15-17.いい事したのに逃げるのかー!?
本日2話目の投稿です。朝に1話投稿してますので、先にそちらを読まないと『あれ!?いつの間に東京来ちゃったの!?』ってなりますので、ご注意ください。
「おぉ~、ケン、いっぱい買ったんだなぁ~。模型以外にも本も買ったんだ?」
「うん!『ひこうきのひみつにせまってみるぞぉ~!』って本だよ。何か飛ぶのに参考になるかと思ったんだよ」
「そうか~!試すのは帰ってからだよ。じゃあ、これからまた電車に乗ってホテルに移動するよ~!」
空港から電車に乗って約1時間ほどで最寄り駅に到着し、ボクのお気に入りだった安くておいしいお店で食事をしてからホテルに入った。
まぁ、都内はビジネスホテルがほとんどだからあまりファミリータイプの部屋ってないんだよね~。今回はダブル2部屋とツイン1部屋、トリプル1部屋を予約しておいた。同じフロアだけど部屋はちょっとだけ離れてしまってるが問題ないね。高層階だから都内の夜景を窓から見ることができたんだ。後で聞いたら『夜なのに明るすぎるよ~!』って言ってたね。まぁ、エーレタニアでは夜は真っ暗だからね。満月の時以外は。
翌日、ホテルの簡素な朝食を食べた後、都内を観光することにしたんだ。このホテルは今日も宿泊するんだよ。
まずは巨大な展望デッキ付き電波塔だ!下から眺めると首が痛くなるね···。子どもたちは立ち止まって頭上を眺めていたよ。
「···こんなのを人は作れるんだね」
「どうやって作ったのかしらね~?わたしでもこんな高さまで飛べないのにね~?」
「ぼくでも飛べない高さなのに、落ちたら大変だね~」
「おれはちょっとムリだなぁ~!リナとケンがいなかったら怖すぎるよ~!」
「まぁ、いろんな機械を使ったりはしてたけど、最終的には人が上って作業もあっただろうね。···高いところは飛行機以外ボクも苦手なんだけどね。さあ、展望台に上るよ~!」
営業開始直後なら空いてると思ったんだけど、そんな事はなかった!結構行列が続いていたんだよ···。そして15分後にエレベータに乗ることができたけど、いっぱいだったね。
そして展望デッキに到着したんだ。今日も天気は良かったので遠くまで見通すことができたんだ。
「おー!見渡す限り建物ばっかりだぞー!これだけ多いから人も多いんだなー!」
「そうだね。都内で1000万人以上いるし、周辺の都市も合わせると3000万人近いかな?」
「3000万人!?エーレタニアの人口すべてより多そうね···。スケールが違いすぎるわ···。あたしの想像を軽く超えてたわね」
「···これだけ多いと盗みとかやられそう」
「まぁ、ハルの言う通りだね。この世界の人たちよりみんなの方が警戒心強いから大丈夫だと思うけど、十分注意してね」
展望台からの景色を堪能したあとは電車で移動して有名なお寺にやって来た。
「人多すぎだよ~!?」
門についた時点で大混雑だった!フユがあまりの混雑にビックリしたよ。
「アキ?この国じゃあんまり宗教って関係なかったんじゃないのかー?エーレタニアでも教会にこんな人数は来ないぞー!?」
「観光地化しちゃってるから宗教も関係ないんだよ。みんな『ここに来たぞ~!』って気持ちだけだからね。とりあえずゆっくりと中に入っていこうか」
「アキパパ!飛んじゃダメかなぁ~?」
「ダメだよ、リナ。この世界で飛べる人はいないから目立っちゃうって!」
まぁ、気持ちはわからないでもないんだけどね。
ボクたちはちょっとずつ中に入っていった。って言っても人の流れに身を任せるだけで奥に問答無用で流されてるんだけどね。
そして奥の本堂までたどり着き、拝んでから近くにあるファストフードで昼食にしたんだ。混雑してたから席もバラバラでゆっくりはできなかったけど、これも体験だよ。
午後は電気街ヘ向かった。電気街って言っても今はアニメやマンガのグッズショップが多数あるんだけどね。ボクも近くに住んでた時は毎週のように来ていたなぁ〜。歩道には人がいっぱいだったよ。
そして、ここで恐れていた事がついに起きてしまった!
「すいませーん!これって何のコスプレなんですかぁ~!?」
「すごいリアルな犬耳としっぽですね!本物のような自然体を醸し出してますよ~!どこのショップのグッズなんですか!?」
「一家揃って似たかわいいコスプレですよね!?ヒューマンタイプのドラゴンですか?リアル過ぎません!?写真いいですか!?」
「子どもたちもかわいいコスプレですよね!?顔は隠しますから、SNSあげていいですか!?」
地下鉄の駅を出て地上に上がったらすぐに声をかけられて囲まれたよ!?あれ!?今まで声かけられたりしなかったんだけど!?なんで見破られた!?オタクだからなのか!?···ボクもそうだけど!
