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【完結済・第6章まで加筆修正完了】アキの異世界旅行記 ~旅先でなぜか変なフラグ立ってトラブルに巻き込まれて···ホント困ってます~  作者: ぷちきゅう
第15章 サキちゃんのホームステイと子どもたちの異世界旅行

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15-5(番外編).アキ、アクロ温泉協会アドバイザーになる!?

 今日も草津温泉に宿泊中!『売れっ子作家ごっこ(笑)温泉編』を楽しんでおります(笑)!

時は遡り、グロー歴514年2月7日 晴れ


「ごめんくださーい!アキさーん!いらっしゃいますー?」



 朝食を終えて、新学期の授業の資料を作成しようかな~?と思ってたら、声がかかった。···誰だろう?



「は〜い!って、テルメさん?どうしたんですか?」


「ちょいと相談したい事があってね!お時間いただけないだろうか?」


「まぁ、いいですけど···。立ち話もなんですから、中へどうぞ」



 やってきたのはテルメさん。ここアクロの温泉協会長さんだ。たまたま外食した時に温泉の話を家族に調子こいてしていた時に、隣の席にいたんだよ。


 ボクとハルの話に割り込んできて、『素晴らしい知識をお持ちなんですな!』って言ってきたんだ!ビックリしたよ。まさに『某釣り大好きな平社員と釣りを知らなかった社長の出会い』みたいだったね。


 それ以降、何かと相談を持ちかけてきてるんだ。去年は『温泉の祭りをしたいから、何かいいアイデアない?』って聞かれたから、某温泉にある温泉の湯を参加者にかけまくる事を提案したら、本当にやっちゃって大好評だったんだよ。


 今回は何の相談だろうね?



「実は、アクロ温泉を代表するような施設を作ろうと考えてましてな。ただ、あんまりお金はかけられないんだ。この程度の金額だとどういったものができそうか、アイデアないですか?」



 なるほどね。確かにここアクロは温泉宿と関係する食堂や喫茶店、小さなお土産屋さんがある程度だ。『アクロといえばコレ!』ってなものはないね。


 まぁ温泉旅行なんてこの世界じゃ、まだ一般的じゃないからね。お客さんを呼び込もう!ってのは考えないでしょ。


 それでもやるんだね。まぁ、大魔王がいなくなったら魔獣も少なくなるだろうから、先を考えると先行投資だね。ある意味輝かしい未来を夢見てるんだね!


 ただ、気になる点があるんだよ。水をさしちゃうようで心苦しいけどね。



「話はわかりました。ボクとしても賛成ですが、確認しておきたいことがあります」


「と言いますと?」


「施設を作るって事は管理と維持しないといけません。建てる費用は1度きりですが、維持は常時費用が発生します。

 お話を聞く限りそこを詰めてないように思うんですよ。いかがです?」


「管理と維持···、ですか。確かに深く考えてませんでしたなぁ」


「ですから、修繕費を出す仕組みが必要ですね。手っ取り早いのは利用料を取るんですけど、名物とかだとそれは厳しいですよね?ですので、今あるものを活用して簡単に維持できるものにしたらどうですか?」


「そんなものがあるのですか?」


「ありますよ?足湯なんてどうです?」


「足湯···、ですか?初めて聞きますなぁ~」


「足だけ湯につけるんですよ。服を脱がずに気持ちよくなれるんですよ。ちょっと試してみます?」



 というわけで、うちの温泉でテルメさんに試してもらったよ。湯船の湯を半分以上抜いた状態で足だけつかってもらったんだ。



「おおっ!?確かに気持ちよくなりますなぁ~!」


「ですので、川沿いにある引湯管を途中で分岐して河原まで伸ばして、川の水で湯温調整をお客さんにしてもらったらいいんですよ。座る部分と屋根だけ設置して、あとは軽い掃除だけでいいと思いますよ」


「素晴らしいですな!その案で議論してみましょう。アキさん、可能でしたらまたアドバイスをしていただけないですか?」


「これぐらいでしたらいいですよ」



 ···これがいけなかった。後日、協会の会合に連れて行かれて、一から全部説明したんだよ···。しかも当日朝にいきなり呼び出されちゃったんだよ。来期の授業の資料作成がぁ〜···。


