15-2.初めてのお酒を楽しもう!
パスさんとサキちゃんはうちの温泉を堪能していたよ。サキちゃんは温泉は初めてじゃないかな?
事前にボクは温泉の入り方を教えておいたんだ。せっかく入るんだから効果的な方がいいしね!
「ふぅ~!気持ちよかったわ。アキくんって温泉詳しいのね〜。確かに湯上がりの気持ちよさが全然違うわ!」
「サキも気持ち良かった~!これが毎日楽しめるっていいね〜!」
「そう言ってもらえて嬉しいよ。はい、湯上がりの冷え冷えミルク。せっかくだし、ゆっくりとくつろいでね」
「気が利くじゃない!ングッ、ングッ!いやぁ~!最高ね!」
···なんだかおばさんになってるなぁ~。まぁ、ボクも家族からおっさんって言われるし、そんなものなのかな?
夕食ももちろんうちで食べてもらったよ。今日は外でバーベキューにしたんだ。サキちゃんも喜んでたね~。
ボクたちもお酒を結構飲んじゃったよ。長期間の旅行を無事終えたしね!パスさんも結構飲んでたよ。
「ちょっと〜、パスさん〜?飲み過ぎじゃないの〜?結構ビール飲んじゃってるけど〜?」
「アキくんほどじゃないわよ~。ってか、キミはもう6杯目じゃないの!飲みすぎでしょ!?」
「そうかな~?まぁ、普段はこんなに飲まないけどね〜。たまにはいいでしょ〜?ここはボクの家だし〜」
「ハルさん?アキくんっていつもこうなの?」
「···飲む時はこんなだね。···見ててかわいいよ。···記憶なくなってるけど」
「意外とお酒に強いと思いきや、記憶なくなっちゃうのかぁ~。···じゃあ、今ならイタズラしても気づかないわよね!」
「···そうだけど、あんまり変な事しちゃダメだよ」
「そんな事しないわよ〜。ウフフ!」
ハルがちゃんと止めてくれたね。いつもありがとね!そして7杯目を飲もうとしたその時にサキちゃんからこんな質問が来たんだ。
「アキさん!お酒っておいしいの?」
「うん。おいしいよ~。それに酔っ払うと気持ちいいんだよ~。人にもよるけどね〜」
「ふーん。サキも飲んでみたいなー!」
「まだ早すぎるよ~。もうちょっと大きくなったらいいと思うよ~。ね!パスさん」
「そうね〜。せめてあと3年は待ちなさいね~」
「え〜〜っ!?つまんなーい!」
サキちゃんは不満だけど、こればっかりはしょうがないね。ただ、このやり取りを聞いていたフユたちが、こんな事を言い出したんだ。
「という事は8歳だね。だったらおれたちもそろそろいいんじゃないかな?」
「う〜ん···。いくらこの世界に年齢制限がないって言っても、あんまり子どもにお酒を飲ませるのはいい気がしないんだよなぁ~」
「いいんじゃない〜?確かに今のアキくんほど飲んじゃダメだけど、少しぐらいはいいとお姉さんは思うわよ~」
「ハルはどう思う〜?···って、ハルもそんなに飲まないよね~?」
「···そだね。···あんまりお酒は好きじゃないかな?···酔ってるところを襲われると困るし」
「···ハル〜?ここは自宅なんだからそれは気にしちゃダメだよ〜?万が一の時はボクが守るから〜!せっかくだからハルも飲もうよ~?無理強いはしないから〜」
「···ま、いいか。···じゃ、ちょっとだけ」
「フユとナツもちょっとだけならいいよ~。気分悪くなったらボクが回復魔法かけるからね~」
「やったー!ちょっとだけ興味あったんだよね~」
「···ナツも。···ちょっとだけ試したかった」
「パパ!私たちもいいかしら?」
「う〜ん···。ちょっとだけだぞー。ムリするなよー」
「やったー!じゃ、みんなで乾杯しましょうか!」
「「「「かんぱーい!!」」」」
まぁ、ちょっとした勉強だ。たくさんじゃなかったらいいでしょ。
元の世界だったらダメだからね!エーレタニアの人間はみんなタフだから飲めるんだからね!回復魔法もあるし。
さて、乾杯して飲んだビールの感想はどうかな~?
「ングッ、ングッ!うわっ!苦い!!」
「···これがおいしいの?」
「確かに苦いわね···」
「これが大人の味なの?ちょっとぼくにはわからないなぁ~」
「ははは!ビールは好みがあるからなぁ~。よかったらジュースを入れてごらん。飲みやすくなるよ~」
いわゆるビール・カクテルだね!元の世界の職場の飲み会で連れて行ってもらった、ビール会社直営の飲み屋さんで飲んだオシャレな飲み方だよ。これならどうかな〜?
