13-18.格闘技大会 準々決勝 その1
本日は作者の誕生日でして、プレゼントとして夕食券を期間限定でいただける、商船三井さんふらわあ様の『さんふらわあきりしま』に乗船するため、鹿児島県志布志港に来て、もう乗っております!
まぁ、もう祝われても嬉しくないおっさんですが、夕食券は嬉しいぞ~!いっただっきまーす!
グロー歴514年8月21日 曇
今日は準々決勝と決勝、そして第3位決定戦だ。今日ですべて決まっちゃうんだ。
午前中で準決勝までやって、午後に決勝と3位決定戦なんだ。どういった結果になるのか、楽しみだね〜。
「さあ、泣いても笑っても今日で決まっちゃうよ!ナツとケンはお互いで戦っちゃうことになったけど、ベストを尽くしてね!フユはユキちゃんとの試合だね。槍使いはあんまり経験ないだろうから、よく勉強させてもらってね!」
「ちょっと気になるのは最初の試合の剣士だなー。強すぎるから、決勝は厳しいぞー。だけど、自分の本気の実力を試せる相手だからなー。全力でいってこいよー」
「「「はい!!」」」
パパたちに見送ってもらい、おれたちは控室に入った。もう8人しかいないから、ガラガラだったね~。
ユキはすでに控室にいて、おれたちを見つけてこっちにやってきたよ。
「おはよう!予想通りフユくんと対戦になったわね。昨日の試合を見てて、手加減できる相手じゃないってわかったから、私も本気でいかせてもらうわ!」
「うん!おれも槍使いとは戦った経験がほとんどないからね。勉強させてもらうよ」
「勉強?ふふっ!面白い事言うのね?いいわ!そんな余裕がないぐらいにしてあげるわ」
「うん?おれは真剣に言ってるんだけどなぁ~。ま、いっか!よろしくね!」
あいさつを終えたユキはその場から去った。試合に向けて集中するようだね。
さあ、準々決勝開始だ!まずは第1試合だけど···、あの剣士があっという間に決めてしまったよ。レベルが違いすぎるんだよなぁ~。
でも、なんだろう?やっぱり何かおかしいんだよ。ちょっと言葉にできないんだけど、まるで『人間を超えちゃってる』ような気がするんだよ。
あとは、『作られた強さ』って感じなんだよ。自分で実力をつけたんじゃなくて、無理やり強くなったような?う〜ん···、よくわからないなぁ~。
ナツとケンも気づいてるみたいだ。険しい顔をしてるね。
「フユ?あの剣士って、やっぱり何かおかしいよね?」
「···体が技についていってない。かなり無茶している感じ?」
「やっぱり気づいてるよなぁ~。おれは無理やり強くさせられてるような気がするんだよ」
「う〜ん···。気になるね。まぁ、ぼくたちと当たるとしたら決勝戦だけどね」
「···その前にケンはナツと戦うもんね。そっちに集中した方がいいよ?」
「あぁ~、そうだよね。どこまでできるかわからないけど、精一杯やるよ」
そして、ついにナツとケンの試合になった。
ナツはお気に入りの短剣2本の双剣スタイル、そしてケンは得意の片手剣に弓のスタイルだ。さらに今日は矢筒まで背負ってる。
ケンは、いつもは魔法で矢を作ってるけど、大会では使えないから、この試合では放つ矢の数に限度があるんだ。ちょっと不利だね。
でも、お互い本気でやるみたいだね。
「···ケンには悪いけど、ナツが勝ってお兄ちゃんと対戦するからね」
「フユとやりたいのはぼくもだよ。悪いけど、翼だけなしで竜気だけは使わせてもらうよ。ここまではルール内だからね」
「···いいよ。空中戦がないだけでもナツが有利だから」
「それでは準々決勝第3試合、始め!!」
「···いくよ」
まずはナツが動いた!猛スピードで突進していくけど、ケンは冷静に矢を1発撃った!
撃った矢をナツは短剣で弾いた。ケンは双剣の片方の攻撃が後になったのを確認してから突っ込んだ!
短剣と片手剣だと同じスピードなら片手剣の方が強い。ナツとケンが激突する直前、ナツは勢いに負けると判断して避けた!
ナツは避けつつも、さっき矢を弾いた側の短剣を、ケンの脇を通り過ぎる際に切りつけようとしたけど、ケンも気づいて、回し蹴りで短剣を弾いた!
弾かれた反動で、ナツは間合いを取り直した。
ここまで開始10秒経ってないんだよ。観客席ではあまりの早業に声が出てなかったけど、間合いを取り直した事で一気に歓声が上がったんだ!
二人ともビックリしていたけど、すぐに戦闘態勢に入った。ケンは今のうちに矢を番えていたよ。
さて、仕切り直しだ。今度はケンが動いた!
