13-27.リナ、コルくんにいい格好を見せたがる!
「どうだった?祭りは楽しかったかい?」
「うん!おれたち、赤竜の男の子と友達になったよ」
「へぇ〜!珍しいね。確か、この北の火山地帯に集落があるってリオとナナから聞いてたけどね」
「···お父さんが商隊の護衛で世界中回ってるって」
「なるほどね。明日も一緒に回るのかい?」
「うん!明日も一緒に回って、明後日はリオパパと一緒に街の外で魔法合戦やるんだ!」
「···え?その子って魔法が得意なの?」
「···リナと同じ。リナの魔法見て感動してた」
「そうか〜。リナの実力は世界トップクラスだからなぁ〜。喜んでたんじゃない?」
「···恋する目だった。リナに彼氏ができた」
「か、彼氏ぃ〜!?って、リナがそう言ったの!?」
「···ううん。コルの目がそうだっただけ」
「···あぁ~、そう言うことかぁ~」
「···お兄ちゃんも彼女できたのにナツには彼氏ができない」
「ちょっとぉ〜〜!ユキはそんなんじゃないって言ってるよね〜!?」
「まぁまぁ。慌てなくても、ナツにもいい彼氏ができるって。焦っちゃダメだよ」
「···うん」
子どもたちは素敵な出会いがあったみたいだね!今回子どもたちだけで祭りに行かせたのは正解だったね!
「リオは祭り楽しめた?」
「どうなんだろうなー。マジックショー見て、おいしいメシを食って、ゲームでハズレばっかり引いてたんだけどなー」
「まぁ、初めてのデートとしては良かったわよ。リオの運のなさを見れたのが面白かったわね~!」
「3回引いて全部ハズレなんておかしいだろー!?」
「そうだったんだ。聞いてるだけでも楽しそうで良かったよ。そう言えばフユから聞いたけど、明後日は街の外で魔法合戦やるんだって?」
「おう。リナと仲良くなったコルって赤竜の子も魔法メインらしいんでなー。ついでにオレも指導してやろうと思ってるぞー」
「じゃあ、ボクも付き合うよ。ついでにここの厨房借りてお弁当も作っておこうか?」
「いいなー!!よろしく頼むぞー!」
グロー歴514年8月24日 晴れ
今日は建国祭最終日だけど、昨日もボクたちは祭りを大いに楽しんだんだよ。
さすがに3日連続は疲れるし、明日にコルくんは商隊の護衛してるお父さんと一緒にリスタを離れるそうだから、今日は魔法合戦を街の外でやることになったんだ。
コルくんは今日はお父さんと一緒だ。ボクたちがホテルに迎えに行ってから、街の外に出たんだ。
ちなみに事前に女王様には許可を得てるので、大丈夫でしょ。
「皆さん、今日はコルのために魔法を教えていただけるとか。本当にありがとうございます」
「おう!ドラゴン族で魔法を使えるなんてめずらしいからなー!せっかくだし、もっと強くしてあげるぞー!」
「はい!よろしくお願いします!リナもよろしくね!」
「そうね〜!今日はみっちりやるわよ~!」
「うん!」
お〜、本当に恋してるよね~!リナとほぼ背丈が一緒だから、近い年齢なんだろうね。見てて微笑ましいなぁ~!
コルくんは体形的にはリナと同じで、ケンみたいな細マッチョではないね。お父さんのコランさんはムッキムキのパワーファイターだわ!お母さん似なのかな?今は一緒にいないみたいだけど···。
さて、ちょっとした荒れ地があるってリオが言ってたので、そこへ向かったんだ。
···いろんなところに大きな池があるよ。分厚くて長い外壁みたいな土壁まであるよ。よくこんな場所知ってたなぁ~。
「ここは整調者時代にムーオが率いた魔獣集団とやり合った場所だぞー。10年以上前だけど、あんまり変わってないなー」
「へぇ〜。ここでみんな戦ってたんだね。懐かしい?」
「そんな気持ちにはならないぞー。大変だったからなぁー」
そんな場所で今日のリオの授業が始まった。
まずはコルくんの魔力循環の程度を見て、魔力量と最大出力を調べ、実際に魔法を使ってもらってリオが助言するって流れだ。
ボクもこの方法で鍛えられたからなぁ~。リオは魔法の教え方が非常に上手だ。コルくんはどうも我流でここまで魔法が使えるようになったらしいんだよね。すごい努力だよ!
