけなかった。
「お、おい、アキー?もうそのへんにしとけよー?前にも大変なことになったみたいだからやめとこうぜー」
「うるへー!やってられないんらよ!なんれ、なんれ、神様はこんな姿にしたんらよー!?これは、これは楽しくないよー!うえーん!!」
「ち、ちょっとー!アキー!泣くなー!周りからジロジロ見られてるぞー!?」
「らんれ!らんれ!ほーなるんらよー!?うえーん!!」
「ああー、もう、部屋に戻るぞー!ほら!肩につかまってくれー!!」
「うえーん!!リオぉーーー、オクは、オクは!ろうしたらいいんらー!!」
「アキー!しっかりしろー!!」
酒場のお客さんたちの目は、酔って泣き出してしまった彼女を甲斐甲斐しく世話をする彼氏という状況を見てみんな微笑ましく思ったとさ。
めでたしめでたし···?
リオくんがかっこいい少年になってしまったがために周りからカップルと思われてしまって自棄になってしまったアキくん。
酒に溺れてしまいました···。
2回目とはいえ、酒場でついに泣き上戸になってしまったアキくんでした。
さて次回予告ですが、実はアキくんは飲みまくってから記憶がまた飛んでしまっていたのですが、記憶のない間、どういう行動を取っていたのかがついに明らかになります。
いったい何をしたのか?ご期待下さい!
あと訂正がありまして、旧ツィッターでもお知らせしたのですが、序章でレオナード王国の元ネタですが「サイリスタレオナード方式」が正しかったので、ネタバレ集を修正しました。
もう大学卒業して20年以上経ってるので勘違いしていたようです。お詫びいたしますorz。




