14-19.ピムエム皇国の常識はボクの非常識?
本日は土曜なので朝と夜に1話ずつ投稿しますね。
「···そう、そんな事になってたのかぁ〜。大変だったね」
「アキくん、ごめんなさいね。この子ったらとんでもない騒ぎを起こしたわね!サキ!わかってるの!?」
「わかってるよ!楽しかったよね~!」
「ちっがーう!いい?お城で遊ぶ時は場所を選びなさい!誰もいない訓練場とかだったらいいわよ?」
「誰もいなかったらつまんなーい!だったらお城の外で遊ぶもん!」
「う〜ん···。私ってこんなにアクティブだったかしら?」
「サキ様ほどではありませんが、パス様も同じように暴れておりましたが?」
「ヒズ!黙ってなさい!サキの教育に悪いわ!」
「やっぱりパスさんもそうだったんだね···」
「はっはっは!当時のパスも元気が有り余ってたが、サキはそれを上回ってるような気がするなぁ~!次代の皇国はもっと栄えそうだな」
「その前に私が倒れてしまいそうです···」
「ヒズさん···。今回のホームステイでボクたちがなんとかしてみますね!」
「アキ様。出来もしない約束は避けるべきかと思われますが、その心意気だけでも私は嬉しく思いますよ···」
「ムリだったらごめんなさい」
「アキくん?大変だったらすぐに転移して返品してくれたらいいからね!」
「そんなクーリングオフじゃあるまいし···。できるだけやってみますよ」
どうもヒズさんが許可証を渡すのを忘れて、子どもたちは警備兵に侵入者扱いされちゃったみたいだね。確かに昔の見学の時に貸出してもらったけど、今回はボクも忘れてたなぁ~。
しかし、聞いてるとサキちゃんは気配を消すこともできそうだね。しかもかなり素早いから隠密向きかな?パスさんもスパイ活動していたし、調査冒険者もしていたから、これはハルに鍛えてもらうと化けそうだね。
さて、軽く昼食をいただいてからは雑談タイムだ。子どもたちは疲れきってたのでお昼寝中だよ。
まぁ、あれだけ派手にお城の中で大暴れしたんだからね。···多分精神的な疲れだと思うけど。
「パスさん?サキちゃんって、こんなにパワフルだったんだね」
「そうね〜。知らないうちに身体強化しちゃったりしてたからなぁ〜。まさかこんなに才能あふれる子だとは思わなかったわね」
「まぁ、パスもオレも二人とも冒険者やってたから、体力はあるな。サキ自身が今後どうしたいかはわからないけどね」
「本人の好きにさせてあげてるけど、今後は次期皇帝として国をどのような方向へ導くか?も、ちょっとずつ考え始めないとね〜」
「···なんだか、パスさんがまともな事を言ってるなぁ〜。違和感ありまくりだけど」
「むっ!?失礼ね!私だって皇帝として国のことをちゃ〜んと考えてるのだからね!まぁ、サキが皇帝になるまでにはまだまだ時間はあるけど、いつまでも遊びまくってるのは問題だからね〜」
「う〜ん···。普段の行動とのギャップがすごい···。そういえば、影武者さんは皇帝として見学コースにいるの?」
「もっちろん!っていうか、皇帝の事務はすべて彼女に押し付けてるのよね〜!」
「···押し付け、ですか。クーデター起こされません?」
「大丈夫よ!『皇帝じゃないのに皇帝になりきるのが楽しい!』って喜んでやってるのよ。見学コースで愛想振りまいてキャーキャー言われるのがたまらないらしいわよ~」
「···よくそんな人物を確保できましたね。奇跡だよ」
「あっ!ちなみにサキの候補はもうすぐしたらオーディションやるわよ?」
「···そんなのを公開してて大丈夫なんです?国家安全上マズくないんです?」
「ツーデン劇団のオーディションって言ってるから大丈夫よ!その中でサキに似てたら引っこ抜くのよ」
「···あ〜、ボクの常識が崩壊していくわ~」
「アキくんの常識がどんなのかは知らないけど、うちはこれが常識ね~!っていうか、もう9年近い付き合いなんだから、そろそろ慣れてほしいわね~」
慣れたら慣れたで問題だと思うけど···。こういう国もあるんだなぁ~って感心するよ。
そして夕食は会議室で立食形式のビュッフェだった。子どもたちはそれはもうたっくさん食べてたね。疲れきってたってのもあるけど。
そして、夕食も終わって、ボクたちはホテルに戻ったんだ。さすがに今日はパスさんたちは皇城で寝ることになったよ。
どうも、昨日はヒズさんのスキを狙って仕事をほっぽり出して脱出したらしいんだよ···。
さっきまでヒズさんが会議室にいて目を光らせてたから、大人しくしてたみたいなんだよね。
明日からは皇国の観光とお買い物だ。9年前は魔獣襲撃でそれどころじゃなかったからね。
子どもたちも今日は疲れ切ってもう寝ちゃったね。ボクたちもそろそろ寝るとしますか!おやすみなさーい!
