17-4.旧世代と新世代の歓談 後編
本日は作者が夜勤なので朝に投稿しております。
エイルさんと話をしていたらまさか『白銀竜の着ぐるみ少女の冒険譚』の話が出てしまい、本物と見抜かれちゃったよ···。
どうもボクたちが昔見た初回公演以降、パスさんの仕込みで皇国で上演したら大ヒットしちゃったらしく、今もツーデン劇団は上演してるそうで、エーレタニア史上連続上演回数最多を記録して更新中だそうだよ。···元の世界の某ライオンの王様みたいだなぁ~。
そう、だからこのお話は結構有名になっちゃってるらしく、童話や小説まで出版されているようで、着ぐるみまで販売されてるそうだ···。王都の建国祭で見かけた着ぐるみってこれだったんだ···。どうりで見たことあるなぁ~って思ったよ!
エイルさんも『変身した姿を見たら本物のアニーだ!って大騒ぎになるかもしれませんね!』って言われたよ···。別の意味で恥ずかしいよぉ~!
いたたまれなくなったので、適当なところで席を外させてもらったんだ。せっかくだし、ほかのメンバーにも話を聞いておこうかな?これから一致団結して協力するんだからね!
「···アキ?ほかの人にもあいさつしておく?」
「あっ、ハル。そうだね!一緒に行こうか」
今度はハルと一緒に話を聞きに行こう!まずは妖精のデジアさんだ。前回は町長のいたずらから救ってもらったからね。
「デジアさん。ちょっとだけお話させてもらってもいいですか?」
「おや!あんたたちかい。最初のあいさつでも言ったけど、うちのところのバカのせいでひどい目に合わせたね。改めて謝罪させてもらうよ」
「いえ、あの時は助かりました。それに、いただいた情報のおかげで先日は助かったんですよ。あの時出会えてなかったら、ボクたちはこの世にいませんでしたからね」
「そうかい。あんたたちも何気に深いところまで首突っ込んでるんだねぇ~。ま、ここまで来たらあと少しだね。奴らの企みも、さらには今後何しでかすかも判明してきたんだ。あんたたちの協力もしてもらえるとの事だから、お互い無理ないよう頑張っていこうじゃないか!」
「そうですね。どうしてこうなったかはわからないですけど、これも運命なんでしょうね」
「運命ならせっかくだし勝つ運命にしたいところだね!頼りにしてるよ」
「はい!今後もよろしくお願いしますね」
さて、次はイピムさんだね。さっきまでフユとナツとで話が盛り上がってたようだね。
「イピムさん。お話よろしいですか?」
「おっ!?さっきのかわいいガキンチョの親御さんか!そして···、ふむ、なるほど。ハルさんだったかな?すさまじいほどの強さだなぁ~」
「···さすがだね。見ただけで力量を測られちゃったね」
「そういえばさっきうちのフユとナツの実力も見破ってましたね」
「そうだな。やはり、伝説と言われた神狼族だけあって、体の肉付きが戦闘に特化しすぎてるんだよな。オレみたいに体格がデカイと力は強いほうだが、あんたたちは根本的に強すぎるんだ。だから見かけ上はそうは見えなくても、実際に戦闘になればそのギャップ感だけで敵を困惑させられるしな」
「···なるほど。その通りかもね」
「しかし、『伝説の神狼族』が生きていたってのもびっくりだったが、オレが知っていた話とはだいぶ違っていたな。やはりウワサをあまり信用してはいけないな」
「ウワサですか?絶滅したって言われてるのに結構有名だったんですね?」
「そりゃそうだ。獣人の界隈では人気があったぞ。かつて荒廃した世界を統一しかけた獣人唯一の種族だったしな。しかし、あんまり表舞台には出てこなかったから、目撃情報が少なかったというのもあってウワサが独り歩きしたんだろうなぁ~。挙句の果てには絶滅したって聞いた時には架空の種族だったんだと誰しも思ったさ」
「なるほど。ちなみにどんなウワサだったんですか?」
「まずは巨大化するとか、変身をして追い詰められたら、さらにあと2回変身するとか言って絶望させたりとか、あとは倒して食った敵の能力を取り込んでバケモノになるとか、いくら倒してもすぐに再生して襲い掛かってくるとか···。どうしてそんな話になったのかはわからんが、実際にこの目で見るといい加減だと思ったよ」
