16-15.新整調者選定!しかし···
本日はこの投稿で第16章完結なので、4回投稿します!
「ミル。ケンくんと一緒に地上で暮らすというのはどうかな?」
「別にいいよ~。帰る方法もできちゃったしね」
「そ、そうか···。思ってたよりあっさりしていたなぁ。では、リオさん。娘をよろしくお願いしますね」
「おう!任せとけー」
ミルちゃんは何の疑問も持たずにOKしちゃったね。まぁ、ケンも喜んでるしちょうどいいか。
さて、夜も更けてきたことだしそろそろ寝ようか。せっかくここまできたので明日は浮遊大陸を観光することにした。古代文明が息づくという事で、何があるんだろうね~!
グロー歴515年3月7日 晴れ(そもそも雲が存在できない)
おはよう!昨日は久々にテント生活だったね。今回はテントを3つ用意していたんだ。一つはボクとリオ、もう一つはパスさんが持ち込んだテントにハル、ナナ、パスさん、最後の一つは子どもたちだ。リオと一緒に寝るのは久しぶりだったなぁ~。今回はリオにはモフモフぬいぐるみモードにはなってもらってないよ。
ちょっとだけ早起きだったかな?ボク以外はまだ寝てるので、先に朝食を仕込んでおこう。そう思ってテントの外に出ると、いきなりつまづいて転んでしまった!
「アイタタ···、ってミルちゃん!?···寝てたテントから結構離れてるんだけど?そりゃ浮遊大陸から落っこちるよなぁ~」
「ん~···。むにゃむにゃ···」
···なんだかリオが2人いるような感覚だよ。でも、ミルちゃんにはリオの取扱説明書にあるような荒っぽいことはしたくないよね~!
さて、朝食を作っているとみんな起きだしてきた。もちろん、最後まで起きなかったのはリオだったよ。
ちなみにミルちゃんはケンがやさしく起こしてあげていたよ。さすがに眠り姫を王子様のキスで起こすというような仕方じゃないけどね。
リオはナナに無理やり起こされていたね。···今日は髪の毛をつかんで引きずってたよ。···サキちゃんに影響された?
「じゃあ、今日は浮遊大陸を観光するぞ~!」
「「「「おーー!!」」」」
「ミルちゃん。案内をお願いできるかな?」
「いいですよ~。ちょっと大きいので飛んでいきましょう」
固有魔法の飛行で行くことになった。ナナには親たちとパスさんが、ケンには子どもたちが乗って観光に出かけた。
しかし幻想的だなぁ~。普通に木が生えてるし、山も川も存在しているんだ。
川は大陸の端っこで地上に向けて流れ落ちていた。この高度だから地上では雨になってるんだろう。と言うことは、山上での湧き水は低気圧による上昇気流でかき集めた水蒸気を凝縮してるのかな?
大陸と名前がついてるけど、実際の大きさは沖縄本島ぐらいかな?それでも巨大過ぎるけどね。
観光って言っても実際は遊覧飛行だ。これまで外界との交流がないのにいきなり訪問したらビックリされるし、場合によっては敵扱いされかねないからね。
それでも、上空からいろんな人種が地上と同じように生活をしていたよ。古代技術ってのがどういったものかはここからじゃ見えないんだけどね。
中にはボクたちに気づいた人もいたよ。手を振ったら振り返してくれた人も少しだけいたね。これは訪問しても大丈夫かもしれないね。次回はちょっとだけ伺おうかな?
2時間ほどでぐるっと1周してきて、金竜の集落に戻ってきた。ここで軽く昼食にしてから転移でピムエム皇国に戻るよ。
ちなみに地図アプリだともうボルタニア大陸を離れつつあった。まぁ、変身して転移したらいいんだけどね。
簡単に昼食を済ませてさあ帰ろうか!とした時に頭の中に声が響いてきたんだ。
『(エーレタニアに住む全ての皆さん、きこえますか···。あなたの心に直接呼びかけています)』
「えっ!?またファ〇チキ!?こいつ直接脳内に···!じゃない!また神託!?」
「···ということは新たな整調者の内定だなー!」
あぁ、さすがに今回の事件は看過できないって事だね。今回はボクたちがたまたまいたから対処したけど、本来は整調者で対処してほしかったからね!
『ピンポンパンポーン!お知らせしま~す。本日、神は次代の整調者に5名を内定しました~。
人族のエイルとヨウ・妖精のデジア・赤竜のコル・虎獣人のイピムさんです〜!
今回はあの大魔王ムーオが生きていた事が判明したため、先手を打って最強の布陣で対抗しま〜す!
安心してください!最強ですよ~!