「おっ!?ホントだ!ちょっと飲みやすいねぇ~!あはは!」
「···ん。···おいしいね。···なんだか気分が良くなってきたよぉ~。うふふ···」
「これおいしいわね!なんだかふわふわしてきたわぁ〜!」
「うん!ぼくはこれ好きだなぁ~!ぼくも気持ちよくなってきたぁ~」
「お〜!みんなお酒の楽しさがわかったようだね~!飲んでしばらくしたら酔いが回り始めるんだよ~。
でもね〜?お酒って毒のひとつだから、あんまり飲んじゃダメだよ~!最初はゆっくりと飲んで、気持ちいいって思うぐらいで止めるのが大人の飲み方だよ~!」
「あはは!うん!わかったよ~!」
「···でもぉ〜、飲みまくってるパパが言っても〜、説得力ないよね~」
「そうよね~!たまに記憶なくしちゃってるほどアキパパは飲んでるからね~!」
「ダメだよ~!そんな事言っちゃ〜!やっちゃいけない飲み方をぼくたちに見せてるんだよ~!あんまり言っちゃダメだよ~。あはは!」
···みんなちょっと性格が変わったなぁ~。まぁ、これもお酒の楽しみの一つだけどね。楽しむ方向ならいいけど、泣き上戸や怒ったり暴れたりするのはご法度だからね。そういう意味ではみんな正しい飲み方をしてるようで良かったよ〜。
一方のハルは···
「···ん。···ビールにジュース混ぜるとおいしいね。···おかわり。···ん。···いける。···もう1杯いこうかな?」
ドンドングビグビいっちゃってるよ···。顔色も変えずに酔ってる雰囲気が感じられないんだけど···。
「もしもし〜?ハルさん?ボクと同じぐらいを一気にいっちゃったけど大丈夫?」
「···?···別に?···これおいしいね」
「まさかハルってお酒に強かったのね!あたしも気づかなかったわ···」
「ナナと一緒の時は飲まなかったの?」
「1滴も飲まなかったわよ。あたしが飲んでても、『いつ襲われても対応するため』って言って聞かなかったし」
「そうだったんだね。これからはお酒でも楽しんでもらおうね~」
「···うん。···アキもどう?」
「いいねぇ~!じゃ、8杯目をハルと一緒に楽しもうね~!かんぱーい!」
「···かんぱーい」
こうして今日の夕食は大いに賑やかになったよ~!サキちゃんだけお酒じゃないのはかわいそうだけど、こればかりは仕方ないからね!大きくなったら一緒に飲もうね~!って約束しておいたよ。
一方、子どもたちは1杯だけだったんだけど、慣れてなかったのかベロベロに酔っていたね。
そんな中、気が大きくなったのかリナがいきなり魔法を撃ってしまったんだ!
「あはは!そーれ!ドラゴンキャノン〜!」
「「ちょ!?」」
ボクとリオが止めに入ったけども時すでに遅し!
ボクが張っていた結界を破壊して大空高くリナのドラゴンキャノンは飛んでいった···。そして上空で爆発した。
ズドーーーン!!!
きれいな打上花火っぽかったよ。···煙がそこそこ多かったけど。泥酔しちゃってるのに、魔力を暴発もせずに超圧縮してちゃんと撃てたのはすごいけどね。
「リナー!お前はお酒禁止だー!」
「え〜〜〜!?ごめんなさ〜い!気持ちよくってつい撃っちゃった~!でも!超気持ちいいわぁ〜!我が竜生に一片の悔いなし!!」
リナは某世紀末覇王のように、右腕を高らかに掲げながら叫んでたよ。···マンガを見ちゃった影響かなぁ~?
「アキー!子どもたちにはもっと大人になってからお酒を飲んでもいいようにするぞー!リナなんか完全に酩酊してやがるぞー!まだ早すぎたんだー」
「そうだねぇ~。もっとぉ〜自分をぉ〜コントロールぅ~、できるようにぃ〜なってからだねぇ~」
「···そういうアキもコントロールできてないけどなー」
それ言っちゃ、ボク飲めなくなっちゃうんだけど···。楽しみが減っちゃうなぁ~。
翌日、ご近所さんから昨日リナが撃ったドラゴンキャノンの爆発音で苦情が来ちゃいました···。
皆さん、ごめんなさい!
みんなも周囲に迷惑かける飲み方はしちゃいけないよ!楽しく飲んでエレガントに帰るのが紳士淑女の嗜みだからね!
子どもにお酒を勧めるのはよろしくないですからね!体が出来上がってない成長期の子どもたちに悪影響を及ぼす可能性がありますからね!
このエーレタニアの世界では回復魔法があるのである程度は許容されてますが、それでもあんまりお勧めはされませんし、常識です。今回は『勉強のためにお試しで!』という事なので、これ以降本編では登場しません。お酒は楽しく飲むものですからね~!
さて次回予告ですが、翌日に寝坊助のリオくんを起こそうとしてサキちゃんは究極の寝起きドッキリをしかけます!リオくんはいったいどんな酷い目にあうのでしょうか!?
なお、明日は作者が仕事終わりに長距離深夜ドライブにでかけますので、投稿時間が21時ではありません。どこかのSAかPAで休憩中に投稿します。
お楽しみに~!