「おー!かなりいいセンスだぞー!魔力量も非常に多いし、出力も高いなー!今まで我流だったからムダが多かったんだぞー。オレが教えた通りにやれば倍以上の威力を半分程度の魔力量で使えるぞー!」
「はあっ、はあっ。ほ、本当ですか!?あ、ありがとうございます!」
「パパ?それって、いつもの4倍ぐらい長く戦えるって事?」
「今の威力のままだったらなー。リナもいろいろ教えたんだろー?あの魔法も消費魔力量が少ないから、使いこなせたら大幅に戦力アップだぞー」
「だそうよ?これからも頑張ってね!」
「···は、はい!」
「それじゃあ、そろそろ魔法合戦やるぞー!コルは横で見てろよー」
「は、はい」
「さ〜て!今日はわたし調子いいのよね~!フユとナツには負けないわよ〜!」
「姉ちゃん、気合い入ってるなぁ~」
「ナツ、今日はちょっと厳しそうだなぁ~」
「···『恋する乙女は世界を制する』ってやつ?」
「···?ナニソレ?」
「···この前読んだ本にあった」
「そうなんだ···」
「ちゃんと非殺傷モードでやるんだぞー!それじゃあ、始めー!」
久しぶりに魔法合戦見たなぁ~。だんだん強くなってきてるから派手になってるんだよね。
最初は初級・中級クラスで応戦。魔力量と出力ではフユとナツはリナとケンに負けちゃうけど、意識の共有でカバーしているね。
リナとケンも、なかなかのコンビネーションだよ。ただ、リナが思いっきり張り切ってるから、魔力操作がいつもより安定しているね。
コルくんにいいとこ見せたいんだなぁ~!リナ自身はそれに気づいてないようだけどね。
さあ、終盤にさしかかり、お互いあと1撃ってとこかな?すると、とんでもない事を言い出したよ!?
「最後はお互い合体魔法で決めましょ!フユ、ナツ!いいかしら!?」
「「いいですとも!」」
ちょ、ちょっと!?変身してないから黒魔力が出ちゃうって!そう思っていたら···
「(アキ?余がなんとかするので、このままやらせてやりなって)」
「(ジーン!?本編では久しぶりにしゃべったけど、大丈夫なの?)」
「(後片付けは余がするから。好きにさせてあげなって!)」
「(わかったよ。お願いね)リオ、大丈夫だって」
「おう!あとは周辺に影響出さないようにしないとなー。ナナー!結界を最強でダブルで張るぞー」
「はいな~!子どもたちのために一肌脱ぐわよ~!」
さあ、場は整った。思いっきりやっちゃえ~!
リナとケンはドラゴンキャノンの発射準備に入り、両手を頭上で組んで魔力を超圧縮させた!
一方のフユとナツは某ハワイの昔の大王様の名前の技を繰り出す有名なポーズで魔力を超圧縮しだした!
「ケン!行くわよ〜!」
「うん、姉ちゃん!せーの!」
「「Wドラゴンキャノン!!」」
「ナツ!!」
「お兄ちゃん!!」
「「Wエクスプロージョン!!」」
ドズーーーーン!!!
リオが張ってくれた結界のおかげで爆風は防げたよ。
あまりの威力にコルくんとコランさんは呆然としていたんだ。まぁ、初めて見たらビックリするよね~。ボクたちは慣れちゃってるけど。
「な、なんて威力なんだ···。子どもがこんな威力の魔法を使えるなんて···」
「す、すごい···。魔法を合体させるなんて!そんな事ができるんだね!」
コルくんは大喜びだった!リナの格好いい姿を目に焼き付けたようだね!
これで今日の予定は終了した。コルくん一家をホテルに送って、お別れだ。
「グスッ、グスッ···。リナぁ〜。もう会えないの?」
「そんな事ないわよ?泣くんじゃないの!わたしたちも旅の途中だけど、普段はアクロに住んでるのよ。近くに来たら遊びに来たらいいわ!」
「う、うん!それまでに魔法の勉強しておくよ。次に会ったら、リナを追い越してみせるよ!」
「言ったわね~!いつでもかかってきなさい!相手になるわよ~!」
「うん!リナ!本当にありがとう!!」
「わたしも楽しかったわ!またね〜!」
こうしてコルくんと別れてボクたちはお城に戻ったんだ。
さあ、明日からはさらに北へ向かうよ~!この先では何があるだろうね~!
第13章 完
『···建国祭かぁ~。ははは···、ハルとデートもできたし、子どもたちの成長を見ることもできたし···。楽しい時間だったなぁ~···。
···そして、フユにはユキちゃんが、リナにはコルくんと初めて出会ったのがこの時だったなぁ~。ふふっ!ナツが嫉妬したのは微笑ましかったけど、この後ナツに彼氏ができたら今度はフユが嫉妬するなんて、仲のいい双子だなぁ~って思うんだよね···』
訓練の会場はリオくんが現役時代にカーネさんたちと一緒に魔獣のスタンピード発生で大暴れした激戦地でした。いまだに傷痕が生々しく残っていて、とても農業などで使うことができない荒地になってしまっています。訓練するにはもってこいですね!
リナちゃんはものすごく気合が入ってましたね!無意識にやってるんですが、やっぱりいい格好を見せたいんでしょうね~。
今回、コルくんはリオくんとリナちゃんから適切な指導を受けたことで、今後は急成長します。もちろん、この先にも登場しますので、どれだけ成長したかご期待していただければと思います。
さて、これで第13章の本編は完結なんですが、第13章の番外編を2話ご用意しております!
まず明日投稿分はユキちゃんの思いをご本人に語っていただきますよ~。フユ君に対してどう思っているのか?をお届けいたしますので、お楽しみに~!




