2-13.合体変身魔法を試してみよう!(後編)
今回で第2章は完結です!この後ネタバレ集と設定資料集を投稿するので、本日は3話分の投稿になりますが、本編はこの1話だけです。
ボクたちの合体変身魔法は成功したが、その姿は白銀竜のかわいい『着ぐるみ』だった。
どうして···、どうしてこんな事に···。
とりあえず、外に出て性能確認をすることになった。まずは走ってみる。うん、身体強化なしでも驚異的な速度だった。
次にジャンプ。これも普通に領主邸の屋根へ軽く飛べちゃった。身体強化を併用したら屋根までの高さをはるかに超えてしまった。
しかも翼が背中にあるから空も飛べた!飛び方はわからないから、そこはリオに指示出して飛ぶことにした。気持ちいい!!
魔法は···、ちょっとやめた方がよさそうだ。アイリさんの庭をさらに壊すと機嫌悪くなっちゃうしね。
ただ、試験をしているとだいたい10分ほどで変身は強制的に解けてしまった。魔力は二人分を合算した量以上使えるけど、魔力の消費も激しかった。
時間制限付きかぁ。某変身ヒーローと同じだね。
魔法は明日町の外で実験する事になった。
···あんまり着ぐるみの格好になりたくないんだけどなぁ~。
グロー歴504年12月16日 晴れ
ボクとリオはカイジの町の外に出ていた。ちょっと威力がありそうだから町からかなり離れた荒地にいる。
「よーし!ここなら誰にも見られずに思いっきり全力全開で魔法が放てるぞー!」
「え~っ!?どうしてもやるの~?」
「魔法も試しておかないといざ魔獣と戦う時に困るぞー。何ができて何ができないかを把握するのは大事だぞー!」
「···うん、わかったよ。じゃあ、やろう!」
そして、ボクとリオは変身した。う~ん、やっぱりこの格好はだめだよ~!外だと余計に恥ずかしすぎる~!!でも変身しちゃったんだ、気持ちを切り替えてやれることをやろう。周りに誰もいないし。
「リオ、なんだか魔法がいっぱい思い浮かぶんだけど?」
『それはオレが使う創作魔法じゃないかなー?変身中はオレの魔法も使えるってことだなー』
「なるほど、これはいいね!まずはボクの魔法を使ってみるよ」
『おう!どうやらオレはアキのサポートをする役割っぽいぞー。魔法を使う時や空を飛ぶ時は任せろー!』
「うん!じゃあ早速···、ロックキャノン!!」
ドカーーーン!!!
いつもより倍以上の威力だった。しかもノータイムで発動しちゃったよ···。めっちゃ強化されている。
他にも試したい事はたくさんあったんだけど、10分という時間制限があるので、やることを事前に厳選してきた。やることはあと3つある。
ひとつはリオの創作魔法。こちらも頭の中に思い浮かんだ魔法をノータイムで行使できた。
ふたつめはボクの新作創作魔法!電気が得意なんだから、電気の知識を使った魔法を考えてきたんだ。
まずは電気を纏う魔法。雷魔法を防いだり、体術や魔力剣を使用する時に雷属性を付与できると考えたけど、簡単にできた。
やっぱりリオのサポートは大きかった!
最後は超必殺技だ!
やっぱり変身したら超必殺技ぐらいはいるよね!と考えて、某アニメのアレがいけそうだ!と思ったのがあったので、それを試してみた。
···めっちゃ時間かかるし、一気に魔力が底をついたけど、とんでもない魔法ができちゃったよ。
コレ食らったら跡形も残らないんじゃないかな?副作用の衝撃波もとんでもないし···。
うん、確かに驚異的な力だよ。万が一何かあったらこの力でなんとかなっちゃいそうだ。
ただなぁ~。着ぐるみなんだよなぁ~。変身のあるアニメやゲームって身バレしないための偽装の意味もあったんだけど、竜の着ぐるみの口から思いっきりボクの顔出ちゃってるんだよね···。
この変身は街中で使うのはやめとこう!恥ずかしすぎる!!誰もいない場所でピンチになった時の最終手段として使うことにしよう!
性能試験は終了した。非常に精神的ダメージを負ったけど。
帰ったらカーネさんに怒られた。
どうも衝撃波の音が凄すぎて敵襲か!?と大騒ぎになったらしい。
···ゴメンナサイ。
さて話は変わって、いよいよこの町とおさらばする時がやってきた。
カーネさんとアイリさんにリオを会わせてあげる事もできたし、ボクの魔力剣の扱いも教わった。
リオの魂の器の修復にリンさんたちからのありがたい情報。
すべての予定を完了したためボクたちは明日、カイジの町から旅立つことにした。
3カ月滞在したけど、思い出深い出来事ばかりだったね!