皆さんは普段通りの生活を送って下さ~い。ピンポンパンポーン』
今回は5人だ!神様は今回で決着をつけるつもりなんだね!
···でも、気になる人物が2人いたんだよね。ヨウくんってナツに突っかかったブートの里の元隊長でしょ?
そして···、こっちは大荒れだった。
「はあっ!?コルが整調者ですって!?どういう事よ!!わたしは納得できないわ!!」
「姉ちゃん!落ち着いて!!」
「そうだよ、リナ!おれもどうしてコルが整調者になったかわからないけど、何か理由があるんだよ」
「理由なんて聞きたくないわ!あの子は確かに素質があるけど、わたしより弱いのよ!なんでわたしじゃないのよ!?」
「リナ。お前の気持ちもわかるぞー。ただ、強さだけで神は整調者に選定しないんだぞー」
「···パパ、どういう事よ?強さ以外に何があるのよ!?」
「簡単な事だぞー。オレが元整調者だったからだぞー」
「えっ?そんな理由?」
「そうだぞー。一度選定されると少なくとも3世代は対象外になるんだー。そうしないと整調者に選定される家系が限定されてしまって、他の種族とかが不満持つからなー」
「だから今回はコルだったってこと!?」
「あとは候補者を神が選定したあとに面接があって、そこで条件や強化される能力、任務完了後の報酬などが提示されて『本人が承諾』することで内定するんだぞー」
「じゃあ、コルは神様が提示した条件を受け入れたって事なのね?」
「少なくともそうだぞー」
「わかったわ。コル本人に聞き出すわ!」
「姉ちゃん!?どこにいるかもわからないのにどこ行くの!?」
「わからないわよ!でも!わたしは!コルに確認しなきゃ!いけないのよ!」
リナはコルくんが心配過ぎるんだね···。これは本物だわ。
「リナ。落ち着いてって言ってもムリだよね?今すぐ確認したい気持ちもわかるよ。だけど、ボクたちがムーオの情報を集めていたら、必ず会えるから。
···ちなみに会ってどうするつもりだったの?」
「決まってるじゃない!わたしもついていくわよ!あの子だけじゃ弱すぎるんだから!わたしもいれば大丈夫よ!」
「リナ?さっきの神託だとあと4人いるんだ。パーティー組んで立ち向かうんだから、ヘタにリナが割って入ると逆に迷惑になってしまうよ?
心配する気持ちはわかるよ。でも、リナがケンやフユ、ナツを信頼してるのと同じで、コルくんも信頼してあげてほしいな」
「じゃあ、アキパパ。わたしはどうしてあげたらいいの?」
「そうだね···。一緒には戦えないから、サポートをしてあげるってのはどうかな?」
「サポート?って、どうすればいいの?」
「まぁ、過激な例だと魔獣の大群が来たら大量のザコをリナが受け持って、コルくんが万全の態勢でボスに立ち向かってもらうとか?」
「なるほどね!コルの負担をわたしが減らしてあげればいいのね!それでいくわ!さすがアキパパね!わっかりやすいわ!」
よし!リナは説得できたぞ。あとはナツだけど、
「···あのバカが整調者?ナツも納得できないね」
「どうする?リナと一緒にサポートしてあげる?」
「···そうだね。そしてナツの方が上だと思い知らせて、パーティーから無能として追い出そう」
う〜ん···。若干ヤンデレっぽくなってるぞ?どうしてこうなった?
こうしてボクたちは新世代の整調者のサポートをすることにしたんだ。まぁ、ジーンからも情報収集部隊に子どもたちはなってるしね。
···ただ、ボクがこの時にリナに説明した例えが大きなフラグになるなんて、この時は思ってなかったんだよ。
第16章 完
『あぁ···、ムーオに対する最終決戦が始まろうとしていた時だね···。関わらないと決めてたのに流れで対決する事になっちゃうなんて、ボクのトラブル体質をこのあと恨むんだよね···』
ミルちゃんはケンくんと一緒に地上に住むことにしました。自分の居場所が見つかったということですね~!
そして、新整調者が発表されましたが、リナちゃんはコルくんが選ばれたと知って大激怒!コルくんの事を心配してるんですよね~。これは会った時に大波乱が起きそうな予感がしますね。
一方のナツちゃんはヤンデレ化しました(笑)。無能としてパーティーから追い出すって、ちょっと前のなろう小説の流行りではありましたが、本作でも実行しようと企んでしまってますね~。果たしてどうなるのか!?
この後、お昼ごろにネタバレ集と活動報告、夕方に設定資料集、そして夜には第17章第1話を投稿します。どうぞお楽しみに~!