グロー歴514年9月8日 曇
さあ!今日は午前中は観光して、午後からは買い物だ!そう思っているとドアがノックされた。···あれ?今日の朝食は下のレストランだったはずなんだけど?
そう思いながらドアを開けると···!
「おっはよう~!さあ!今日も思う存分楽しむわよ~!」
「おっはよー!アキさん!今日もサキと一緒に楽しもうねー!」
「···えっ!?パスさん!?それにサキちゃんも!?どうしたの!?こんな朝早くに!?」
「もちろんヒズの目を盗んで脱出してきたのよ?昨日は疲れ切ってたみたいだったから油断していたわね!」
「···ヒズさん、大丈夫かなぁ~?」
「大丈夫大丈夫!この程度で倒れるんだったらとっくに倒れてるから!それに今日はケイに執務をお願いしてきてるから問題なし!」
「サキのパパはいろんなことできるの!パパも行ってらっしゃいって言ってたし!」
「···ケイさんも苦労してるんだろうなぁ~」
「そういうわけだから、朝食も部屋で食べるわよ!ここに来る前にレストランには話しておいたからね!」
「今日もリオおじさんはねぼすけさんかな?サキが起こしに行ってくるね~!」
···ホント、よくこんな皇帝で国がもってるよなぁ~。周りが信用できる凄腕ばかりなんだからだろうけどね。
そしてサキちゃんはサッとリオの寝室へ向かってしまい、寝室からは『イダダダダダーーー!!関節がーー!』っていうリオの絶叫が聞こえてきたよ。どうも今日は関節をきめられたようだ。サキちゃんもいろんな技を知ってるようだね。
そうして朝食が部屋に運ばれ、今日も全員で朝食を食べることができたんだ。ホントはこれが一番なんだけどね?さすがに毎日リオが激痛で無理やり起こしてもらうのはまずいよね···。
「さて!今日は観光といってもレジャーよ!まずは釣りをしに行きましょうか!前回は博物館と時計台しか見てないし、せっかくだから遊んで羽を伸ばしましょー!」
「釣りかぁ~。最近やってなかったなぁ~。前にやったのはボレンの港町でハルたちがやってくる間の時間つぶしだったね」
「そう言えばそうだなー。あれからもう9年も経ってるんだなー」
「···確かに私とナナがアキたちに初めて会った時は釣り竿持ってたね」
「そうだったわね!あの時ってリオは全然釣れなかったと、あたしは覚えてるんだけど?」
「なんでそんな事覚えてるんだー!?あれはオレの腕が悪いんじゃなくって、魚が悪いんだぞー!」
「はいはい、そういう事にしとくわよ。それがホントかウソかはこれからわかるんだし~」
「おれたちも釣りって初めてだよ!楽しみだね~!」
「···ナツも初めてだからやり方知らないね」
「いっぱい釣って今日の晩御飯のおかずにするわよ~!」
「何匹釣れるかなぁ~?ぼく、楽しみだよ~!」
「サキが一番多く釣るよ~!得意なんだ~!」
こうしてボクたちは皇都トベルクからちょっと離れたところにある大きな湖にやってきたんだ。
ここでとんでもないものを釣り上げちゃう人が出るんだよ···。
影武者さんはオーディションで決められていました!さらにサキちゃんはツーデン劇団の新規メンバー募集という『一部偽情報』込みで大々的にオーディションが行われることになるようです。完全にスカウトみたいな形ですね~!ホント、よくこんな体制で国がもってるなぁ~。
さて次回予告ですが、レジャーとして釣り大会が開かれることになりました。とんでもないものを吊り上げちゃう人は誰でしょうね~?リオくんでない事は確かですけど(笑)!
次回は本日夜に投稿しますので、お楽しみに~!




