15-11.今日は観光するよ~!
「アキ?今日はアキのあの部屋で寝るのかー?」
「さすがにあの部屋で9人はムリだからね。近くの祖母の家に行くよ」
「アキの身内ね!ちゃんとごあいさつしないといけないわね」
「あ〜···。ナナ、その必要はないよ。ボクがエーレタニアに行く前の年に100歳で天寿を全うしちゃったから今は空き家なんだよ。親戚が所有して売却待ちなんだけど、ボクがちょっとした管理してたからカギは持ってるんだよ」
「···あ〜、それは辛いこと言っちゃったわね」
「気にしなくてもいいよ。そんなに大きくはないけど9人ゆっくり寝れるから大丈夫だよ。じゃあ、行こうか」
ちなみに全員で、55,600円でした···。結構オトクな回転寿司でこの値段はビックリだよ···。リオは80皿食べてたね。皿を数えに来た店員さんが驚いてたよ。
さて祖母の家だけど、スマホの日付を見たら売却予定日は3ヶ月後だったからまだ大丈夫だね。使った水光熱費はテーブルに置いて書き置きしとけばいいか!
いったんうちに寄ってカギを取ってから祖母の家に行った。···こっちも本当に久しぶりだなぁ〜。
都市部だから狭い土地に建っている3階建ての家だ。
カギを開けて中に入った。2階に仏壇があるので、まずは寝泊まりさせてもらえるようあいさつしておこう。
「アキ?これはなんだー?」
「···これは仏壇だよ。亡くなった人の魂が入ってるとされてるんだ。お墓は別にあるんだけどね。
この国は宗教ってあんまり馴染みがないんだけど、冠婚葬祭だけはこういった式をやったりするんだよ」
「って事は、ここにはアキの親戚がいるのかー?」
「そうだね。じいちゃん、ばあちゃん、おじさんとおばさんだね。壁に遺影がかかってるでしょ?この人たちがいるんだよ。
あいさつの仕方なんだけど、この線香に火をつけて、このおりんって言う鐘を2回鳴らして両手を合わせて祈るんだよ」
「へぇー。こういう宗教なんだなー」
「まぁ、他の国とかだと違うけどね。
···こんばんは。ボクの記憶の中だけど帰ってきたよ。···ボクもこっちの世界では死んじゃったけど、別の世界へ行っちゃったから会えなかったね。···会いたかったんだけどね。···でも、別の世界で頑張って生きてるよ。こんな格好になっちゃったけどね。
そうそう!こっちでは独身だったけど、ボクに家族ができたんだ!今日と明日、ここで泊まらせてもらうね。
···これでよし!さぁ、お風呂沸かすね。ちょっとだけ待っててね」
あいさつを終えてボクは風呂場へ向かった。···ちょっとだけ泣いちゃったけどね。
風呂のスイッチを入れて戻ると、みんな仏壇で拝んでくれてたよ。···ありがとう。
風呂は子どもたちに先に入ってもらったよ。その間、ボクたちは軽く晩酌をしていたんだ。そしてボクとハル、リオとナナで風呂に入ってふとんで寝たんだ。久しぶりに祖母の家で寝れてボクも嬉しかったよ。···おやすみなさーい!
翌日の朝食は菓子パンだ。昨日買い込んでおいたからね!軽めの朝食を食べてると、フユから質問があったんだ。
「パパ?この床の緑色のこれってなに?植物っぽいんだけど」
「これは畳だね。い草って言う植物を織り込んで作った敷物なんだよ。この国では有名なものなんだよ」
「植物なんだ!面白いね~!」
畳なんてエーレタニアにはないからね。フローリングにじゅうたんがほとんどだからなぁ~。
そうそう、うちもリオのうちも靴は玄関で脱ぐようにしてるんだよ。靴のままって、元日本人だと抵抗があるからね。掃除も楽だし。
さて、今日は近場を観光するよ!
まずは海浜公園だね!巨大な吊り橋を見てもらおうか!
