13-13.···お兄ちゃんが彼女をゲットしちゃった
本日2話目の投稿です。
朝に1話投稿してますので、先にそちらをご覧くださいね!
グロー歴514年8月20日 曇
今日からは本選だ。第1回戦の16試合と第2回戦の8試合の合計24試合が行われるんだ。それ以降の8試合は明日なんだ。
まぁ、勝ち上がると休憩なしの連戦になっちゃうからね。それなりに休憩時間が入るから、こういったスケジュールになっているんだよ。
1回戦は第10試合目にナツ、第11試合目にケン、そして第16試合目にフユが出場する。
そして2回戦の第5試合目にナツとケンが対決する予定で、第8試合目がフユの試合の予定だ。
···もう勝ち確定で話しちゃってるけどね。まぁ、その通りになるでしょ。えっ!?親バカだって!?誰だってそうじゃないかなぁ~?
「さあ!今日は2回戦まであるから、ナツとケンが対決しちゃうね。でも、手を抜いたりとかは一切なしで思いっきり楽しんでおいで!」
「特に気になった選手は26番と29番だなー。まー、槍はハルからも教えてもらってるだろうし、剣術もお前たちなら間合いさえきっちり取ってれば捌けると思うぞー。ただし!相手の技を見るのに集中してしまうとやられちゃうからなー。そこだけは気をつけろよー」
「「「ハイ!!!」」」
今日からは本選だ!ここからは1対1だからね。リオパパが言ってたのはユキとパームさんの事だったね。仲良くなったから技は後で見せてもらう事にして、試合には集中しよう!今から楽しみだよ~!
控室に入ると、出場選手は32人に減ったからイスとか余裕があるね。昨日は立ちっぱなしだったからなぁ~。
そんな事を思っていると、ユキがおれたちのところにやって来た。
「おはよう、フユくん!昨日は助かったわ。フユくんの回復魔法のおかげで今日はいつもよりなんだか元気だわ!」
「おはよう。あれから何もなかったようだね。元気そうで良かったよ」
「···お兄ちゃん?···この人が昨日お兄ちゃんが助けた人?」
「ナツ、そうだよ。ユキ?こっちがおれの双子の妹のナツ、そして友達のケンだよ」
「初めまして。ユキと言うのよ。ナツちゃんとケンくんね。あなたたちの試合も見せてもらったわ。でも、まだまだ強さを隠してるわよね?」
「···鋭いね。さすが本選に出るだけのことはある」
「まぁ、ぼくの場合はドラゴン族だから、本気出すと翼を使っちゃうし、竜気まで使っちゃうからね。ほとんど反則になっちゃうしなぁ~」
「確かにその通りね。順当に行けば、私はフユくんと3回戦かな?私が勝っちゃったら、ナツちゃんとケンくんはどっちかが私と対決かな?どうなるかわからないけど、楽しみにしてるわ。それじゃあね」
「···お兄ちゃんが彼女をゲットしちゃった」
「···はぁっ!?か、彼女ぉ~!?そ、そんなわけないでしょ!?ユキはただ助けた女の子だよ!?」
「でも、ぼくたちって友達がいないから、ある意味良かったんじゃないの?」
「ど、どういう意味だよ!?」
「旅してたら同じところにいないから友達つくりにくいじゃん。いいキッカケになったんじゃない?」
「···パパとママも出会って2週間で結婚しちゃったって言ってたし、お兄ちゃんが優勝したら結婚式やる?」
「まだ結婚できないでしょ!?おれたち8歳だよ!?」
「···じゃ、婚約で。約束なら問題ない」
「ちょっと~!?勝手に話進めないでよぉ~!」
ナツとケンに思いっきりからかわれたよぉ~···。やっぱり昨日の件を根に持ってるなぁ~。
でも···、結婚ねぇ~。確か恋とか愛とかがいるみたいだけど、おれにはよくわかんないんだよなぁ~。
そう言えば、前にパパとママに聞いたことあるんだよ?『どうして結婚したの?』って。そしたら
『ハルと一緒にいたら楽しいし、一緒にいないって事が考えられないからだよ?それに、結婚を決める時にハルは狙われる可能性があったから、守ってあげたいって思ったのもあったね』
『···アキと一緒だと安心できたからだよ』
だってさ。答えた中に恋や愛って言葉がなかったんだよ。
さらにリオパパとナナママにも聞いたら
『あー。ナナに強引に迫られて、よくわからんうちに結婚したんだったよなー』
『ハルがアキと結婚しちゃったから、あたしも勢いでリオに結婚を強引に迫ったのよね~。若気の至りってヤツかしらね~?』
だってさ。この答えにも恋や愛ってなかったね。ホントに結婚にいるのかなぁ~?
ま、いっか!そんなのはまだまだ先の話だからね。今は試合に集中しよう!
