15-4.サキちゃん、アクロの町を堪能する
先週は地獄の夜勤3連発込みで10連勤でして、今日から4連休なので草津温泉に来ております!今回は連泊しますよ~!愛車で9時間かけて来てますから(笑)。
先日、仕事で疲れ切って帰ったところでGにバンザイアタック食らって重度のむちうちになってしまったので療養しますよ~。
早朝からドッタンバッタン大騒ぎがあったリオ家。それがサキちゃんが仕込んだイタズラとはまったく知らずにボクたちは全員で町に出てきたんだ。
パスさんは、昨日は直接ボクの家に行ったのと工務店さんと食料品店に行っただけだからね。今日は温泉街にも行ってみよう!
まずは工務店さんだね!早く発注しておかないといけないからね。
「おはようございます〜!いらっしゃいますか〜?···あれ?いないのかな?」
「アキくん?入口の横に『夕方まで出張中』って看板出てるわよ?」
「あっ!?本当だね。じゃあ、出直すとするか〜。まぁ時間あるし、夕方にまた来るか」
「アキー。悪いなー」
「壊しちゃったのは仕方ないよ。それにしても、トイレの中にケンがいたのに、ケンは無事だったんだね?」
「あはは···。まぁ、ドラゴン族だからね。ビックリしちゃったけど」
「じゃあ、先にパスさんの用事を済ましちゃう?」
「そうね!まずは冒険者ギルドに行きましょうか」
ということで、冒険者ギルドにボクたちはやって来た。いきなり10人もぞろぞろと入るとさすがに注目されちゃうよなぁ~。
ただ、最初はみんなに見られたんだけど、そこからがすごかった!
ギルドにいた全員の頭の上に出ていた『?』が『!』に変わったんだ!
「パスさん!?帰ってきてくれたんだね〜!」
「本物だよな!?ははは!懐かしいじゃないか!」
「あれから何年だ!?全然変わってないじゃないか〜!」
「あら〜!懐かしい顔ぶれがいるじゃない〜!でも、ごめんね~!外国で結婚しちゃって、また帰らないといけないのよ~。ちなみにこの子は私の娘よ!」
「「「な、なんだってーー!?」」」
···皆さん、ノリいいっすね〜。
その後もみんなパスさんと話をしていたよ。その間、サキちゃんが暇そうにしていたから、ハルが依頼掲示板に連れて行って、依頼の発注と受注について説明をしてくれていた。
ちなみに子どもたちも一緒に聞いていたよ。将来は冒険者になる可能性もあるからね。
そうでなくても何か発注する側になるかもしれないから、事前に相場を知っておくのも大事だよね!
掲示板には緊急の依頼は入ってないようだけど、7件ほどハルヘの指名依頼が溜まってたようだね。それをハルは受付で確認して全部受注しちゃったんだ。その様子もサキちゃんと子どもたちも見ていたね。
「ハル?指名依頼があった?」
「···7件あった。···また明日からナナと一緒に出かけるね」
「わかったよ。おいしいお弁当作っておくね!」
「···うん。···楽しみにしてるね」
そうしているとちょうどお昼になったので、冒険者ギルドに併設されている酒場でみんなで昼食にしたんだ。そしたら···
「今日は久々に会えた記念に私がおごるわ!一緒に楽しみましょー!」
「「「「ゴチになりまーす!!!」」」」
パスさんはその場にいた人全員の昼食を奢ってしまった。もちろん、ボクたちもいただいてしまったよ。···そのお金は皇国の税金でしょ?ボクだけ恐縮しちゃったよ。
···えっ!?お前とリオの家も、管理費は皇国の税金だろ!だって!?···ホントにありがとうございます。何かお返ししないといけないかなぁ~?特にヒズさんには。
一方、子どもたちは『そんなの関係ねー!』と言わんばかりにたらふく食べていたよ。それをパスさんは喜んで見てたね。
さて、みんな満腹になったところで温泉街ヘ行くことになったよ。
せっかくだし、パスさんが皇国に帰ってから変わったところへ案内するとしようか!