「···ナニアレ?橋だけど、あんなに大きいのがあるんだ···」
「···大きな船だね。···この前乗った船の倍以上?」
「これって海よね?···なんだか川のように流れてるんだけど」
「きれいなところだね。のんびりできそうだよ!」
「アキさんの世界ってすごいですね···。皇国でもここまでじゃないです···」
「そうだね。こんなに技術が発展したのは、実は200年ぐらいなんだよ」
「···200年でここまでって、すごいわねぇ〜。あたしたちはドラゴン族だけど、死ぬまでにこんなになるのかしらね?」
「魔獣がいるから無理だろうなー。この世界って魔獣いないもんなー」
「技術体系が根本から違うから、もし発展するとしたらこの世界とはまた別の発展になるだろうね。じゃあ、次に行こうか!」
「パパ!次はどこに行くの!?」
「動物園に行ってみようか。この世界の生き物について知ってもらおうかな?」
「どんな生き物がいるのかしらね~?わたしも楽しみだわ~!」
という事で、動物園の最寄り駅まで電車で移動だ!改札もモバイルアデリーで通れるから便利だね!
さて、ホームに上がる。次の電車は7分後だけど、ここで特急の通過待ちをするから、もうすぐ来るね。
「もうすぐ電車が来るから、足元にある黄色のデコボコより内側にいるんだよ〜!」
「「「「「はーい!」」」」」
しばらくして電車が到着したんだ。この電車に乗って、終着駅で乗換で行けるぞ~!
「へぇ〜!電車の中ってこうなってるんだね!」
「運営する会社や走る距離によって座席の配置が違うんだよ。あと、他の人も乗ってるから静かにね」
「「「「「(はーい)」」」」」
やっぱり子どもたちは運転席後ろにかじりついたね。走行風景って見てて飽きないからね。
結局親も一緒にかじりついたよ。ボク?ボクは運転席の電圧計と電流計を見るのが好きなんだよ。電気の専門家だったからね。
特急の通過待ち後に電車は発車した。子どもたちは前面展望を静かに楽しんでいたね。
途中から地下区間に入るので、手前でカーテンが降ろされたけど、1番右だけは開いてるので、ぎゅうぎゅう詰めでかじりついてたね。
「さて、乗換えるよ~。降りて向かい側の電車だからね~。まだ来てないけど、来たら乗るよ~」
すぐに電車が到着し、2つ先の駅で降りたんだ。
「電車って面白かったね~!おれ、気に入っちゃった!」
「···ナツも。風景が速く流れるのが気持ちいい」
「わたしやケンが飛ぶより速いのは迫力あるわね~!」
「うん、姉ちゃん。···ちょっとだけ速さにこだわってみようかなぁ~?」
「各々楽しんでもらえたようだね。さあ、着いたぞ~!ここが動物園だよ~」
「ここかー!どんなのがいるんだー?」
「それは見てのお楽しみだね!」
ボクも来るのは子どもの時以来だね~!平日ということもあって空いてるよ。遠足の子どもたちはいなさそうだね。
さて、園内に入って順路通りに歩いていくと···。
ほとんどの動物が通路から遠ざかっちゃったよ?···なんだか悲鳴に近い鳴き声を出してるんだけど?
「アキパパ?なんだか檻の中の動物たちが怯えてるようにみえるんだけど?」
「そうだね。···ぼくたちを怖がってる?」
「···もしかして、リオたちが今は人の姿してるけど、本当はドラゴンだって本能的に気づいちゃってるのかな?」
「···あー、そうかもなー。魔獣は見境なく襲ってくるから気にしてなかったけど、魔獣じゃない動物ってオレたちに近寄らないなー」
う〜む···。これは想定外だったなぁ~。こんなに怯えてたら飼育員さんが困っちゃうよね~。残念だけど、別のところに行くか···。
動物園ではリオくん一家に対して動物たちは怯えてしまいました···。本当はここで飼育員さんとの話も入れるつもりだったんですが、某動物公園の飼育係の人しか思い浮かばず、皆さんテレビによく出演されてますから、個人が特定されそうだったのでボツにしました(笑)。ちなみに某動物公園の飼育係さんのサインは、4月の感謝祭で一気に増えて11人分(有名デザイナー飼育課長の直筆原画を含む)持っております(笑)。
さて次回予告ですが、動物園は諦めて科学博物館を見学に行きます。地球の『科学』というものがどういったものなのか?を子どもたちは興味深く勉強します。
それではお楽しみに~!




