17-8.激突!魔法戦隊VS新整調者!!
「さあ、次はボクたちの出番だね。みんな、準備はいいかな?」
「「「「いいとも~!!」」」」
···あぁ~、懐かしいノリだなぁ~。これがわかるのってボク以降の年代の人なんだろうけどなぁ~。って、なんで子どもたちは知ってるんだ?
まぁ、いいか!さて、今回はボクとリオの家族総出でやるんだけど、ボクが変身したとしても6人でちょっと多いんだよなぁ~。
変身しないハルとナナはコンビで立ち向かうので、ナナは戦闘には参加しないんだ。まぁ、整調者の力がないからハンデだと思ってくれたらいいかな?ミルちゃんとパスさんは見学だよ。
対する新世代チームは、今回は陣形なしで臨むようだね。でも、単独でも強い相手であるのは間違いないから、いかに子どもたちが自由にのびのび連携できる環境の構築をボクがやってあげるのが得策かな?
ちなみに子どもたちには作戦内容を伝えていないし、作戦なんてないよ。だって、意識の共有で状況に応じて連携する内容を即座に変更しちゃうから、変に作戦を作ってしまうと行動パターンを縛りかねないからね。
「こちらはいつでもお相手できますよ。準備ができ次第、始めましょうか!」
「わかりました。それでは今から変身しますのでね。···戦闘時間は10分間でお願いしますね。それが一応の限界なので」
「それでいいですよ。では、いつでもどうぞ」
「はい。じゃあ、みんな!いくよ~!リオ、よろしくね!」
「おう!連戦でも問題ないぞー!せーの!!」
「「インテグレーション!!」」
「コルには初めて見せるわね!じゃあ、わたしたちもいくわよ~!せーの!!」
「「「「エヴォリューション!!」」」」
「···じゃ、ナナ。パターンNで。···後方から援護するよ」
「はいな~!やっちゃえ~!ハル!」
ボクたちは変身して戦闘態勢に入った。
「おおっ!これが本物の変身ですか!一度舞台で見ましたがそっくりですね!ただ···、これほどの力があるとは···」
「ははは!子どもたちもかわいい格好してるじゃないか!だが、見た目以上に狂暴そうだな!···本気を出さないと一気に畳み込まれるな!」
「これが究極創作魔法なんだね!?子どもたちも面白い格好してるじゃないか。···本気で3人サポートしないとまずそうだね」
「はあっ!?なんだよそれ!?···いかん!見た目に惑わされるな。···スキを狙ってやる」
「リナ、すごいね!じゃあ、僕も本気でぶつからせてもらうよ!」
やっぱりこの姿を見て油断しないどころか本気でかかってくるみたいだね。さあ、時間がないんだ。さっさと始めよう!
まずは子どもたちだ!リナがノータイムで目の前に水の太い壁を作り出し、それを前方へ飛ばした!いきなり面全体を使って大胆にも攻撃を行ったよ。
それに対してエイルさんとイピムさんが斬撃を飛ばす形で水の壁を切り裂こうとしたけども、想定以上に分厚いし、弾力まであって切り裂ききれなかった!
全員が水の壁をよけると、フユたち3人が水の壁を盾にしながら前進してきており、散開した前衛3人に個別で襲い掛かった!
エイルさんにはケンが、イピムさんにはナツが、ヨウくんにはフユが立ち向かう!
デジアさんは前衛3人にバフを、フユたちにデバフをかけようとしていたけども、魔法を行使しようとした瞬間を、ハルは狙撃した!
「うわっ!な、なんてタイミングで狙ってるんだい!?」
「···させないよ?」
一方のコルくんは翼を展開して空中から魔法を放とうとしていたけど、リナは水圧カッターを飛ばしたのちに、空を飛んで阻止した。
「ふふふっ!こうやって本気で相手するのって初めてだったわね!さあ!時間いっぱいまでわたしの本気を見せてあげるわよ!」
「ははは!やっぱりこうなっちゃったね。···いいよ。僕も本気で相手するよ。楽しもうね!」
···ボクの出番はなさそうかな?まぁ、ピンチになったら手助けしようかな?