「···ま、一部あってるのもあるんだけど、さすがにそれはバケモノだね」
「ははは!そうだよなぁ~!まぁ、せっかくの機会だし、子どもたちとは相手させてもらうが、よければハルさんもお手合わせ願えないかな?」
「···いいよ。···でも、手の内はヨウの技とほぼ同じだけどね」
「それでも構わんさ。おそらく相当に洗練された技を繰り出されるのだろうしな。ははは!明日は楽しみ3倍だな!」
「···お互いの実力を知るのは連携の上で重要。私も楽しみにしてるね」
さて、最後はヨウくんだね。···ナツがやり過ぎちゃってるから謝っておかないとね。
「こんばんは。ちょっとだけお話いいかな?」
「···俺に何か用ですか?話すことはないですよ?」
「まぁ、そう言わずに。さっきはうちのナツがやり過ぎちゃってたね。申し訳ない」
「いえ···。俺の実力が足りてないだけですから」
「それでも、ちょっとナツは強く当たりすぎてたね。ボクからもナツには言い聞かせておくよ」
「···あんなじゃじゃ馬、言うことなんて聞かないんじゃないか?あんたの方が弱いんだし」
「ははは。確かにボクはこの中では一番弱いね。まぁ、オルさんところのルイくんを除いてだけどね。でも、ナツはボクを信頼してるからね。話はちゃんと聞いてくれるよ」
「はっ!どうだか!」
「それに、強さだけで相手を信頼したりしなかったりってのは里では通用したのかもしれないけど、世界ではほぼ通用しないよ?
···差し出がましいかもしれないけど、里を出てどういう生活をしてきたかはわからないけど、だいぶ心が荒れてるね?」
「···あんたに俺の何がわかるってんだよ?」
「いや、わからないね。わからないけど、ある程度の想像はつくよ。ちなみにハルも里で一般常識を教えてもらえなかったらしくて、ヨウくん同様に最初は大変だったそうだからね」
「···師匠はそれすら勉強だって考えてたみたいだし、みんな苦労してると思うよ」
「···あんなひどい目にあうのが勉強なのかよ!?」
「···そう。そこでいろんな人に出会って教えてもらうんだ。私もそうだった。いろんな人の教えを素直に聞いて、その通りやってきた」
「俺は!そうはならなかった···」
「まぁ、今回はこうやってパーティーを組むんだから、みんなの事をよく知って、お互いに何ができて何ができないか、そして自分は何がしてあげられるか?これはヨウくんにとっておそらく素晴らしい勉強の機会だと思うよ。まぁ、うちらはパーティーじゃなくてサポーターだけど、全力でキミたちを応援するからね。もちろん、うちのナツもね」
「素晴らしい勉強の機会···」
「そう。まずは仲間を信用し、信頼してあげてほしいね。そうしたら、ナツにも勝てると思うよ」
「···一人で考えさせてくれ」
「うん。邪魔したね」
う~ん···。いったいなにがあったんだろうね?よっぽどひどい目にあったようで、完全に人を信用してないんだよ。だからナツにも八つ当たりでキツく当たっちゃったんだろうね。返り討ちにされちゃったけど。
人との出会いって、完全に運任せなんだよなぁ~。いい出会いもあれば悪い出会いもあるし、あとは相性の問題もある。ボクの言葉がちゃんと届いてくれていたらいいんだけどね。
大人気になってしまった『白銀竜の着ぐるみ少女の冒険譚』です!脚本を書いた神様の思惑通り、今の状況なら変身してもアニーだと思われるので大丈夫かな!?
そしてイピムさんから聞いた神狼族のウワサ、これは実は本当にいたんですよ。なんか某アニメに出てくるようなのがいっぱいいますけど···。
アキくんはヨウくんにも声をかけて悩み相談をしました。これがヨウくんを救うカギになるのでしょうかね~?
さて次回予告ですが、お互いの実力を知ろう!ということで、交流戦を行います。ちょっと長くなるので4回に分けて投稿しますよ~!
明日からは26日まで21時過ぎの投稿を予定しております。それではお楽しみに~!




