15-7.神様からのクリスマスプレゼント
今日と明日は土日なので朝と夜に1話ずつ投稿しますよ~!
グロー歴514年10月5日 晴れ
学園の長期休暇も終了し、ボクは今月から講師として通勤する毎日になったんだ。
パスさんは先週に仕事で旅立っていったよ。ケイさんがアクロまでやって来て、3日ほどうちに滞在してもらって温泉を堪能してもらったんだ。
「いやぁ~、アキさんの言う入り方すると疲れのとれ方が違うね!これはいい事聞いたなぁ〜」
「アキくんのすごいところの一つよね~。皇国には温泉ないから味気ないわぁ~。賞金出して掘ってもらおうかしらね?」
「ムリして掘っても汲み上げるのが大変だからやめといたほうがいいよ?」
温泉は鉱山の一種だからね。ムリすると大変だから止めといたよ。
今日は子どもたちはリオが魔法の制御についての勉強会を開いていて、ハルはサキちゃんに武器の使い方について教えてたよ。
ハルによると、サキちゃんは隠密活動に向いてるんだって。だからハルの技術をちょっとだけ教えているんだ。飲み込みがかなり早いって驚いてたね。
···この世界の子どもって成長が早くない?いくら魔獣のせいで平均寿命が短いからって、元の世界では考えられない速度なんだよなぁ~。
それだけ命に関わってるってのが無意識に感じてるんだろうね。簡単に言えば危機感だ。いつまでも親が生きててご飯が食べれるとは限らないってのがありそうだね。
だから学べる機会があれば真剣に聞いて、少しでも生き残ろうとしてるんだろうね。学園でボクが教えている生徒たちも同じ事が言えるんだよ。
そしてさらに2ヶ月があっという間に過ぎ、世間では年末って時に重大な出来事が起こったんだ。
グロー歴514年12月24日 雪
今日は元の世界だとクリスマスイブだ。今日はいつもより一段と冷え込んで、さっきから雪まで降り出したよ。
うちも元の世界と同様に子どもたちにプレゼントをあげているんだ。まぁ、来年の今頃は成人してるから今回が最後だけどね。
子どもたちは9歳になった。まぁ、体つきは身長がちょっとだけ伸びた程度だけどね。相変わらずの細マッチョだよ。元気に過ごしているよ。
さて、夜も遅くなってきたので、子どもたちにプレゼントをあげるために部屋に行ってみると···!
あれ?いないぞ?トイレか?···いや、ナツもいないぞ?どういうことだ?
そしてリビングに行ってみると···、そこにいたんだ。しかも、リナとケンまでいたんだ!
「みんな?こんな夜遅くにどうしたの?」
「あっ!?アキパパ!?どうして気付いたの!?」
「いや、毎年恒例のクリスマスプレゼントを持っていったら部屋にいなかったからね。で?どうしてここに集まってるの?」
「それは余が呼んだからだよ」
「ジーンが?なんで?」
「実は先日、この世界の神から頼まれてね。この子たちに『くりすますぷれぜんと?』ってのを渡したいけど、希望を聞いてくれって言われててね。それでみんなに聞いてたのさ!」
「神様までクリスマスプレゼントだなんて···。なんでボクの元の世界の風習知ってんだよ?」
「そのあたりは知らないよ?さて、みんなはどんな願いや欲しいものがあるのかな?個人ごとにひとつだけ叶えられるし、みんな一緒にひとつの願いを言ってもいいよ。そこらへんはある程度自由だからね!ただし、できないのもあるからね!」
「···神様からならすっごいお願いが聞いてもらえそうだから、前から考えてたおれたちみんなの願いを叶えてもらおうと思うんだけど、みんな、いいかな?」
「···あれだね?ナツはそれでいいよ」
「あれね!わたしもいいわよ。まさか実現するかもしれないって思うとワクワクするわね!」
「あれだね。ぼくもそれでいいよ。でも、本当に叶うのかなぁ~?」
えっ?前から考えていた?でも、ボクは聞いてないよ?聞いてたらボクが用意するんだけどね。···って事は、ボクじゃ用意できないプレゼント?いったい何だろうね?