「あら?あそこって、あんなのあったかしら?」
「あそこはここ最近できた新名所だよ。足湯って言うんだ」
そう!温泉街の中心に近い、川が流れてる河川敷の公園の端っこの方に足湯ができたんだよ。しかも···
「実はこれってボクが提案した施設なんだよ」
「へぇ~。アキくんがプロデュースしたんだ?」
「そうなんだ。元の世界にあった足湯って温泉の入り方なんだよ。ああして足だけでも十分に温まるし、服を全部脱がなくても入れるからね。気軽に無料で楽しめるんだ。
去年、温泉協会の人からいい案ないか?って聞かれて、これを出したんだよ」
「いいわね~!さすが温泉大好きなだけあるわ!サキ!一緒に入ってみましょう!」
「はーい!」
というわけでボクたちも足湯を堪能したんだ。まだまだ暑い日が続いてるからぬるめのお湯になってるよ。元の世界でも、25℃未満の冷鉱泉だったら夏は加温せずにそのまま冷えた温泉でかけ流しで足湯をやるところもあるみたいだったしね。
ちなみに風邪ひいた時はお風呂に入らないほうがいいってなってるけど、ポカポカしたかったら洗面台にお湯を溜めて手をつける『手湯』というのも気持ちいいんだよ。足元に湯を入れた洗面器に足を突っ込んで入るのもいいね!
手湯や足湯のことを『部分浴』って言うんだ。ちなみに肩まで湯につかるのは『全身浴』って言うんだよ。
さて、足湯をのんびり堪能したあと、近くにあった喫茶店で冷たい飲物を頼んで涼んだんだ。これもいい温泉の楽しみ方の一つだね!
その後は町並みとお土産屋さんを見て回ったんだ。ただ、温泉地へ旅行というのはこの世界だとハードルが高すぎるので、元の世界の温泉地のような賑わいはないんだよ。
このあたりは大魔王ムーオを倒したら改善するかな?ボクはやらないけどね。
「どう、サキ?ここはいいところでしょ?」
「うん!温泉気持ちいいね~!ママがここを拠点にしてた理由がわかった!」
「でしょ〜!いい仕事するならいい環境を整える事が大事なのよ。わかってくれたかしら?」
「うん!」
···ただ単に税金でのんびりしたかっただけだと思うけどなぁ~。まぁ、ボクも温泉大好きだから、家に温泉引き込めるなんて天国のような思いだよ。
さて、いろいろ散歩してから食料品を買い込んで家に帰る頃には夕方になっていたんだ。工務店のおっちゃんは帰ってきたかな?
そうして工務店に行くと、ちょうどおっちゃんは帰ってきて後片付けをしていたよ。
「お疲れ様です〜」
「おっ!?アキさんじゃないか。どうしたんだ?昨日のベッドに不具合あったか?」
「いえ、そうじゃないんですよ。実はリオの家のトイレの扉が壊れちゃって···。取替をお願いしたいんですよ」
「扉全交換かい?また大修理だなぁ〜。材質とかみないとわからんから、よければ今から現地調査させてもらってもいいかい?」
「リオ?いいかな?」
「おう!おっちゃん、済まないなー」
「ははは!なにやって壊れたかは聞かないが、これも仕事だからな!」
というわけで、工務店のおっちゃんも連れて帰ってきた。まずは調査だね。
「お〜。これは派手にやったなぁ~。まずは扉の板は全交換確定だ。あとは蝶番もひん曲がってるな。これも位置変えてやらないとな。材質はもとのままでいいか?」
「おう!全部おっちゃんに任せるぞー!」
「発注ありがとな!サイズはわかったし、うちの在庫に似たサイズの板はあったはずだ。ただ、今ちょっと仕事が立て込んでてな。取り付けは1週間はガマンしてほしいな!」
「いいぞー!ずーっと家にいるから、いつでもいいぞー!」
「わかった!代金は15万ジールぐらいだと思うぜ。それでいいか?」
「いいぞー。よろしくなー!」
ということで、修理手配は完了だ。
さて、今日の夕食を作るか!と思って帰ろうとすると···
「アキー!今日はありがとなー!お礼に今日の夕食はオレに任せろー!」
そのセリフを聞いて、パスさんとサキちゃん以外は全員青ざめた!
「あら!?リオさんの料理って気になるわね~!」
「サキも〜!朝ご飯おいしかったからね~!」
「そうかー!じゃー、腕によりをかけて料理するぞー!」
意気揚々とキッチンに行くリオの後ろ姿を、ボクらは恐怖の目で、パスさんとサキちゃんは期待の目で、それぞれ見ていた。
···その日の夕食は阿鼻叫喚の地獄絵図になったのは言うまでもなかったんだよ。
これって、リオにイタズラしたことの因果応報かな?
なんでうちの家族まで巻き添えに···orz
足湯いいですよね~!このネタは今日泊まってる草津温泉の入口に新名所の巨大足湯ができたと聞いて、アクロにも作ってみました(笑)!
まぁ、この世界では魔獣が多すぎて気軽に旅行できないためハードルが高いんですけど、先行投資ということで···。
さて次回予告ですが、番外編としてこの足湯がどうして作られたか?をお届けします。
ちょうど作者が温泉に泊まってるのでいいタイミングですね~!
お楽しみに〜!




