16-9.新作ができたから持ってきたわよ~!
3連休最終日ですね。今日も朝と夜に1話ずつ投稿しますよ~。
グロー歴515年1月4日 晴れ
昨日までで一通り高速飛行魔法の試験運用は行えたので、今日は1日のんびりすることにしたんだ。
だってね?明日でコルくんはアクロを離れてしまうんだから、せっかくだし今日1日ぐらいはリナと町中へ出かけてデートぐらいさせてあげないとね!
今日もリオの家ではリナが気合い入れて朝食を作っていた。う~ん···。恋する女の子って強いなぁ~。
こちらも朝風呂に入ってからボクの朝食を食べた。今日はハルと一緒に買い物に出かけようかな?そう思っていたその時だった。
『ごめんくださーい!アキさんのお宅でよろしいですかー?』
ん?こんな早朝にお客さん?誰だろうね?ご近所さんだったら『アキさんのお宅でよろしいですかー?』なんて言わないし。
玄関に向かって「はーい!どちら様ですか?」って聞いたら
「チサよ~!新作できたから持ってきたわよ~!」
···はあっ!?チサさん!?なんでうちに来たんだ!?ボクが玄関のドアを開けたら···!大量の服を積んだ荷馬車が2台、うちの前の道路にあった!
「ちょっと!?いきなりどうしたんですか!?」
「あっ!やっと出てきたわね~。さっき言った通りよ~!新作できたから持ってきたのよ!」
「持ってきたって···。どうしてボクがここに住んでるって知ってるんです?」
「昨日町に着いた時に聞いたのよ。『青い髪の、どうみても女の子としか見えない旦那さんが住んでる家ってどこ?』って聞いたら、『あぁ~!アキさんだね!温泉街の反対側にある別荘の南端に住んでるよ』ってみんな快く教えてもらえたわ!」
「···ちょっと聞き方に悪意があるような気がするけど?」
「仕方ないじゃない。下手にアキくんの名前出したら私たちが不審人物に思われちゃうじゃない」
···まぁ、いきなり見知らぬ旅人から名指しでどこにいる?って聞いたら『なんで知ってるんだ!?』って警戒されるからね。
「それで?わざわざ新作ができたからって、こんなところまで来ないでしょ?どうしてアクロに来たんです?」
「それがね~!先日アキくんとリオくんの子どもたちをモデルに服を作ったら、これがバカ売れしちゃってね!生産が追い付かないほどの人気になっちゃったのよ!
まぁ、今まで獣人やドラゴン族向けの服なんてほとんどなかったし、人族の服の改造しか手がなかったってのもあったしね~!いっぱい儲けさせてもらっちゃったからバカンスで温泉に来たのよ。
ついでにアキくんたちに利益還元しようと思って押し掛けたのよ!」
「はぁ、そうですか。それはよかったですね。ちょっと荷馬車が大きすぎるので、うちと隣のリオの家の庭に入れてもらえません?お隣さんの迷惑になっちゃうんで」
ボクはすぐにリオの家へ事情を伝えに行った。まぁ、ちょうどコルくんとコランさんもいるし、ミルちゃん用の服も欲しかったからね。
ちなみにミルちゃんはリナの服を着てもらってるんだよ。
子どもたちはリオの家で、大人たちはボクの家で新作とやらの服を無制限で選んで試着することになった。
「僕、これまで服なんてあんまりこだわりなく着ていたなぁ~」
「コル!これなんてどうかしら!?コルの赤い髪に似合うと思うわよ~!」
「へぇ~!これって両脇のボタンで留めることで上着が着れるんだね。これなら翼が邪魔にならなくて便利だよ」
「これってわたしがこの前のファッションショーで伝えた希望通りの服ね!チサさん!これ、すごく着やすいわ~!」
「リナちゃんにそう言ってもらえて嬉しいわね!あんまり数は作れなかったけど、ドラゴン族の人は買い占めて行っちゃったわよ!危うくリナちゃんの分まで売ってしまいそうになるぐらいだったわ」
「売ったらいいのに~。商人なんだから儲けないといけないんじゃないの?」
「儲けも大事だけど、こういう事の方がもっと大事よ!だって···、横でイサがまた猛烈な勢いでデッサンしてるでしょ?次の新作のモデルさんなんだからね~!」
「あぁ~、そういう事ね。じゃあ、もっといっぱい着てみましょうか!」
「いやぁ~!リナちゃんはノリがいいね~!そこの彼氏くんも遠慮なく着てね!」
「ふぇっ!?か、彼氏って、···ぼ、僕ですか!?」
「そうそう!キミもケンくんとは違った魅力あるんだから、うちのイサのモデルになってね~!」
「は、はい···。じゃ、遠慮なく」
一方、ミルちゃんとケンくんはニサさんによって着せ替え人形にされていたんだ。