子どもたちが前から考えていたという話を聞いたジーンは嬉しそうに聞いてきたよ。
「おっ!?面白そうだね~!どんな願いかな?」
「パパがいた元の世界ってところに行ってみたい!!」
「なっ!?」
えっ!?そんな事考えていたのか!そりゃ、ボクじゃ叶えられそうにない願いだし、プレゼントできないわ。
こんな無理に等しい願いを、ジーンは興味深そうに聞いて···
「おお〜!それいいね~!余も興味あるよ!」
「ちょっと待って!ボクのいた世界にはもう帰れないって神様は言ったよ!?ムリじゃないの!?」
「確かにそうだね~。でも、『夢』って形で行く事は可能だよ?」
「えっ!?···それって?」
「簡単に言えばアキ自身の記憶の中に夢を見る形で入るんだよ。だから実際にあるアキの元の世界に行くわけじゃないんだよ」
「あ〜、そういうことね。以前に別の世界の人の魔道具で似たような事やったね」
「まぁ、それとほぼ一緒だと思うよ。今回は神様パワーでちょっと長めに滞在できるようにしとくよ。せっかくだし、旅行気分で楽しんでおいで!」
「それって子どもたちだけで行かせるわけにはいかないんだけど?」
「もちろん、親同伴だよ。8日間滞在できるから、一緒に楽しもうね~!余もついていくからね〜!」
まさかまた元の世界に戻れるなんて思いもしなかったなぁ~。でも、スマホのマンガやアニメを見れるから、子どもたちもある程度は想像できてると思うんだけどね。
というわけで、今年の年末は元の世界で過ごすことになりました。リオたちには明日の朝に話しして、何もなければ昼前に出発することにしたんだ。
グロー歴514年12月25日 雪
おはよー!今日の朝は冷え込んだね~。外は一面銀世界になっていたんだ。ここって結構南の方なんだけどね。朝風呂が気持ちよかったよ〜!
そして、朝食にしようとした時にリオたちがやって来た。···ついでにボクの朝食も食べちゃおうって魂胆がミエミエだね。
「アキー!おはよー!リナたちから話は聞いたぞー!アキの世界を旅行するんだってなー!またあのおいしい料理が食べれるなんて嬉しいぞー!」
「相変わらずアンタは食うことしか頭にないのか!···でも、あたしも興味あるわね~!この『すまほ』がたっくさんある世界なんて、どんなところかしらね~?」
「まぁ、楽しみにしといてよ。8日間も滞在できるらしいから、ボクもいろいろプランを考えといたよ。ハルも楽しみにしてね!」
「···うん。楽しみ」
こうして出発の準備をしたボクたちはリビングに集合した。今回はサキちゃんも一緒だから9人とジーンで行くよ〜!
「じゃあ行くよ〜!そうそう、夢という形だけど、体も一緒に行くからね。ここで寝ている状態じゃないからね~」
「うん!じゃあ、行こうか!」
「「「「「おーー!!」」」」」
こうして、ボクたちはボクが元いた世界へ飛んだんだ。
眩しい光に包まれてしばらくすると、光が収まってきた。
···そこには、ボクが住んでいたアパートだったんだ。
第15章後半は地球観光です。
エーレタニアの常識とは全く異なる世界を、子どもたちが体験するというのは今後の人生において貴重な経験となるでしょうね。
まぁ、子どもたちはスマホでアニメを見れちゃうので、ある程度は事前に知識はありますけどね。やはり実体験に勝るものはありませんから。これは子どもに限らず、大人でも同じですよ~。
さて次回予告ですが、第2章以来久しぶりになるアキくんの地球での家に戻ってきました。興味津々な子どもたちはアキくんのアパートの一室を物色しまくります。
次回は本日夜に投稿しますので、お楽しみに~!




