14-20.爆釣王、現る!
今日は土曜日なので朝に1話投稿していますので、そちらを先に読んでからこちらをお楽しみ下さい。
「さあ!着いたわよ~。ここから船を借りて、ちょっとだけ沖に出て釣るのよ。手配してくるから、ちょっとだけ待っててね~!」
とっても大きな湖だったよ。さすがに元の世界の琵琶湖みたいに巨大じゃないけどね。ちなみにここのお隣はドルン高原なんだ。パスさんが捕まってた場所だね。ボクたちもあんまりいい思い出ないところだけど、どうやら季節によってはいろんな花が咲き乱れるきれいな場所らしいんだよね。残念ながら今はその季節じゃないんだって。
「お待たせ~!ちょうど10人乗りの船があったわ。こっちよ~!」
パスさんの案内でボクたちは借りた遊漁船が係留されているところへ行った。···なかなか大きな船だよ?どうやって操船するの?ボクはできないけど···。
「ささ!みんな乗ってね~」
「え~っと、パスさん?この船って誰が操船するの?」
「もちろん私よ?どうして?」
「···船も操作できるんだね。結構器用だなぁ~」
「···あのね?私はスパイ活動を長くやってきたし今もやってるけど、この程度はできないと仕事にならないわよ?潜入任務するなら広く浅くいろんなことができないといけないのよ?」
「ママはなんでもできるんだよ~!デキる女って言うんだったっけ?意味わかんないけど!」
「サキ!どこでそんな言葉覚えたの!?」
「いつも街中で一緒に遊ぶ男の子から!」
「はぁ~···。こういった事も少しずつ教えないといけないわね···。気を取り直して!じゃあ、行くわよ~!」
「「「「おーーっ!!」」」」
こうしてボクたちを乗せた船はゆっくりと湖の沖へ向かったんだ。10分ぐらいで釣りポイントに到着したんだ。
「さーて!みんな、エサと釣り竿持ったわね~!それじゃあ、スタート!!」
こうしてボクたちの釣りが始まったんだ。今回は何匹釣れるかな~?
「···おっ!?糸引いてる!かかったかもしれないぞ~!」
「フユ、もうちょっと待ってからゆっくりと引き上げるんだよ。いきなり引くと逃げちゃうからね」
「うん!···そろそろかな?···よし!ゆっくり引き上げるぞ~!···くっ!結構引っ張られるなぁ!」
「無理に上げたらダメだよ。少しは緩めて逃がすって手もあったりするからね!」
「···ナツも来た。···結構キツイ!」
「あっ!?わたしも来たかも!」
「あれ?ぼくも引いてるよ!」
子どもたちにはいきなり食いつかれたようだ。ボクの言う通りにして4人ともゆっくりと引き上げていって···
「よしっ!でっかいお魚つれたよ~~!」
「···んっ!···ちょっと小さいけど力強かった」
「あ~~!逃げられちゃったわ~!くやしいわね!」
「これでどう!?やった~!釣れたよ~!」
リナ以外は釣れたね!リナは惜しかったなぁ~。網用意しておけばよかったね。
さて、一方の大人たちはというと···。
「···さっぱりだなー。なんで子どもたちばかり食いつくんだー?」
「···ほいっと!···うん、そこそこかな?」
「来てる来てる!···よしっ!あたしもゲット~!」
「おっ!?これは大物だったわね~!久々にやると面白いわね~!ヒズのコレクションの釣り竿をこっそり持ってきて正解ね!」
···パスさん?その立派な釣り竿はヒズさんの私物だったんだね?了解取らずに持ち出すなんて···。
そして、相変わらずリオは1匹も釣れてなかったよ。どうしてだろうね?ちなみにボクはすでに4匹釣ったよ。···なんて名前の魚だろうね?食べれると思うけど。
そして2時間近くが経過した。船はそこそこ広かったので、ボクは肉焼きセットを出して釣った魚を串焼きにしていったんだよ。塩をかけるだけの簡単料理だけど、釣ってすぐの魚はとってもおいしかったね~!