さて、次の目的地だけど、どこに行こうか?
ボクたちが打合せしていると、アイリさんからアドバイスがあったよ。
「リオ、次はどこに行く?」
「そうだなー、特に目的はないからどこに行ってもいいぞー」
「それでしたらリオ、あなた里帰りしたらどうですの?」
「んー?レジストに帰るって事かー?まぁーそれもいいかなー?」
「そうですわよ!あなたの無事をちゃんと伝えないといけませんわ!」
「そうだなー、じゃあそうするかー!アキ、それでいいかー?」
「うん、いいよ!ドラゴン族の町かぁ~。どんなところだろうね!?」
「別に大したところじゃないぞー。ちょっとだけ人間たちの町と違うぐらいだぞー?」
「それでもいいよ!楽しみだなぁ~」
次の目的地はリオの故郷、レジストだ。さて、地図アプリで場所とルートを検索してみるか!
なになに?ここから南へ···、1500km!?1500kmって直線距離だと新千歳空港から鹿児島空港ぐらいまであるんじゃない?
新幹線だと東京から鹿児島中央まで行ってももうちょっとあるぐらいだよ?はぁ~、結構遠いなぁ。遠すぎて予測時間が『不明』になっちゃってるよ。
「リオ、結構遠いね。1500kmだって」
「そんなもんだろうなー。まぁドラゴン族は空飛べるやつが多いからそんなに気にしないけどなー」
「だから、ボクは飛べないんだってば。まぁ合体変身魔法使えば飛べるけど、時間制限付きだから遠くまで行くのには向かないよね?」
「そうだなー。だったら道中にある商業国のコレクタでなんか移動手段の魔道具を買うかー?」
「そんな国があるんだ?」
「おう!ジスタ3国という小さな国のあつまりのうちの1つだなー。鉄壁の軍事国家のベース、商業国のコレクタ、研究拠点国のエミッタがあるんだぞー」
「へぇ~面白そうだね。じゃあせっかくだからその3国全部回ってみる?」
「そうだなー、そんなに大きな国じゃないから寄っても大丈夫だろー。じゃあそうするかー」
こうして次の目的地が決まった。今度は長い旅になりそうだなぁ~。
グロー歴504年12月17日 晴れ
次の日、アイリさんとカーネさんは見送ってくれた。
「アキさん、リオをよろしくお願いしますね。リオはおっちょこちょいでドジでバカでポンコツでどうしようもないですけども、頼れる時はなんとなく頼れますから、その時は甘えてしまってもいいですわよ」
「あはは、ありがとうございます。そんなことないですよ!リオは頼りになってますから大丈夫ですよ」
「おい、アイリ!なんだよそれー!?オレはちゃんとしているぞー!」
「はいはい、リオもアキさんの足を引っ張らないようにするのですよ?」
「ムキー!バカにしやがってー!!次に会った時には立派になったオレを見せてやるからなー!!」
「アキ!おまえと一緒に暮らした3カ月はとても面白かったぞ!また会いに来てくれよ!その時は合体状態でぜひ勝負してほしい!!」
「あはは、アイリさんが怒りそうですけど?そうですね。お手合わせお願いしますね、カーネさん!それじゃあ、お世話になりました!ありがとうございましたー!!」
こうして、ボクたちはカイジの町を後にした。
リオの故郷であるレジストまでは長い長い道のりだ。途中いろんな町を通っていくけど、今回の旅はいい旅になってほしいなぁ~。
···その思いは叶わなかったんだけどね。
第2章 完
『ははは!変身かぁ~。今思えばあれも楽しかったんだよ···。
ただ、当時は受け入れられなかったなぁ···。後でとんでもない事にもなったしね···。
ここからが多少苦難の道だったけど、いい経験になったんだよなぁ···。
そして、リンさん···。あの人に会わなかったらボクはここまで生きていられなかっただろうなぁ···。
本当に、この旅ではボクの運命を変える人たちに会う事が多かったね···』
第2章、いかがでしたでしょうか?
これからの旅で必要な準備、そして支援してくれる人たちとの出会いがありました。
そして!作者がボツにした変身ネタまで登場しました。
次回予告(明日)ですが、第3章ではボツネタを勝手に使われた作者の逆襲が二人(特にアキくん)を窮地に追い込みます!
いったいどんな苦難が待ち受けるのか!?
ただ、安心して下さい。この作品はハートフルボッコな作品ではありませんから、ちゃんとハッピーエンドになりますのでね!
では、この後はネタバレ集と設定資料集です。
こちらもよろしければお楽しみ下さい。