「お~。これは着やすいですね~!ドラゴン族ってなかなか着れる上着がないので人型の時は困ってたんですよ~」
「ミル、なかなか似合ってるよ!いつもは姉ちゃんの服を着てもらってたからね。せっかくだしいろいろ着てみようよ!」
「そうだね~。こうやって服を選ぶなんて初めてで、楽しいですね~!」
「いや~、ミルちゃんだっけ?金竜なんて初めて見たからびっくりしちゃったけど、どんな色の服でも似合っちゃうわね!特に金髪のロングなんてお人形さんみたいでカワイイ~!これなんてどう!?···うぐぅ~。かわいすぎる···」
「お~!これもいいですね~。ケン、どうですか?」
「すごい似合ってるよ!かわいいよ」
「えへへ···。そう言ってもらえると嬉しいですね~。じゃあ、今度はケンにこれを着てもらいましょう~」
「おっ!いいね~。これってお揃いだよね?それもいいね~」
サキちゃんはニサさんがケンとミルちゃんを着せ替え人形にしている合間にいろいろ質問していたよ。
「これっていい布使ってますね~!お城···、じゃなくって、いつも着ている服とあんまり変わらないような気がするわ~!しかも動きやすい!」
「あなたは初めて見る子ね~!うちの服は動きやすさと丈夫さを重視しているのよ。しかもある程度サイズを決めて先に作っちゃうから、質のいい布をちょっとだけ高い値段で売るようにしているのよ~。気に入ってくれたかしら?」
「はい!(チサさんたちね!帰ったらママに皇国でお店出してもらえるよう言っとこう!ウフフ!)」
そしてフユとナツは
「···お兄ちゃんとお揃いっていいね」
「そうだなぁ~!ミルとケンが同じ服着ててもまったく違和感ないもんなぁ~。おれたちも同じ服着ても似合ってるよね」
「···じゃあ、今度はお兄ちゃんがこれ着てみる?」
「えっ!?これって女の子の服だけど!?」
「···前回パパはスカート履いたってママ言ってた。···これがその時にママがすまほで撮った写真だって」
「あぁ~、パパって見た目女の子っぽいから確かに似合ってるけど···。おれは似合わないよ!?」
「···そんな事はない。試しにこれからいってみよう」
「あら~!フユくんがスカート履いてくれるの!?アキくんと同様に面白そうね~!」
「ちょっと!?リサさん!?やめて下さいって!」
「···はい。···これでお兄ちゃんは身動き取れないので、好きにしちゃって下さい」
「ちょっとナツ!?影縫いでボクの動き止めないでよ!?そういう使い方じゃないでしょ!?」
「···応用技」
「ちょっとーー!?」
「あら~!ナツちゃんは面白い技使うのね~!じゃあ、いろいろフユくんで試してみましょうか!」
「あっ!いいわね~!わたしも手伝うわよ!」
「面白そうですね~!私も遊んでみましょう」
「そんなぁ~!?リナ!ミル!やめて~~~!」
「おおっ!?かわいい男の子にスカートだとぉっ!?いける!いけるぞぉ~~!少年用のスカート!!次の新作はこれだぁ~~!!」
結局、フユは女の子の格好をさせられ、さらにとばっちりでケンとコルくんまでスカートを履かされてしまったようだね。
でもね?女の子たちは男の子の服を逆に着たんだけど、これが思いっきり似合っちゃったんだよね。それを見たイサさんは大暴走しちゃったそうだ。チサさんたちが帰る間際に床を雑巾で拭いてたって事は、今回も鼻血出しながらデッサンしたんだな···。
ボクたち?大人組はおとなしかったよ。···やっぱりボクとリオもスカート履かされちゃったけどね。コランさんはびっくりしてたよ。
さすがにムッキムキなコランさんはサイズの合うスカートがなかったので、回避されちゃったよ···。
どうして···、どうして毎度こんな目に···。
第13章以来のチサさんたちが再登場です。前回ナナちゃんが住所をバラしてしまったので押しかけてきました(笑)!
実はこのお話は完結直前に追加したエピソードなんです。コルくんとミルちゃんにもオシャレを楽しんでもらおうと思って追加したんですね~。前回アキくんとリオくんがスカートを履かされたので、今回はフユくんたちにも履いてもらいました。どんな姿かはご想像にお任せしますね!絵描けないんで···。
さて次回予告ですが、コルくんの滞在が終了して商隊の護衛に戻ります。アキくんは高速飛行魔法が完成したことで、飛行中のナビ魔法の開発を行いますよ~。
そして、ミルちゃんの魔法訓練の最中にミルちゃんには隠された特殊技能があることが発覚し、リオくんはその犠牲になってしまうのです···。大丈夫です!無事(?)ですからね!
次回は本日夜に投稿します。お楽しみに~!




