15-20.帰ったら思わぬトラブルが!?
本日で第15章完結です!そのために本編を朝に投稿しています。
帰りは海上空港に到着し、そこから高速船に乗り、電車を乗り継いでボクの家に帰ってきた。
う〜ん···、疲れたね~。でも、やりたかった事が全て出来て良かったよ。子どもたちも大満足のようだった。
海外ヘ初めて行くと、今まで体験したことのない出来事や文化、風習に触れる事ができるんだ。
その時に初めて自分の価値観や考え方を客観的に見れるようになるんだ。この国の常識は他国では通用しない事、この国の違反行為は他国だと合法だったりってね。
今回の旅は子どもたちにとって大いに意味のあるものだった。今後の人生にもいい影響を与えてくれると思うよ。
「みんな、お疲れ様。どうだった?ボクがいた世界は?ここまでお楽しみいただけただろうかな?」
「「「「「面白かったー!!」」」」」
「そう。そう言ってもらえて良かったよ。今後のみんなの人生に役立ってもらえたら嬉しいよ。
ジーン、ありがとう。こんな素晴らしいプレゼントをくれて感謝するよ」
「お礼を言うのはこっちもだよ!異世界体験なんて余も経験した事がほとんどないんだから。勉強させてもらったよ!
さて!名残惜しいけど時間のようだね。エーレタニアに帰るよ~!」
ジーンが言い終わると目の前が白くなっていった。···今度こそさようなら。ボクが生まれ育った世界。
しばらくすると、アクロのボクの家のリビングにいた。···帰ってきたんだなぁ~。スマホの時刻を見たら12月32日になっていた。時間の進み方は一緒だったようだね。
夢という形だったけど、現実だったね!お土産もあるし、買い込んだ食料品もあるしね!
今日の夕食は向こうで買い込んだおいしい空弁にしよう!そう思って無限収納カバンを開けようとすると···?なぜか開かなかった。
···あれ?どうなってるんだ?そう思ってるとスマホに通知が来たんだ。
『世界を跨いでの物品の移動には関税がかかりますので、お手数ですが支払い手続きをお願いします。
支払い方法はココをタップ』
と表示された。···神様はケチだなぁ〜。クリスマスプレゼントでしょ?それぐらい大目に見てよ?って、関税って支払先は神様でしょ?
そう思い、支払い方法と書かれたところをタップすると···
『関税請求額:200万ジール』
···ヘっ!?···マジ!?高すぎない!?ボクの貯金がかなり吹っ飛ぶんだけど!?
「どしたー?また顔が真っ青になってるぞー?」
「···向こうの世界のものをエーレタニアに持ち込むには、お金を神様に支払わなきゃならないんだって」
「えーー!?アキの記憶の中の世界だよなー!?なんでだー!?いくら要求されてんだー!?」
「···200万ジール」
「高っ!?そんなに取られるの!?だったらあたし、そんなに買わなかったのにぃ~!?」
「そんな話聞いてないよぉ~。ボクも今回の旅行でかなり出費しちゃったからなぁ~。これは誤算だったよ」
「···どうする?支払う?」
「背に腹は代えられないよ。···払っとく」
「アキにそんだけ請求されるならうちはいくらなのよ!?アンタのとこに連絡来てるんじゃない!?」
「調べてみるぞー。えーっと···、450万だぞー?」
「なぁ!?いったいなに買ったのよ!?あたしは化粧品だけど!?」
「···デザートかなぁー?」
「···どんだけ買い込んだのよ!?アンタの分は自分で払いなさい!あたしとリナ、ケンはあたしが払うわ!」
「えーー!?オレどんだけ払えばいいんだー!?」
「···アキ?全額私が払うよ。アキは旅行代金払ってくれたし」
「ハル〜!お言葉に甘えさせてもらうよ~!」
思わぬ出費に大パニックになったボクたちだった。この後、支払い手続きをしてボクたちの無限収納カバンは無事使用可能になったよ。
空弁を取り出しておいしくいただきました。···関税考えたらとんでもない金額になっちゃったけどね。
グロー歴514年12月33日 雪
今日もアクロは冷え込んでいた。ここに住んで9年ぐらいだけど、ここまで冷え込みが続くなんて異常気象だね。大寒波襲来は今日までみたいなので引きこもっておこう。物流も止まってるだろうからお店行っても商品はないだろうしね。
こういう時に役立つのがレトルト食品だ!たらふく買っておいたからこういう時に真の威力を発揮するのだ!とんでもない金額の関税をハルが払ってくれたんだ!ハル、ありがとね!