「え〜っと?皆さん、これが見えてるんですか?」
「親御さんですよね?そんな格好させてるのになに言ってるんです?見えてるに決まってるでしょ!?これってなにのキャラなんですか!?」
「いや、そうじゃないんですけど···。おれたちのこれは本物ですよ?」
丁寧に答えてしまったフユだった···。すると近くにいた女子がケンの翼を見て騒ぎ出した!
「きゃー!かわいい!ねえ!本物ならちょっとだけキミたちのそのもふもふな翼を触ってもいいかな!?」
「えっ!?い、いや!ちょっと待って!?」
お触りは禁止だよ!?あわや揉みくちゃにされそうになったその時!
「きゃーー!?引ったくりよーー!誰か捕まえてーー!!」
女性の叫び声が聞こえたとたんに子どもたちはすぐに身体強化して人の囲みから飛び上がって状況を確認した!
引ったくり犯は走って路上駐車してたバイクに跨って急発進していった!それを見た4人は猛スピードで追いつき、フユとナツが後ろから引っ張って犯人をバイクから引き剥がし、リナとケンが運転手がいなくなったバイクを止めに入った。
犯人はナツによって制圧済だった。取られたカバンはフユがすぐに取り返していたよ。···この時間、15秒弱。相変わらず子どもたちの意識の共有による連携はスゴイわ···。
あっという間の大捕物だったけど、沿道からは拍手喝采とスマホのシャッター音が鳴り響いた!
···思いっきり目立ってしまった。しばらくすると警察官が駆けつけて来てしまい、ナツは犯人を引き渡していた。···これはマズい!取調べ受けちゃうとイロイロとヤバい事になりそうだ!
「リオ!ちょっとマズいからすぐに集合して転移で逃げるよ!」
「えっ!?いい事したのに逃げるのかー!?」
「面倒な事になりそうだからね!」
「わ、わかったぞー!」
ボクは急いでフユに近づいて手を引いてナツのところへ向かった!
「···この犯人を捕まえに来た憲兵さん?」
「憲兵?いや、通報を受けて来たおまわりさんだよ。···え〜っと、状況からしてキミが捕まえたってことでいいのかな?」
「···うん。お兄ちゃんと友達と一緒に」
「そ、そうなんだ···。こんな小さなお子さんが捕まえたなんて信じられないけど」
「···見ての通りだよ。それじゃ」
「ちょっと待って!どうやって捕まえたか教えてほしいんだけど!?」
ヤバい!ナツが事情聴取されかけてる!逃げるんだよぉ~!ボクはナツの手を掴まえて、
「すいません!急いでるんで、失礼しま〜す!」
「あっ!?ちょっと!待ちなさい!!」
待たないよ!すぐにハルたちと合流してみんな揃ったところで転移を発動させた!
「なっ!?消えた!?」
「おい!?見たか、今の!?」
「なにかのショーかしら!?迫力あったわね~!」
「バッチリ撮っておいたぞ!今日のニュースに採用されるかな!?」
「これはバズりそうだぞ~!さっそく投稿しとこ!」
···大変な騒ぎになってるなんて思いもしなかったんだよ。
某電気街でついに正体がバレちゃいました!この電気街もかれこれ30年近くお世話になってますが、雰囲気が違うんですよね~。そして時代に応じて店がどんどん変わっていってます。
ここの電気街ではないですが、大阪の日本橋(大阪は『にっぽんばし』と読みます)も、店がめっちゃ変わっててびっくりしましたね!昔は小さな電気屋さん同士で激しい値段競争やってたんですが、ほとんどなくなってしまい、ゲームショップもソフトがあんまり置いてなくなりましたね。これも時代の変化なんでしょうね。
今回のトラブルは現代ネタでした。簡単に撮影できて簡単にSNSとかで投稿できてしまうと、使い方によってはかなりマズいことになってしまうんですが、もはやこれが世界的に当たり前になってしまってます···。ある意味情報氾濫のデメリットなんでしょうね。皆さまも十分気をつけましょうね!
さて次回予告ですが、子どもたちの活躍がSNSに投稿されて大バズりしてしまい、身動きが取れなくなってしまいます···。そこでアキくんは『旅行中止』を決断してジーンにエーレタニアに戻ると申し出ますが、ジーンからは意外な返答が!?
明日も朝と夜に1話ずつ投稿しますので、お楽しみに~!