「秘技、弦月斬」
ケンが衝撃波を放った!それに対してナツは
「···暗殺技、双裂斬」
その衝撃波を短剣を勢いよく振り上げることで切り裂いた!
その間にケンはナツに迫っていた!そして一突きがナツに刺さった!
けども、手応えがなかった。ママの技である『代わり身』で回避したんだ。でも、ケンはそれも承知で振り返りながら弓をけん制で放った!
ケンの予想通り、ナツは背後にいたから、このけん制は効果的だった。
お互い体勢を崩していたので、ここで再度仕切り直しになったよ。
会場は割れんばかりの声援が飛んだんだ。まぁ、当然だよね?こんなスゴイ試合なんて見たことないだろうからね!
普段の訓練以上に二人とも集中しているよ。
その後も激しい攻防が続いた。そして、ケンの弓が残り1本となった時、決着をつけることになったんだ。
「···次が最後かな?」
「そうだね。もう矢もこれが最後だし、ぼくも限界だよ。···でも、こんなに楽しかったのは久しぶりだったね。
まだどっちが勝つかわからないけど、先に言っておくね。ありがとう」
「···ナツも楽しかった。···ありがと。···じゃ、いくよ」
そして次の瞬間、二人が激突した!ケンは片手剣を上段から振り下ろし、ナツは双剣を交差させて直接受け止めた!受け止めた瞬間にケンが弓を0距離でナツのお腹に向けて撃とうとした!
しかし、ナツもそう来るのは予想していたみたいだ。すぐに体をひねって回避しようとしたけど、矢がかすってしまった。
回避したモーションでケンの片手剣を逸らし、バランスが崩れたケンにナツは片方の短剣を投げた!
気づいたケンは慌てて地面に伏せた!しかし、伏せてしまったがために起き上がるのに時間がかかってしまったんだ。そのスキにナツは一気にケンに迫り···!
「···ここまで、かな?」
「···そうだね。あぁ~!今日は負けちゃったなぁ~。ナツ、ありがとね」
「···うん。ありがと」
「そこまで!!」
この試合はナツがギリギリ勝ったね。でも、どっちが勝ってもおかしくない状況だったよ。今まで訓練で何度もやり合ったけども、今日は最高な内容じゃないかな?
今の内容でおれと戦ったら、勝てるか自信ないなぁ~。でもね?なんだかワクワクしてきたんだよ。次のユキの試合も楽しみだし、その次のナツとの試合も本当に楽しみだよ~!
「ナツ、ケン!お疲れさま!いい試合だったね!」
「そうだね~。今回はナツの気迫がすごかったよ。やっぱり次にフユとの試合がやりたくてしょうがなかったんだろうね」
「えっ!?ナツ、そうなの?」
「···確かにお兄ちゃんと試合をやりたいってのはあるけど、別に今じゃなくてもいつでもできるけど?」
「あ~、ナツはあんまり気づいてなさそうだなぁ~。フユとの試合に向けて体力をできる限り使わないように立ち回ってたでしょ?ぼくの方が攻めきれずに疲れちゃったんだよ?」
「···そう?あんまり気にしてなかった」
「ははは!ま、ぼくに勝ったんだから、次のフユには勝つんだよ?でないと、ぼくがもっと悔しい思いをするんだからね!」
「···うん、頑張る」
「ははは、もうおれと戦うことが決まってるんだなぁ~?今からユキと戦うのにね」
「でも、負ける気ないでしょ?···負けたらナツの機嫌がすごく悪くなりそうだよ?」
「···それも怖いなぁ~。でも、全力で頑張るよ!」
さあ!次はおれとユキの試合だ!会場に上がってユキと対峙したんだ。
「ナツちゃんの試合はすごかったわね。妹さんがあれだけの実力なんだから、フユくんもそうなんでしょ?」
「おれはナツとは戦闘スタイルが違うからどうだろうね?···でも、おれはこの試合を、ユキとの試合を思う存分楽しませてもらう!」
「楽しむ···、ね。さっきの試合を見た後だと、なんだか今ならその気持ちもわかる気がするわ。いいわ!私も楽しませてもらうわよ!」
「それでは準々決勝第4試合、始め!!」
これからおれと長い付き合いになるユキとの、心躍る最初の試合の幕が開けた!!
ナツちゃんとケンくんの凄まじい攻防でしたね~!
まぁ、身体強化以外の魔法禁止、かつケンくんは竜気や翼を封印してますので、やや劣勢というのは仕方ありませんね。
普段は何でもあり!な試合なので、この縛りはなかなか厳しいものです。
さて次回予告ですが、フユくんとユキちゃんの試合です!どんな楽しみ方をするんでしょうね?
お楽しみに〜!




