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【完結済・第6章まで加筆修正完了】アキの異世界旅行記 ~旅先でなぜか変なフラグ立ってトラブルに巻き込まれて···ホント困ってます~  作者: ぷちきゅう
第13章 にぎやかな家族旅行 そして建国祭での格闘技大会

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13-19.格闘技大会 準々決勝 その2

「いやぁ~、あそこまで白熱した試合になるとは思ってなかったよ。ナツもケンもすごかったね~」

 

「まー、身体強化以外の魔法なしで、技のぶつかり合いだったからなー。どっちが勝っても負けてもおかしくなかったぞー」

 

「···今回は最後にケンが大きく体勢を崩したのが敗因だったけど、あれをうまく躱せてたらナツの負けだった。

 ···本当に互角で、運だけで勝ったようなものだね」

 

「そうね〜。でも、いい試合だったわ。ケンもやり切った!って顔してるからね。あとであたしから褒めてあげようっと!」

 

「さあ、次はフユだね!ユキちゃんは槍使いみたいだし、フユにとってもいい経験になりそうだね~」

 

 

 

「それでは準々決勝第4試合、始め!!」

 

「よろしくお願いします!」

 

「こちらこそ!よろしくお願いするわ!」

 

 

 お互いに礼をした後、おれとユキは構えた。

 

 おれは一般的な中段の構えで、ユキは腰だめで槍を真ん中よりも少しリーチを伸ばした状態で構えた。

 

 どの距離でも即座に対応しようとしてるかな?これは迂闊に飛び込むと痛い目にあいそうだなぁ~。

 

 

「あら?どうしたの?かかってこないのかしら?」

 

「無茶言わないでよ?カウンター仕掛ける気マンマンなのはわかってるんだから。そんな誘いにはのらないよ?」

 

「···あら、バレてたか。でも、女の子の誘いを断るのは紳士じゃないぞ~」

 

「あのさ~、やられるのが紳士じゃないでしょ?そんな事まともに聞いてたら、おれは勝てないよ?そんなわけにはいかないから」

 

「ふふっ!確かにそうね。···このままだと試合が進まないから、私からいかせてもらうわよ!」

 

「おうっ!受けて立つよ~!」

 

 

 そう宣言したユキは一直線に突っ込んできた!

 

 初手は鋭い突きだ!おれはこれを避けつつ、剣で避けた反対方向へ槍を撃ってスキを作ろうとした。

 

 しかし!ユキは槍を端っこではなく真ん中に持っていた!だからユキの槍が大きく弾かれたけども、弾いた反動を利用して、クルッと1回転しつつ、槍の反対側で避けたおれを攻撃してきた!?

 

 マジかよ!?攻撃ができずにギリギリ剣で受け止めるので精一杯だった!

 

 あっぶね~···。棒術と似たような取り回しをするんだなぁ~。まるで2回攻撃を受けたような気がするよ。


 持ち手の位置で間合いが変幻自在だから、真ん中だとリーチが短いけど、繰り出す速さが最速になるんだ。だからこその技だね。

 

 

「さすがね!まさか初見で対応されるとは思わなかったわ。リム流槍術の奥義に近い技だったんだけどね」

 

「やっぱり何かの武術の技だったんだね。とってもきれいな技ばかりだったから、そうなのかな?って思ってたんだけど。まさか奥義に近い技だったんだね?」

 

「そういうフユくんも、見たことのない技を使うわよね?流派はわからないけど、ぜひとも勉強してみたいわね?」

 

「あ〜···、この剣術はうちの家族とケンだけしか使わないからね。そもそも『この世界の剣術じゃない』しなぁ~」

 

「···『この世界の剣術じゃない』?どういう事?」

 

「···あっ!?ち、違う!!い、今のは忘れて!!」

 

「···まぁ、いいわ。せっかくだし、今度はフユくんの技を見せてもらおうかしら?」

 

「そ、そうだね!すでに見てる技もあるだろうけど、全部見せちゃおうかな?」

 

「いいわね~!全部見ないうちにやられるわけにはいかないわ!」

 

 

 そう言っておれとユキは構え直した。

 

 リクエストも頂いちゃったし、見せてあげようか!まずはこれかな?