 ただ、足湯のコンセプトを確実に伝えれたし、思ってた以上にみんな賛同してくれたので、そこそこいいものが出来上がったよ。


 ちなみに工事期間中もボクに立会を求められたんだ。や、休みが···。


 工事と言ってもそんなに大規模じゃないよ?軽く掘った湯船に床石を敷き詰める作業、屋根の設置、腰掛けの設置。これらは工務店のおっちゃんがやってくれた。


 引湯管の改良は月1でやってる配管高圧洗浄の日に分岐部の工事を行った。


 最後は川からの水を引き込む工事だね。これも引湯管と平行に並んでる簡易水道から給水したんだ。排水は川までちょっと水路を作ってもらった。


 さあ!完成だ〜!工事は1ヶ月ぐらいだったね。だいたい一度に20人ぐらい入れる広さだ。元の世界で考えてもかなり規模は大きいね。


 足湯って知らない人がほとんどだから、入り方を屋根の柱3本にそれぞれ掲示してもらった。これはボクが作成したよ!


 足ふきタオルはすぐそばの喫茶店のおばちゃんが売ってくれるようだね。おばちゃんは『売上が上がるわぁ〜!』ってホクホク顔だったよ。


 さて、足湯オープン当日。式典が開かれるそうで、来賓としてボクも呼ばれちゃったよ。


 そして式典が始まり、テルメさんのあいさつの後、なんとボクまでコメントを求められたよ!?何も聞いてないんだけど!?



「(ちょっと、テルメさん!聞いてないですよ!?)」


「(まあまあ。軽く足湯の話をしてもらえたら···)」



 うまいこと丸め込まれたボクは、仕方なく壇上に立ったんだ。



「え〜、今回足湯についての案を出しましたアキです。これまで服を脱いで入る温泉を、さらにお手軽に楽しめる施設として提案させていただきました。

 足先を温めるというのは血行を促進して気持ちよくなります。

 この施設は無料で利用できますので、ちょっとしたひと休憩やご近所同士の井戸端会議などでも利用できます。

 この施設がアクロのシンボルとして、そして憩いの場となることを期待して、短いですがあいさつに代えさせていただきます。

 本日はおめでとうございます。皆さん、楽しみましょうね!」



 パチパチパチ!!


 あ〜···。アドリブで言っちゃったから恥ずかしいなぁ~!



「パパ!かっこよかったよ!」


「···ナツの心にしみるあいさつだった」


「そんな大げさな···。さて、順番に入らせてもらおうか!」


「「はーい!!」」



 この日、アクロに新名所ができた。この足湯は非常に好評で、後日拡張工事も行われることになるんだ。


 ···のちに旅行ブームが訪れた際には、有名な観光名所となって、当初の目的通りシンボル化するんだよ。


 その際に記念碑まで建てられて、『足湯エグゼクティブアドバイザー:アキ』って勝手に名前を刻まれたのは恥ずかしかったよ···。


 せめて一言、事前に言ってくれればよかったのに···。



「だって~、言ったら拒否するじゃないですか!?」

 維持費って考えない人が多いんですよね~。

 車もそうなんですが、購入費用は出すのに点検や修理費をケチってしまい、結局はすぐ壊れて買いなおさないといけないぐらいの状態になってしまうんですね。

 企業の場合は会計や税法上の関係が強く、新築などは減価償却と言って一定の率で何年もかけて支払うに対して、修繕費は利益から支払う方式なんですね。

 そうすると、修繕しなかったら帳簿上でその分利益が多くなるので、渋っちゃうんですよ。

 そして、後回しにしすぎて壊れて仕事がストップするという悪循環に陥ってしまうんですね。

 中には税金払いたくなくて、過剰な利益が出たら税金対策で一気に修繕するってのもありますが···。

 皆さんも修理はヘタにケチると痛い目にあいますから注意しましょうね~。


 アキくんも元の世界での仕事柄、修繕計画の提案をしましたがことごとく蹴られた経験があったので、この辺りは厳しめに見ちゃいました。


 さて次回予告ですが、子どもたちの日常の光景をご覧いただきます。ご覧って言っても文字ばかりですが···。

 お楽しみに〜!

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