そう思っていたけど、子どもたちの連携は半端なかった!4人とも個別に戦闘してるんだけど、ちゃんと連携できていたんだよ!
「くっ!ケンさん、すごいじゃないですか!その若さでここまで剣術と弓術を扱えるなんて!」
「それはどうも!でも、1対1だと変身状態でも勝てないですね。ちょっとした小細工をさせてもらいますよ!」
ケンが魔法矢を放つと、当然エイルさんはよけた!一方、フユはヨウくんを追い詰めようとしていた!
「ぐっ!兄貴は馬鹿力かよ!双子揃ってろくでもないな!」
「それはどうも!ナツにふさわしいか、おれも見極めさせてもらうよ!」
「···はあっ!?何言ってんだ!?なんであんなヤツにふさわしくなきゃならねーんだ!?バカにしてるのか!?」
その言葉を聞いた瞬間!フユの目は見たことないほど冷ややかになった。
「···そう。じゃ、本気で叩き潰してあげるね···」
「双子ともども普通じゃねーな!?くっ!」
ヨウくんが間合いを取ろうと離れた瞬間!ヨウくんの背中にさっきケンが放った魔法矢が当たった!
「がはっ!?···な、なん、だと!?」
後ろを振り返った瞬間!今度は前方からフユが氷の矢をヨウくんに放った!
それに気づいたヨウくんはギリギリで回避したものの、今度はその氷の矢が上空にいたコルくんに当たった!
「うわっ!?えっ!?狙われた!?」
「違うわよ。流れ弾に当ててんのよ。わざと誘導してあげたの」
「ええ~!?」
「驚いてる場合じゃないわよ?コルの相手はわたしがしてあげるけど、『わたしだけを相手にしてるんじゃない』って事を知っておいてほしいわね!もちろん、わたしは全員を狙ってるわよ!こんな風にね!」
リナは無数の火球を展開した!その大多数がコルくんめがけて飛んでくるが、よけてしまうとほかのメンバーに当たってしまう!と判断したコルくんは大きめの水球を作り出して防御に出た!ほとんどの火球は水球に消されてしまったが、一部はメンバーのところへ飛んでいき···
「うわっ!?どこから!?」
「スキあり!」
「くそっ!」
「ぬわっ!なんだ!?」
「···そこ!」
「ぐぬぅ!!」
「うわっ!あっちー!」
「よそ見してると痛い目を見るよ!」
「えっ!?うわぁ~!」
「どうなってるんだい!?···うわっ!」
「···ほぼ決まりかな?」
意識の共有を全力で駆使してお互いの位置を把握して、流れ弾に当たるよう相手を誘導して不意打ちをしまくっていたんだ···。つまり、1対1に見せかけて実は集団戦をあの子たちはやってたんだよね。いくら強大な力を持っていても、使わせなければ意味がないんだよ。
···あの~、すいませ~ん。ボクの出番ってま~だですかね~?···えっ!?出番なし!?そんな!?変身したのに!?
個人戦と思わせといて実際は団体戦でした!
いくら団体戦でも、戦いの場合は目の前の敵に集中して他が疎かにどうしてもなってしまいます。
しかし、子どもたちの『意識の共有』は共有している全員の視界から得られる情報すら共有し、一人を相手にしていると思わせといて他の敵を攻撃対象にするという事が可能になるため、このような展開になりました。
しかも即座に作戦変更も共有して実行できるので、変幻自在な動きに相手にとってはたまったものではありません。
これまでの旅などで得た経験から、当初よりも高度な攻撃方法が可能となった子どもたちでした。
アキくんは放置プレイを食らってしまいましたね(笑)!大丈夫ですよ~!この後ちゃんと活躍するシーンはありますから!子どもたちに出番取られがちですけど、ちゃんと活躍しますから!
さて次回予告ですが、お互いの実力の確認も終えたので、アキくんたちは不穏な空気が漂う王都へ向かいますよ~。
明日と明後日は土日なので朝と夜に1話ずつ投稿します。お楽しみに~!