 

 

「秘技、螺旋斬(らせんざん)

 

 

 おれはユキに突進してから剣を斜め下から振り上げ、その勢いで1回転!振り戻す勢いで剣を振った!

 

 初撃は槍で防がれたけど、1回転してからの2撃目は槍を大きく弾いた!

 

 弾かれた反動でユキは間合いを取り直した。じゃあ、次はこれだ!

 

 

「秘技、疾風迅雷」

 

 

 またユキに向かって猛突進だ!最速技だから、反応しづらいはずだ!

 

 しかし、ユキは槍を縦にしてこらえた!でも、この技は一撃加えたあとにもう1回背後からの攻撃する裏技がある!

 

 けれど、ユキは縦にした槍を棒高跳びの要領で上に飛び上がり、おれの裏技はユキが飛び上がった後の槍を払っただけだった!

 

 

 これも躱された!?じゃあ、次はこれだ!

 

 

「秘技、大噴火切り!」

 

 

 着地したすぐのユキに向かって、大上段から思いっきり剣を振り下ろした!

 

 けれども、ユキは立ち上がる直前で槍をわずかに斜めにした!

 

 剣が槍の側面を滑り、おれの剣は石畳を粉砕した!ユキはおれの剣の衝撃で吹き飛ばされつつも、体勢を整えようと必死になっていた。

 

 空いた間合いを詰めるべく、おれはさらに追いかける!

 

 

「秘技、紅葉」

 

 

 一気に間合いを詰めて横一文字に一閃した!これも槍を縦にして防がれてしまったんだ。

 

 

「はあっ!はあっ!な、なんて威力なの!?速いし、一撃が重すぎる!逃げるので精一杯だわ!」

 

「はあっ、はあっ。す、すごいね!この連撃をすべて当てさせないなんてね。おれは本気でやってるのに···」

 

「ふふっ!なんていうのかなぁ~?フユくんの剣は素直過ぎるの。フェイントとかなくって、まっすぐ来るから読みやすいって事かな?」

 

「そ、そうなんだ···。やっぱり経験が足りないって事なんだろうなぁ~」

 

「でも、ここまで鋭い技を出すなんて、普通できないわよ?それだけでもすごい事だと思うわ。私もリム流の跡継ぎだけど、そこまでには至ってないしね。···これで魔法が使えたら確実に負けてるわ」

 

「ははっ!そうかもね。でも、楽しいよ!もっともっと、いろんな技を見せてあげたいね!」

 

「確かに楽しいわね!フユくんに出会えて良かったわ。まさか試合が楽しいなんて、思いもしなかったもの!でも、お互いかなり疲れちゃってない?次の立ち合いで決まっちゃうかもね?」

 

「···ユキもそうなんだね?おれもそうだよ。じゃあ、おれも次の一撃で決めさせてもらうね。···先に言っておくよ。ありがとう」

 

「···!?そ、そうね。こちらこそ、こんな楽しい試合をありがとう!」

 

 

 本当にユキとの試合は楽しかったよ。いつもはナツとケンに相手してもらって、技の撃ち合いとかもしたんだけどね?他の人に試した事なかったから、どう反撃があるのか、どう避けられるのかがわからなかったんだよ。

 

 でも、ユキとの試合で半分の技を使って全部当たらなかった。じゃあ、次はどうしたら当たるのかが考えられる!

 

 これがパパの言っていた『経験』なんだろうなぁ~。今日もひとついい勉強になったよ。

 

 さあ、最後の技だ!これで決めるぞ〜!!

