15-14.豪華な船旅を楽しもうね~!
百貨店から地下ヘ降りようとすると、みんないきなり警戒し始めた。
「ん?ハル、どうしたの?」
「···ここってダンジョン?」
「いや、地下街だよ?まぁ、結構広いし工事やってて頻繁に道が変わるから似たような事を言う人もいるけど、魔獣は出ないよ。人だらけだからね」
とりあえず安心してたけど、エスカレータでドンドン降りていくのには警戒していたね。
そして地下鉄のホームに着いたんだ。
「すっごい人だらけだね···。レイスの大通りよりすごいよ」
「ちゃんと離れないようにね。そうそう、車内が混雑してるから奥の方に入ってね。ドア付近に立ったら、降りる人がいたらいったん降りて後ろの人を通してあげてね!2つ先で乗換するよ~」
地下鉄を乗り継いで40分ほどで今回乗船するフェリーのりばにやって来たよ。
今回はせっかくの機会なのでスイートの部屋を押さえたんだ!空室があったしね!
乗船手続きが始まっていたので、ボクだけで手続きをしておいて、みんなはいったん解散して自由行動にした。今日乗る船を間近で見に行ったりしていたよ。
そして乗船開始の時間になった。乗船開始の案内放送を聞いてからボクたちは集合したんだ。
「さ~て!今から乗船するよ!みんなはこのマークの入った乗船券を明日下船するまで失くさずに持っててね!記念に持ち帰れるからね~。まずは改札でそれをかざすんだ。そして、書いてある数字の部屋の入口のカギにもなってるからね!」
「えっ!?この紙のこのマークがカギなの!?おれ、カギってあの形のものしか見たことないんだけど···」
「これも電気のおかげなんだよね~。カギをうっかり持って帰っちゃう人とかがいるからこの紙のものなんだよ。今日乗船する時しか使えないようにしてあるしね」
「···セキュリティーは万全、て事か。合鍵作って侵入ってできないね」
「ハルの言う通り!だから失くして拾われると大変だから気をつけようね~」
そして改札を通過して船内に入ると···!吹抜けがすご過ぎてボクとリオ以外は入口で立ち止まっちゃった!
「お~い!後ろの人が入れなくなっちゃうよ。中に入っておいで!」
「すっごーい···。ここって船の中なんだよね?この前行った皇城の入口みたいだよ···。おれたち、すごいとこに来ちゃったね」
「うちのお城のエントランスに引け取らないわね···。結構お高いんじゃないのかな?」
「ははは!さすがに皇城には負けちゃうけど、それでもなかなかいいでしょ?」
「船ってこんなにすごいんですね!帰ったらママに自慢しよう〜!」
そして、うちの子どもたちも
「明日の朝までこんなきれいな船で1泊するのね!ステキ〜!」
「姉ちゃん!天井が高いね~!」
「···豪華。ちょっと贅沢し過ぎ?」
吹抜けエントランスホールで感動していた。
「さあさあ!部屋に行くよ〜。一番上の階だからね~!」
スイートは8デッキにあった。今回は右舷側のお部屋だよ。
さっそくフユが部屋の扉を開けた。
「うわぁ~!すっごーい!」
「···これが船室?信じられない」
「部屋も豪華ね~!1泊しかできないなんてもったいないわ!」
「姉ちゃん!外にも出れるよ!イスもあるよ~!」
「リゾート地ってやつですよね!?サキもビックリです!」
「···アキ?高かったんじゃない?ちゃんとあとであたしとリオに請求してよ?」
「もちろん!まぁ、それなりにしてるからね。でも、せっかくこっちの世界に来てるんだから、ちょっとは贅沢しないとね!ボクが乗る時はいつも1人用の窓のない部屋だったから、ボク自身が乗りたかったってのもあるしね!」
「アキ?他の部屋もこんな感じなのかー?」
「そうだよ。今日はそっちの部屋にリオとナナが寝たらいいよ~」
「ありがとなー!」
「···アンタは壁側に寝ちゃダメよ。寝相悪くて壁紙破ったら大変なんだからね!」
「お、おう···。気をつけるぞー」
「ははは!じゃあ、さっそくレストランに行こうか!早くいかないと席がなくなっちゃうからね!」
そうしてボクたちはレストランに向かい、ちょうど窓側のグループ席が空いてたよ。ここからなら出港時に手を振れるね!
「さあ!ここはバイキングだから好きなだけ料理を取ってきたらいいよ!何度でも取りに行ったらいいから、まずはたくさんの種類を少しずつ取って、気に入ったらまた取りに行ったらいいからね!」
「「「「「はーい!」」」」」
ボクは席取りしておいて、みんなは料理を取りに行ったよ。
···10分経ったけどまだ戻ってこないね。混んでるのかな?と思ってると戻ってきたけど···!なんでそんなに盛ったの!?ってぐらいに山盛り取ってたんだ!
