17-2.これは僕の挑戦なんだ!
本日も朝と夜に1話ずつ投稿しますよ~!
「初めまして。整調者の先輩方。私はリーダーを務めるエイルと申します。このような形で先輩方とお会いできることを光栄に思います」
「よう!パイセン!オレはイピムだ。見ての通りアタッカーだぜ。よろしく!」
「おやおや!あんたたちは!こんなとこで会うなんて思わなかったね〜。そういや、あの時名乗ってなかったね。妖精のデジアよ。今回は龍脈をムーオが利用してると聞いてたので、あたしも参加させてもらう事になったよ。よろしくね!」
「···なんでこの連中がいるんだよ?···斥候担当のヨウだ。よろしく」
「···皆さん、こんばんは。飛行と魔法を担当する赤竜のコルです。···リナ、久しぶり」
全員のあいさつが終わったとたんにリナが食いついた!
「コル!これはどういう事なの!?なんであなたが整調者になったのよ!?···死んじゃうかもしれないのよ!?」
「リナ···。ありがとう。そんなに泣いて怒ってくれるほど心配してくれてるんだね?僕も不安だよ···。
でもね?神様から誘われた時に、これはチャンスだと思ったんだ。
決してリナを追い越すために整調者の力を得たんじゃないんだ。
···これは僕の挑戦なんだ!
僕の力が、そしてリオさんとリナに教えてもらった魔法が、『世界を救う魔法になる』いや、してみせる!そして、リオさんとリナが世界を救うきっかけになったって世界に示したいんだ!」
「わたしは!そんな事を望んでないのよ!!コルと一緒に魔法の練習をするのが楽しかった!一緒に話をするのが楽しかった!それを···、それを奪わないでよぉ〜!」
「リナ···、ごめん」
リナが泣き崩れてしまったよ···。こんな弱々しいリナをみたのは初めてだね。思いっきり思いをぶつけたけど、コルくんの決意は固いようだ。
これはちょっとマズイね。このままだとリナは無理して敵陣に突っ込んでしまいかねないね。
フォローに回ろうと思ったその時、コルくんはリナにこう言ったんだ。
「リナ、約束する!無事に帰ってきたら、一緒になろう!」
「···え?」
コルくんがプロポーズしちゃったよ!でもね!?それって死亡フラグになりやすいんだけど!?
すると、リナはこう返したんだ!
「それはダメよ」
「···えっ!?ダメなの!?」
「そうよ!ダメよ!今すぐに一緒になるのよ!!『無事に帰ってきたら』ですって!?『帰ってくる』の間違いよ!いや、わたしが無事に帰してみせるわ!」
「えっ!?ちょっと!?それってどういう事!?」
「まだわからないのね!?うちとアキパパの家族であんたたちをサポートするわ!
ザコは全部わたしたちに任せて、コルは大魔王だけを倒すことに専念しなさい!そうすれば帰れるわ!
なんだったら、トドメだけコルがしなさい!瀕死までわたしが追い詰めてやるわ!!
何も整調者じゃないと大魔王と戦っちゃいけないなんてルールはないんだからね!」
「ええ〜〜!?」
「ハハハ!とんでもない嬢ちゃんだな!コル!お前、ちびっ子なのにいい彼女を持ってるじゃないか!うらやましいぞ!」
「イピムさん!からかわないで下さいよ〜!」
「ははは!これは大変心強いですね!ただ、我々も甘えてばかりいられませんからね。協力していただけるなら大変ありがたいですよ」
イピムさんはコルくんをからかっているし、エイルさんはこの状況を好意的に見てくれてるね。
一方のヨウくんはというと···
「ケッ!堂々とイチャつきやがって。おい女!これで立場が逆転したぞ。オレに勝てるなんて思わないことだな!」
「···寝言は寝てから言え!!」
「なっ!?」
「···あとでナツがまた本気で相手してあげる。···今度は瞬殺だよ」
「ハッ!面白え!吠え面かくなよ!」
ま〜た本気でやり合うことになっちゃったね。ナツはヨウくんが力を得ても勝てると思ってるようだね。大丈夫かな?
