14-12.このままながめてるのもいいか!
今日は日曜なので朝と夜に1話ずつ投稿しますよ~!
妖精にハメられたボクたちは、全員が怒りと呆れに満ち溢れた状態で洞くつへと向かった。
転移で帰ろうとしても、地図アプリのマップが別の世界のマップにいつの間にか変わっていて、知らない間に別空間に飛ばされてたようで不可能だった。
こんな嫌な人助けは初めてだよ!子どもたちにも悪影響だなぁ〜。こんな汚い連中みたいになってほしくないんだけど···。
「さあ、ここじゃ!とっとと魔獣を倒してもらおうか!帰りたいじゃろ!?」
「···リオ。ちょっといい作戦を思いついたんだけど」
「···おう。中入ってから聞くぞー」
「その方がいいねぇ~。クックック!」
「パ、パパ?顔が怖いんだけど···」
「···これが『暗黒面』ってやつ?」
「パパもアキパパもなんだか怖いわね···。これは大惨事の予感がするわ···」
「でも、それもいいんじゃない?因果応報ってやつかな?」
子どもたちもドン引きしてるけど、これぐらいはいいでしょ。
さて、洞くつに着いたんだけど、本当に住んでるのかなぁ~?魔獣レーダーに反応ないんだけど?
「おい?本当にここに『魔獣』がいるのかよ?探査魔法かけても反応ないけど?」
···もうヤサグレちゃって言葉遣いも荒々しくなっちゃってるね。自覚あるんだけど、抑えきれなくなってるよ。
「(ギクッ!?)あ、ああ!もちろんいるぞ!!お前さんの探査魔法が悪いんでないかな!?」
「神から授かった魔法だけど?神の魔法にも反応しない魔獣って事かよ?」
「そ、そうじゃ!ほら!つべこべ言わんとさっさと入らんか!」
···怪しい!まさかドッキリカメラか?まぁ、いいか。それならそれでプロデューサーをとっちめてやる!
ボクたちが洞くつに入ると···!予想通り入口が塞がれた!子どもたちが驚いてしまったよ。
「えっ!?」
「やっぱりそうきたか。よし、とりあえず奥に進んで魔獣とやらとご対面だね。うまいこといきそうなら町に連れて行ってそこで大暴れしようね。···手加減なしで」
「そうだなー。魔獣退治で仕方なく町中で戦う事になるんだしなー。被害が出ても不可抗力だなー」
「···パパって怒らせると怖いんだなぁ~」
「···普段怒らないぶん、爆発力が高い」
「こんなアキパパは初めて見たわ···」
「ぼくもアキパパが怒ったの初めて見たよ···」
子どもたちがさらにドン引きしてる中、ボクたちは洞くつの奥へと進んで行った。
道中には魔獣がいなかった。住んでる気配もなかったんだよ。···ただ単に閉じ込められただけ?まぁ、一番奥まで行けばわかるか。
そして一番奥にたどり着くと、そこには小さな家があった。···ん?誰か住んでるの?この時点で魔獣じゃないのは確定だな。
さて、町長が『魔獣』と言ってた人物は誰かな?
ボクはドアを小指の指先でノックしてみた。
「すいませーん!町長からここに魔獣がいるって聞いて来たんですけど、誰かいますか〜!?」
しばらくすると、ドタドタと足音がしたんだ。さてさて、魔獣様とご対面だ。ドアが開くと···
「誰が魔獣だってぇ!?あたしの事を言ってるんじゃないだろうね!?あぁ!?」
出てきたのはふくよかな体型のおばさんの妖精だった。···もしかして、町長の奥さん?