「えへへ~!たくさん取っちゃった!」
「···ナツもちょっとずつって思ってたけど、おいしそうだったからたくさん取っちゃった」
「このカレーってのがおいしそうだったからたくさん取っちゃったわ!」
「ぼくはお刺身!この前の回転寿司?ってのでおいしかったから!」
「そ、そう···。ちゃんと残さず食べるんだよ」
「もちろん!まだ1回目だからね!」
「···2回目も行くんだ」
···食べ盛りと言っても限度があるけどね。まぁ、おいしそうに食べてるからいいか。じゃあ、ボクも取りに行こう。ついでに酒も飲むぞ~!
ゆっくりと料理を取ってボクが席に戻ったら子どもたちは2回目の料理を取りに行った。···えっ!?もう食べ切った!?速すぎるよ!?
「みんな、ちゃんと噛んで食べた?」
「もちろんよ!とってもおいしいわ~!」
「うん!ぼくもドンドンおなかの中に入っちゃった!」
「そ、そうなんだ···」
結局5回も取りに行ったよ。子どもでこんなに食べたら太るけど、戦闘種族なせいか細マッチョ体型を維持してるのはすごいね···。
そうして食べ始めて1時間経ち、出航時間になった。船が静かに動き始め、岸壁では係員さんがお見送りの手を振ってくれた。ボクたちもレストランの窓越しに手を振ってあいさつを返したんだ。
出港してゆっくりと航行しつつ、景色はきれいな夜景を楽しめるようになってきた。きれいな夜景を見つつ、子どもたちはデザートに舌を包み、ボクとハルは和やかに夜景を楽しみつつ、のんびりと会話していたんだ。
「さて、レストランは楽しんでもらえたかな?」
「「「「「はーい!」」」」」
「じゃあ、そろそろ出ようか。もうすぐしたら大きな橋の下をくぐるよ。デッキに出ようか!」
ということでデッキに出てきた。心地よい風が吹く中、デッキにはたくさんの人たちが撮影したりしていたよ。
うちの子どもたちもスマホのカメラで撮影し始めたね。ライトアップもしてるからとってもきれいなんだよね~!
夜景を楽しんだ後はお風呂だ。大浴場も広々としてるからゆっくりと入れて気持ちいいよね~。
「リオ、背中洗おうか?」
「おっ!?いいのかー?じゃあお願いするぞー」
「ケン!おれたちも洗いっこしようか!」
「いいよ~」
ドラゴン族って背中洗うのって大変なんだよね~。モフモフな翼があるからね。生活魔法で普段はきれいにしてるけど、こういった機会があれば洗ってあげるとリオは喜んでくれるんだよね~。こうやって楽しくお風呂を楽しんだんだ〜。
部屋に戻ってしばらくして女性陣が戻ってきたよ。
「いやぁ~、船の中でお風呂に入るって最高ね~!エーレタニアにはないからいい体験したわぁ〜」
「アイム島行く時はお風呂なかったもんね。はい、お茶どうぞ」
「···このお茶、冷えてておいしい」
「ハルも気に入ってくれて良かったよ〜」
さて、部屋に戻ったら子どもたちはテラスに出て夜の海を眺めていた。ちょうどテラス左側に沈みゆく満月が見えたんだ。とっても幻想的だったね。
ボクとハルはもう一つのテラスで売店で売っていた缶チューハイを飲みながら月見酒と洒落込んでのんびりとくつろいだよ。
一方の子どもたちはボードゲームで遊んでいた。電気屋さんでゲーム機買えないと知ってボードゲームをいくつか買ったようだね。
さて、夜も更けてきたのでそろそろ寝よう!明日の朝食は早いからね~。おやすみなさーい!
今回も知人のフェリー会社の最新鋭の船を登場させました!最初書いた時はこれよりもさらに具体的な感想になってしまって、書き終えてから読み返したときに『これって宣伝になってなくね?ステマ扱いされかねん!』って思って、書き直してボカシをさらに強めにしました。それでも気づく人は気づくんでしょうけどね。
さらにフェリーマニアの友人によれば、『船はほとんど右側通行だから、左舷側の部屋だとすれ違う船を見れるぞ!』と、強く勧められます(笑)!深夜の海上は真っ暗すぎてわかんないですけどね。晴れてれば星空はめっちゃきれいですよ~!
デッキ付きの船は新日本海フェリー様と商船三井さんふらわあ様の苫小牧西港発大洗行きで乗りましたが、寒すぎたのと悪天候でデッキに出れなかったんですよ···。別の船でも試したいですね~!お値段高いけど···。
さて次回予告ですが、下船してから温泉地へ向かいますよ~!お楽しみに~!