こうしてお互いの自己紹介が終わり、ボクたちが持っている情報をすべて提供した。
もちろん、ミルちゃんの特殊能力もだ。デジアおばさんの話によると、今回浮遊大陸に仕掛けられた爆弾も龍脈の魔力を限界まで吸収した魔石を魔道具で暴走させて爆発させるタイプのようで、止める方法はミルちゃんの特殊能力のみのようだった。
···改めて綱渡りだったんだなぁ〜。
さらにデジアおばさんによると、爆弾は龍脈の魔力の減少量から推測すると、現時点であと15個程度のようだった。一つでも地上で爆発すると広範囲が跡形もなく吹き飛んでしまうようだ。···まるで核兵器だね。
今回の整調者の皆さんはボクのちーむッス!が使えるようなので、これで連絡を取り合うことができるようになった。
使い方ももちろんレクチャーしたよ。リナはコルくんといつでもつながれて嬉しそうだったね。ちなみにコルくんはリナの隣に強制的に座らされていたんだよ。
「大変心強いですね。応援要請すれば転移で来ていただけるし、コルが使う高速飛行を皆さんもお使いになれるとは···。まだまだ結成も浅くチームワークに不安がありますが、よろしくお願いしますね」
「こちらこそ。全力でサポートさせていただきますね」
もう陽も落ちてしまったので、今日はここで晩餐会を開いて宿泊することになったよ。
食事の準備が整うまで多少時間ができたので、ナツはヨウくんを連れてアイリさん特製の訓練場に向かったんだ。
「今度こそ参った!って言わせてやるからな!」
「···出来もしないことを最初に言わない。···お師匠さんから習ってないの?···ナツはママにそう言われたけど?」
「やかましい!行くぞ!」
今回もヨウくんは姿を消した。そして投げナイフがナツに目がけて後ろから飛んできたけど、今回もナツは半歩ずれて避けてしまった。···なんで躱せるの?
そして次の瞬間!今度は剣が回転しながらナツに迫り、ナツは短剣で弾いた。その弾いた直後を狙ってヨウくんは分身の術で3人になってワンテンポずつ遅らせてナツに襲いかかった!
ナツに剣が当たった瞬間!ナツの姿が消えてしまった。それでもヨウくんは驚かずに投げナイフを前方に放った!
放った先で『キンッ!』って金属音がしたので、ナツが撃ち返したんだろうね。ナツの姿が見えないからね。
そして、ヨウくんが突進して剣を振るうと、ナツと鍔迫り合いになった!
「···ちょっとはやるようになった」
「化け物かよ!?整調者の力を得たのに互角だなんて!」
「···互角?その方が面白いでしょ?···それに女の子に『化け物』だなんて失礼過ぎる」
「なっ!?なんだと!?」
「···じゃあ遊びは、···終いにしようか。秘技、夢想烈波」
次の瞬間、ヨウくんは全身を切り刻まれた!まぁ、魔力剣使ってたからめった打ちだけどね。
「···ぐはっ!?こ、これでも···、勝てないのかよ!?」
「···この程度?···ムーオの配下のアドってヤツと間近で戦いになりかけたけど、ナツは手も足も出なかったよ。···ナツに勝てないんじゃ、確実に死ぬね」
「···ちくしょう!なんで!なんでなんだよぉ!」
「···じゃあ、ナツが鍛えてあげる。···死にたくなかったらね」
う〜ん···。どうしてこうなった?思いっきりナツってばヤンデレ化しちゃったよ···。
でも、『鍛えてあげる』かぁ〜。本当に嫌いなら突き放すんだけどね。これも恋愛の形のひとつなのかなぁ〜?よくわからないや!
新世代組はなんと3人会ったことある人でした!妖精のデジアさんは第14章以来久しぶりの登場で、今回初めて名前が明らかになりましたね。
そしてコルくんが知らず知らずに巨大な死亡フラグを立てましたが、即座にリナちゃんがへし折りました(笑)!ここまでラブラブにする気はなかったんですけどね~。勝手に話が盛り上がっちゃって···。
一方のヨウくんは自信満々にナツちゃんに宣戦布告しましたが、また『寝言は寝てから言え!』ってブチギレしてしまいました。そして見事に返り討ち(笑)!
しかし、今回は『鍛えてあげる』と言いましたね。ちょっと心情に変化が?愛情はなさそうですけどね~。
さて次回予告ですが、お互いの人となりを知るために懇親会が開かれます。ちょっと長いので2分割して前編と後編に分けて投稿します。
イチャつくコルくんとリナちゃんや、ナツちゃんに負けたヨウくんがどうしたらいいか?を周囲に聞きまくったりしますよ~。
次回は本日夜投稿しますので、お楽しみに~!