 

 

「秘技、斬月」

 

 

 おれは居合抜きの形で剣を納め、攻撃態勢に入った。パパの剣技って『にほんとう(・・・・・)』っていう剣じゃないと本当はできないらしいってパパは言ってたけど、頑張ってそれっぽくしてみたんだよ。

 

 この技はカウンター攻撃に特化しているんだ。それをユキは構えた瞬間に気づいた!

 

 すごいね!この時点である程度気づくなんて、なかなかできないと思うんだけどね。カウンターだとわかってるからユキは攻めにくい。攻めたら負けだからだ。

 

 でもね?パパの剣技がすごいのは、この技はカウンターに特化してるんだけど、『カウンターしかできない』じゃないんだ!こういう使い方もできるんだ!

 

 おれはいつでも剣を抜ける体勢のまま、ユキに突っ込んでいった!ユキはびっくりしていたよ。そりゃそうだよね?カウンターだから仕掛けてこないって思っちゃってるのにおれが突っ込んできたんだから!

 

 ユキは反射的に『攻撃してしまった』んだ!それでも鋭い突きだった!おれの顔をかすめて頬から血が出ちゃったよ。

 

 ほら、攻撃してきた!相手が攻撃してくるのを待つんじゃなくて、こちらから『攻撃してくるように仕向けた』んだよ!さあ!おれの斬月がこれで決まる!!

 

 

「はあぁーーー!!」

 

「ぐうっ!?や、やるわね···。こ、これは一本取られたわ···。私の···、負け、ね···」

 

「そこまで!!」

 

 

 おれの斬月が完全に胴に入った。ユキはおれにもたれかかる形で気を失っちゃったよ。

 

 あ~、この形になっちゃうとおれが運んだほうがよさそうだなぁ~。仕方ないね。ついでに控室で回復魔法をかけてあげるとするか!

 

 そう思ってユキをお姫様抱っこをして、おれは会場を降りて控室に行こうとすると···!

 

 

「···お兄ちゃん?···なんで救護の人に任せないの?···なんでユキさんをお姫様抱っこしてるの!?···お兄ちゃんのお嫁さんだからやったの!?」

 

「ちょ!?ナツ!?そうじゃないよ!?ユキがおれにもたれかかる形で気絶しちゃったから仕方なく(・・・・)だよ!?」

 

「え~?フユ?それって言い訳にしては苦しくない?ぼくからみても『それをやって当たり前』みたいな自然な感じだったけど?」

 

「ちょっとーー!?ケンまで!?だから違うって!ああもう!話はあとで!控室行ってユキに回復魔法かけた後にして!!」

 

 

 なぜか猛烈にご機嫌斜めなナツとケンから言われもない攻撃を受けちゃったよ!?そんなことないのにぃ~!!

 

 おれは逃げるようにして控室へ走っていったんだ。置いてきぼりにされたナツとケンは···

 

 

「···これは告白する気?···パパに結婚式の話をしとこうかな?」

 

「···ナツ?それはちょっと想像しすぎじゃない?でも、なんだかアキパパとハルママのような雰囲気はあったね。もしかしたら、ホントにそうなるかもね~!」

 

 勝手な想像をしていたんだよ。もう!そうじゃないって言ってるのにぃ~!

 この試合も白熱したバトルになりました!

 フユくんも言ってますが、居合抜きは日本刀でないと物理的にできません。刀が反ってるので、構えた状態から円を描くように引き抜けるからできるんですね。

 これが西洋剣だとまっすぐなので、鞘に工夫がされてない限り、帯剣状態からだと抜けないんですね。

 まぁ、ファンタジーな世界なので別にいいんですけど、西洋剣では居合抜きはリアルではできないって知っておくと面白いですよ?


 さて、今回のお話でユキちゃんをお姫様だっこを無意識にやってしまったフユくんに対してナツちゃんの嫉妬の炎は極まってしまいました(笑)!


 さて次回予告ですが、準決勝でフユくんとナツちゃんが試合をするのですが、試合ではなく、どこか兄妹ゲンカになってしまいます···。果して勝者はどちらだ!?


 お楽しみに~!

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