子どもたちはブートの里でやったように雪だるまを作っていた。1週間も降ってたからそこそこ積もってたけど、ブート里のような積雪じゃないから巨大サイズにはならなかったよ。それでも2m以上の高さになっていたけどね。
ここって結構温暖だから暖房器具って言っても小さな暖炉があるだけなんだ。温泉熱を利用した床暖房もいいんだろうけど、使用頻度と改造費考えたら無理だね。まぁ、いいよ。ある程度は魔法でなんとでもなるしね!
そんな時だった。
ドォーーーーン!!
なんだなんだ!?今の大きな音は!?ちょっと揺れたから何かが落ちてきたと思うんだけど!?
ボクが外を確認しようとした時に、庭からフユが慌てて入ってきた!
「パパ!空から女の子が!!」
「えっ!?お、女の子!?」
某アニメ映画だったらゆっくりと降りてくるのに、すごい音と振動だったぞ!?大丈夫なのか!?
フユと一緒にボクも慌てて外に出ると、子どもたちが作った巨大雪だるまにぶつかったようで、雪だるまは潰されていた。ある意味クッション替わりにはなってるんだろうけど···。
女の子はすでにリナとケンによって雪だるまの中から救出されていて、ナツが回復魔法をかけていた。かなり重傷だったようで、ちょっと表情が苦しそうだったからボクも手伝い、ナツにはボクの魔力を使ってもらった。···うん、よかった。生きてるしもう大丈夫だ。
···どうみてもドラゴン族だね。金髪のロングヘアーの女の子だよ。どうして落っこちてきたんだろうね?とりあえず休ませてあげるか。
「パパ、どうする?」
「まずは体を温めてあげよう。リビングのソファに寝させてあげて。暖炉が近いから温まると思う。毛布を用意しておくよ」
「わかった!」
「リナ、ケン。リオとナナを呼んできて。もしかしたら何かわかるかもしれないよ」
「「うん!」」
家に戻り、無限収納カバンから毛布を取り出してソファで寝ている女の子にかけてあげた。そうしていると、リオとナナがやってきたんだ。
「空から女の子が落ちてきたって、この子かー?」
「そうだよ。リオ、この子ってドラゴン族みたいだけど知ってる?」
「···おー、知ってるけど珍しすぎるぞー。なんでこんなところに落ちてきたんだろうなー?」
「この大陸に住んでるドラゴン族じゃないってこと?」
「そうだなー。地上じゃないんだぞー」
「···え?地上じゃない?どういうこと?」
「この子は金竜の一族だなー。浮遊大陸に住んでる一族だぞー」
···浮遊大陸。いろんなアニメや小説とかに出てくるけど、エーレタニアにもあったんだ。
第15章 完
『···あぁ、元の世界を旅行したんだったね。···この時の経験が、···子どもたちにとって、···サキちゃんにとってかけがえのない知的財産になったんだよ。
···そして金竜の女の子。···ここから激動の時代が幕開けようとしてたなんて、この時は思いもしなかったんだよね』
海外旅行で調子こいて買い物しすぎると、税関で引っかかって多額の関税を支払うハメになることがあります。事前に確認してから買い物しましょうね!
無限収納カバンなので、普通の旅行者よりもはるかにお土産を買えてしまったので、とんでもない金額になってしまいました。ちなみにエーレタニアには持ち込み禁制品はありません。生き物は無限収納カバンに入りませんから安心です。
さて、お話の終盤でリアルに空から女の子が降ってきました!次の章の導入部分にもなってますが、ここから一気にお話は最終局面を迎えます。全19章(序章込み)なので、残りは3章!引き続きお付き合いくださいませ。
この後、夜にネタバレ集を投稿します。設定資料集はありませんので、ご了承ください。