まずは第1試合。強い剣士さんの試合だったけど···。1秒で終わっちゃった。
剣を振り抜いたら吹っ飛んだんだよ。なんだかケンやおれの弦月斬に近い技だったね。他にも技を持ってそうだよ。
もし対戦するとしたら本気でもギリギリかなぁ~?間違いなく苦戦するだろうね。
そこからはあんまり大したことなかったよ。ちょっと失礼な言い方かもしれないけどね。実力を隠してそうでもないんだよなぁ~。
そこそこ試合時間が長かったので、ナツの試合は昼からになったよ。残念ながら参考になる試合はなかったなぁ〜。
そして昼休憩を挟んで、ナツの試合が始まろうとしていた。
「ナツ、頑張ってね!」
「応援しなくても大丈夫そうだよね~。でも、油断は禁物だよ。勝ってぼくと対戦しようね」
「···うん。油断せずにいくよ」
···対戦相手の試合は昨日見た。棒術使いのお姉さんだ。
···棒術って、槍とよく似てるけどね。槍よりも変幻自在な攻撃が来るから、初めての相手だとやりづらい。
···でも、ナツのスピードだったらあんまり気にしなくてもだいじょぶ。···なんだかちょっとイライラしてるから、すぐに終わらせよう。
「それでは第10試合、始め!!」
「···よろしく、そしてさよなら」
「えっ!?きゃあっ!?」
···瞬時に懐に入ってみぞおちに掌底で当ててやって、場外へ飛ばしてあげた。
「···えっ?あれ?じょ、場外!?そこまで!!」
「···ありがとうございました」
やっぱりナツはあっさりと決めちゃったなぁ~。ホントは対棒術戦をやったら良かったんだけど、あまりにも実力差があるからもたないんだよね。
だからといって手を抜きすぎると相手に失礼だし、この場合は仕方ないね。実力差がありすぎるのも難しいね。
さて、次はケンだ!今度はどうかな~?
ぼくの対戦相手は剣士さんだった。片手剣に盾を持ってる、一般的なタイプだね。ぼくとよく似ているから、ちょっとは試合を楽しめそうかな?
「では、第11試合、始め!!」
「よろしくお願いします」
今回はあいさつの途中で突っ込んでこなかったね。さて、構えてみる。相手は動かずにぼくが突っ込んでくるのを待ってるみたいだね。
···あっ!?そういう事か!なるほどね~。盾を持ってるから、カウンター狙いなんだ!だからぼくの動きをよく見て、どういう攻撃が来るか警戒してるんだ。
これは中途半端な攻撃をすると痛い目にあいそうだね。さて、どうしようかなぁ~?
···よし、これでいくか。防がれても大した反撃はできないと思うよ。
「じゃあ、ぼくからいきますね。盾を持ってる左腕を狙います」
「···?バカなガキだな。自分から攻撃箇所を宣言するなんて。防いで終わりだ!」
油断したね?これがワナだと気づいてないよ。じゃあ、いくよ~。
ゆっくりと走りながら左腕の盾に向かって剣を···、思いっきり振り上げた!
相手はもちろんぼくの攻撃が左腕の盾だとわかっていたから、ぼくの剣の振り上げに対応しようとして盾をした向けてぼくの剣に当てようとするけど···、あまりにもぼくの剣の勢いが強すぎて盾ごと左腕が跳ね上げられた!
体勢も崩されちゃってスキだらけになっちゃったから、振り上げた剣をそのまま左肩に当ててあげた。振り上げた力よりかなり手を抜いたから骨は大丈夫だと思うよ。そしてノーガードでぼくの剣を受けた相手はそのまま倒れちゃったよ。
「そこまで!第11試合、終了!」
「ありがとうございました」
おお〜!ケンが狙う場所をワザと言って注意を引いて、体勢を崩しちゃったね!これはケンの作戦勝ちだね!これはいい手だったなぁ~!
これで2回戦はナツとケンの試合が確定した。
この後はユキとパームさんの試合の後、おれの試合だ!
フユくんは鈍感系でした!まぁ、まだ恋や愛って言ってもまだわからないお年頃ですから仕方ないですけどね。
あとは両親とかが恋愛に対してまったく参考にならない回答をしてしまったのもフユくんが混乱する結果になってしまいましたね(笑)!特にリオくんとナナちゃんは付き合った時間は0秒ですからね~。
フユくんとユキちゃんが仲がいいのを見ちゃったナツちゃんはご機嫌斜めになってしまいました。
普段から友達が作りにくい環境なので、人付き合いが難しいんですよね···。
さて次回予告ですが、第1回戦のユキちゃん、パームさん、フユくんの試合の様子をお届けしますよ〜!
明日も朝と夜に1話ずつ投稿します。お楽しみに〜!




