18-2.一人前と認めてくれた!!
「アキさん、そして皆さん。今回は本当にありがとうございました。またどうにもならない時は助けて下さいね!」
「こちらこそお世話になりました。今度は遊びに来ますね!」
やっと家に帰ることができるよ〜!さっきまでユキちゃんのご両親と面会してたから夕方になっちゃったけどね。
女王様から別れのあいさつと、褒賞金をたくさんいただいてしまったよ。なお、式典は断らせてもらったんだ。あくまで一般人だからね!
次は新世代組からのあいさつだった。コルくんとリナ、ヨウくんとナツが軽く話をしていたよ。
「リナ。僕、頑張るよ。次に会ったらもっとすごいものを見せるね!楽しみにしていて!」
「わたしだって、コルをあっと驚かせるようなものを用意するわ!楽しみにしていてね!」
「少しだけ世話になったな」
「···もうちょっと素直になればいいとこまでいける」
「アキさん。お世話になりました。すぐに決戦になると思いますが、それまではゆっくりと休んで下さいね」
「エイルさん、ご心配おかけしました。次は大丈夫ですよ!皆さんもお気をつけて」
こうしてボクたちは王都を離れた。いったんカイジの町に寄ってカーネさんたちを降ろして、ボクたちは2週間ぶりにアクロヘ帰ってきたんだ。
ちなみにオルさんとネータさんはしばらく領主邸に滞在するんだって。ついでにルイくんは短期留学でアンペル学園に入るらしいよ。
って事は、ボクの授業も受けるのかな?まぁ、自由に授業を受けれるからね。
「はぁ~〜!帰ってきたぁ~~!」
「パパ、お疲れ様!ねえ、今日はおれとナツで夕食作ってもいい?」
「お〜?どうしたんだ?いきなり···」
「ほら、コルが泊まってた時にリナが朝食や弁当作ってたでしょ?おれたちもちょっとやってみたいんだ」
「そうか。いいよ。好きな料理を作ってごらん。ボクは温泉の準備をしておくね」
「「わかった!」」
う〜ん。ちょっとずつ自立しようとしてるんだね。元の世界の感覚だとまだまだ早すぎる気もするんだけどなぁ~。
まぁ、フユは正式に婚約しちゃったし、ナツもヨウくんに好意?を持ちだしたし···。
出ていっちゃうと寂しくなるなぁ~。でも、ボクも子離れし始めないといけないよね?去年そう思ってたけど、これはなかなか難しそうだよ。
さて、掃除は終わって湯の花も流しちゃったから、湯を張りますか!かなり時間がかかっちゃうから、その間に夕食としますかね!
ダイニングに行くと···、ナナたちが来ていた。···まさか!?
「アキ···。申し訳ないけど、晩ごはんいただけるかしら?リオがまた失敗しちゃったのよ···」
「逃げ出すほどだったかぁ~。今日はフユとナツが作ってるんだけど、足りるかなぁ~?」
「パパ!大丈夫!こんな事もあろうかと倍作っておいたよ!余ったら明日って考えてたんだ!」
「フユ、ナツ!ありがと〜!アキ仕込みだから安心だわ~!でも、どうして今日は料理したのかしら?」
「リナが前に料理してたでしょ?おれたちもできた方がいいから!」
「なるほどね~。うちもリナとケンに可能な限りやってもらおうかしら?」
「わたしはいいわよ。コルに食べてもらう料理のレパートリーを増やしたいわね〜」
「ぼくもするよ!姉ちゃん、毎日交代でやる?」
「そうしましょう!」
「ううっ···。立派に育ってくれて、あたしは嬉しいわ~!」
「やむを得ない状況だからなんじゃないのかなぁ~?完全にリオが反面教師になっちゃってるよ···」
フユとナツが作った料理はシチューとパンだったよ。しかも!パンは自家製!!めっちゃおいしそうに出来上がってるよ!?
「ボク、教えてないんだけど···。どこで知ったの?」
「「スマホのレシピアプリで!」」
「えっ!?そんなアプリなかったと思うけど!?」
「「パパの世界に行った時に入れちゃった!」」
あ〜、そういう事ね。ってか、ダウンロードとインストールできたの!?しまったなぁ~。ボクも入れたいアプリあったのに···。
さて、いただいてみようか···。
「ナニコレ!?うますぎる!!」
「···お店出せるんじゃない?」
「二人ともすごいじゃないの!?」
「あ〜、やっぱりナツはうまいわ。わたしはまだまだね~」
「さすがにぼくはこれは無理だけど、いい感じに料理するね!」
ちなみにリオは失敗作を作ったバツとしてすべて胃袋で処理することをナナに命じられて、一人寂しく家で食べてるらしい。
まぁ、しばらくはリナとケンが作ってくれるから安泰かな?
のんびりと夕食を楽しんだあと、今日は家族全員で温泉に入った。···もうそろそろナツは別に入ったほうがいいかと思うけどね。
「ふぅ~〜、極楽極楽〜。って、本当に行きかけちゃったからなぁ~」
「···もう行かせないから」
「ははは!まぁ、人生が終わったらみんな行くんだけどね?まだまだ先だから。旅行保険もあるけど、頼るつもりはないんだけどね」
「でも、やっぱりパパはすごいなぁ~。あの時はみんな絶望しちゃったしなぁ~」
「ははは。もうあんな事は寿命で亡くなる時だけだからね!相当先だから安心してね。
でも···。フユもナツも、もう一人前だね!家事もできるし、戦闘もできるし、自分で決断を下せるようになった。あと半年ちょっとで成人だけど、ボクは胸を張ってこう言えるよ!
『ボクの自慢の子どもたちです!』
ってね」
「「···パパ!!···ありがとう!!」」
「えっ!?どうしたの!?大声出して···」
「おれ、パパに一人前って言われたくて頑張ってきたんだよ!やっと、言ってもらえるぐらいになれたと思うと···、グスッ···、嬉しくて···」
「···ナツも。グスッ···、頑張ってよかった···」
「そうだったのかぁ~。ボクが一人前と認めるのが目標だったのか。もっと早く言ってくれてたら言ってあげたのにね」
「それじゃあダメなんだよ!さっきみたいに自然と思ってくれなきゃ意味ないんだよ。だから···、とっても嬉しいよ!パパ!これからも頑張るよ!」
「···ナツも!」
「そうか。でも、頑張りすぎてもダメだぞ?無理して体を壊したら元も子もないからね。できる範囲でやっていくんだよ?」
「「うん!!」」
知らない間に子どもたちは成長した。って言っても、これから成長期だし、もっと身長とか伸びるだろうけどね。
そして···、体だけでなく心も成長した。旅でいろんな経験をした成果が芽生え始めたんだ。
こうして子どもの成長していく姿を見るのが子育ての楽しいところなんだろうね。そして···、間もなくそれも終焉を迎えそうだ。
第17章でアキくんが死んでしまった際にフユくんが思ってた『一人前になったね!』を、ついにアキくんが言いました。
フユくんとナツちゃんはアキくんが自発的にこの言葉を言ってもらいたくで頑張ってたんですね~。それが達成できたので、二人とも大喜びでした。
さて次回予告ですが、月日は7ヵ月流れて子どもたちは10歳になり、成人となります。この世界では魔獣のせいで平均寿命が短いため、10歳で成人となるんですね~。
成人したことで、子どもたちはハルちゃんやナナちゃんと同じく冒険者登録しますよ~。
お楽しみに~!