やっぱり自分が釣った魚を食べるってのは楽しいよね!だいたいみんな10匹弱釣り上げていたよ。昼食で食べるには多すぎる気もするけど、ちょうどいい量だったんだよ。
それはね?リオが1匹も釣れなかったからなんだよ···。いや、釣れたのもあったんだよ?魚じゃなくて藻やゴミとかだったけど···。
「なんで···、なんでオレだけ釣れないのぉーー!?何がおかしかったんだー!?」
「ちなみにリオ?エサってどうしていたの?」
「ちょっとずつ撒いてたぞー」
「···針につけなかったの?」
「···え?針につけるのかー?面倒だったから撒いてたんだけどなー」
「···あ~、だからだ。リオの針にエサつけてないから釣れなかったし、リオがエサを撒いたからみんなヒットしたんだよ。だからみんなはいい釣果出したけど、そのきっかけをリオは作ったってことだね」
「そうだったのかー!?」
「じゃあ、ボクの釣った魚の串をあげるね。リオのおかげって事で」
「ありがとなー、アキ!どれどれ···。アッチーー!」
「ちょっと、リオ!?焼きたてすぐはヤケドしちゃうって!···あ~、湖に落としちゃったよ。仕方ないなぁ~。次はちゃんとフーフーして食べるんだよ?」
「···悪いなー、アキ。じゃあ、改めて···。おいしいぞー!レイスの市場で食べたよりもおいしいなんてビックリだぞー!」
「そりゃ釣りたてだもん。新鮮だしね~!」
その時だった!ドーーーーン!!って大きな音がして船が大きく揺れたんだ!
「きゃあ!な、なに?今のは!?」
「ママ!あそこに大きな魚がいるよ!」
ボクたちがサキちゃんの指さす方向を見ると、そこにはサメのような大きな背びれの魚がいたんだ!···もしかして、さっきリオが落っことした焼き魚で来ちゃった?
「···あれはこの湖の主かしら!?伝説のシャークロードかもね!」
「シャークロード?パスさん?それってサメの王様って事?湖なのに?」
「サメ?って何?シャークロードは淡水にも住んでる大型の人食い肉食魚よ!見かけなくなったって聞いてたけどいるじゃない!あれってお酒のつまみにいいのよ!釣るわよ!!」
「あんな大きな魚はこの竿じゃ釣れないよ?どうやって?」
「こんな事もあろうかと!よいしょっと!」
「な!?なに!?この釣り竿は!?···すごく、大きいけど!?」
「大物専用の釣り竿よ!リールは魔力で動かすから大丈夫!それよりもこれ重いからみんなで持って!そして早く針を投げ入れて!」
「う、うん!わかった!」
とんでもなくおおきな釣り竿をマジックバックから取り出したパスさん。···これもヒズさんのコレクションなのかな?
この釣り竿、大きすぎて4人がかりで持たないといけないんだよ。ボクが針を投げ入れたらパスさんは釣り竿を船体に縛り付け始めていたんだ。
どうも釣り上げるのは困難なようで、ヒットしたら一気に岸まで船で引っ張って引き上げる作戦のようだったよ。
パスさんは船を巧みに操ってシャークロードのヒレが見えてるところへゆっくりと移動したんだ。すると、向こうもこっちに気づいて近づいてきた!
···映画にもあったけど、あれよりデカいし実物だから恐怖感がものすごいわぁ~。
そして···!食いついた!その衝撃で船体が大きく揺れた!
「うわっ!?」
「落ちたら食べられちゃうわよ!さーて!食いついたらもうこっちのもんよ!逃がさん!お前だけは!!」
パスさんは気合入れて船を全速で岸へ向けて動かし始めたんだけど、なかなか前に進んでくれない!ものすごい力で抵抗してるし、左右に振ったりするので船内は揺れに揺れまくっていた!
···アカン。胃から逆流警報と満水警報が···。身体強化してるのに···。
そうして格闘すること15分。シャークロードが疲れ切ったのか、おとなしくなったところをパスさんは見抜いて一気に岸へと船を走らせた!
「な、な、なぁ~~!?なんじゃこりゃぁ~~!!」
船着き場にいたおっちゃんがびっくりしていたよ。その大声を聞いて近くの釣り人まで集まってしまい、ちょっとした騒ぎになっちゃったね。
「わたしが釣ったようなものね!今回の釣りは私の勝ちかしら~!!」
パスさんは大喜びで自慢してたよ。みんなこの人が皇帝だって気づいてないんだよね···。これもすごいよなぁ~。
作者は釣りはしたことありません(笑)!
やったことあるのはRPG内のミニゲームぐらいなんですね。
ストレスマッハなヒズさんは釣りをこよなく愛している人なんですよ。誰もいないところで『パスさんたちの事を考えずに』ホッとしながらひと時を楽しんでいるんです。だから釣り竿をたくさん持っているんですね。
しかし、そんな秘蔵コレクションをパスさんは無断で持っていってしまいました。戻ったらヒズさんはさらにストレスが···。
さて次回予告ですが、皇国の市場へと出かけてショッピングを楽しみます。
皇国に滞在中、毎回毎回サキちゃんの過激な起こし方に辟易しているリオくんに、アキくんは目覚まし時計があったら購入しようと言って、技術の見本市みたいなところに行きますが、果たしてリオくんを起こすことができる目覚まし時計はあるのでしょうか?
明日はこの21話で第14章は完結します。朝に投稿して昼頃にネタバレ集、夕方に設定資料集、夜には第15章第1話を投稿しますので、なんと4回投稿ですよ~!お楽しみに!