「い、いえ!町長からここに魔獣が住んでるから退治してこい!って強制的に来たんですけど···?」
「なんだってー!?あの野郎!今度はそんな事言い出したのかぁ!!」
「あの〜、事情がわからないんですけど、どういうことなんです?」
「あたしに対する嫌がらせだよ!こうやって洞くつに籠って龍脈の調査をコツコツしてるってのに、あいつらはいたずらとかおふざけとかしかけて遊んでるのさ!世界の危機だってのにね!!」
「そ、そうなんですか···。え?世界の危機?どういうことです?」
「言葉の通りだよ?このままだったら大魔王とかいうヤツにこの世界が滅ぼされるのが確定だから、こうして調査して対策してるのさ!」
「ちょ、ちょっと待って下さい!なんでそんな事がわかるんですか!?」
「ここ最近、星の魔力である龍脈に異変が起きてるのさ。人為的とは思えないほど魔力が減っていてね。龍脈の魔力がここまで減るなんて、この世界ができてから初めてだろうね。ここは龍脈を調べるのにちょうどいいポイントだったから、ずっと観測しつつ対策を考えていたのさ」
「なくなるとどうなるのですか?」
「星自体の『死』が訪れるだろうね。大地は冷え切って栄養もなくなり、草木が育たなくなる。海も魚が住めなくなる。風も止まり、地上の生き物は呼吸ができなくなるだろうね。この世界そのものが滅亡してしまうのさ」
「そんな···。まさか、ムーオがここ最近姿を見せないのはその下準備?何も仕掛けてこない···、こういう時はすでに手を打っているということかな?」
「おそらくね。どういう目的かまではわからないけど、大きく減り始めたのはだいたい8年前あたりだね」
「···皇国の魔石を奪った後だね。···多少目的がわかりつつあるね。これはみんなに情報共有する必要がありそうだね」
「あんたたちもそれなりに大魔王に関わってそうだね?整調者でないにしても、面倒な事に足を突っ込んじまったね」
「突っ込みたくなかったんですけどね。貴重な情報をありがとうございました。···え~っと、この後どうします?ボクたち、帰りたいんですけど橋が一方通行らしくて出れないんですよ···」
「あの野郎!旅人に脅迫までしたのかい?もはやいたずらどころじゃないね!今日こそはお仕置きしてやる!
そうそう、出るための『霧の雫』はあたしが持ってるから渡しておくよ。橋の手前でかざせば霧が晴れて通れるようになるからね。
本当に悪い事してしまったね。あのバカ町長に代わって謝罪するよ」
「いえ、じゃあここからいったん出ます?入口は閉じられましたけど、強引に開けますから」
「そうかい?じゃあお願いしようかね?多少荒っぽくても構わないよ。ちょっと痛い目に合わせないとあたしも気が済まないからね!」
「わかりました。リオ、今日はもう本気でやっちゃおうか?」
「おう!オレも久々に頭に来てるからなー!盛大にやったるぞー!」
洞くつの入口に戻ると、塞がっていた岩をリオはドラゴンキャノンで思いっきり吹っ飛ばした!もちろん防御結界をリナが展開してるのでボクたちに破片は飛んできていないよ。
「···あんたたち、かなり強いね。大魔王と関わってるなら当然かしら?」
「いえ、大魔王と直接やったのは1回だけで相打ちでしたけどね。しかもダミーだったし」
「あんたたちで倒せるんじゃないのかい?」
「ムリダナ~。もう関わりたくないのに···」
そうしてこのおばさん妖精と町に戻ると···!
「な、な、なんで戻ってこれたのじゃーー!?念入りに閉じ込めてアタフタしてるところを楽しむつもりじゃったのにーー!?」
「やっぱりそうか。いたずら目的だったんだな。まぁ、こらしめるのはボクたちがしなくてもよさそうだね」
「あんたぁーーー!?あたしを魔獣呼ばわりしてこの人たちを騙したんだってね!?今回は度が過ぎたよ!悪い事したならお仕置きだって覚悟はできてるんだろうね!?」
「ヒィーー!?な、なんでお前まで出てきたのだ!?こんなはずではなかったのに!?」
この後はお察しの通り、大ゲンカになって町長はボコボコにされたよ。もう昔のアニメのようにドラムロールが流れつつ、煙吹きながらの様子は懐かしさを感じたものだよ。
このままながめてるのもいいか!
某ゲームだと実際に殴れなかったけど、ボコボコにされた町長を見てボクたちはスッキリしたんだ。
暗黒面に堕ちたアキくんとリオくんはいかがだったでしょうか?どっちかというと子どもたちの方が大人のような気が···?
そして新たな新事実が発覚しました!ムーオたちは裏でちゃんと活動をしていたんですね。この先で結構重要なお話になります。
悪事を働いた町長ですが、こんなドラムロールを聞きながら煙吹くケンカって最近のアニメでは見なくなっちゃいましたね。書いてて某青いネコ型ロボットのガキ大将を思い出しましたよ。
さて次回予告ですが、やっとこさ森を抜けてピムエム皇国に到着します。もちろん、自由奔放なあの方も久々に登場しますよ~!
次回は本日夜に投稿します。お楽しみに~!




