13-10.格闘技大会 予選 その2
「···アキさん?そんなにソワソワしてもどうにもなりませんよ?少し落ち着いたらどうです?意外と心配性なんですね···」
「そうだよ~、アキパパ!フユたちなら大丈夫だって!もしかしたら控室で絡まれちゃってるかもしれないけど、その場で全員倒したら試合回数が減ってお祭りの屋台回りが楽しめるよ~!」
「いや、それやられると大会が成立しないんで女王として困るんですけどね···」
「あっ!ごめんなさい···。そこまで考えてませんでした」
「うふふ。でも、みんな相当強いようですから、案外そうなってるかもしれないですね~!なんたってリオのお子さんもいるんだしね。見た目に騙される連中もいそうね!」
「あ~、そうかもしれないですね~。魔法が使えたらわたしも出るんだけどなぁ~」
「本当はそうしたかったんですけどね?死者が確実に出てしまうのはちょっとまずいのでねぇ~」
「そうですよね~。わたしの中級クラスでも使い方で命の危険あるものもありますし~」
···ボクの横で女王様とリナが盛り上がってたよ。確かにボクたちの子どもたちは強いよ?でもね?実力を隠している強者がいるかもしれないんだよ!?命の危険はないといっても、子どもたちがケガするのを黙って見てるってのは辛すぎるんだよぉ~。
「···アキ?あの子たちならだいじょぶ。もう引き際だって心得てる。ここは黙って見届けるのが親としての務めだよ?」
「そうだぞー。アキは心配性だからなー。気持ちはわかるけど、それは過保護に近いぞー。あいつらを信じるのも大事だぞー」
「···そうだね。頭ではわかってるんだけどね?やっぱり心配だよ?まだ8歳なんだから」
「でもなー?もう一人前になってきてるんだぞー?前にアキ自身も言ってただろー?子離れしなきゃってなー。今回はどこまで成長したのかを見届けるんだぞー」
「···わかったよ。もしボクが飛び出しそうなら止めてね。自分自身を抑えることができないかもしれないから」
「···だいじょぶ。その時は私が全力で抱きしめて止めるから」
「あの~、ハルさん?それだとボクの全身の骨が折れてしまうそうな気がするんですけど?」
「···?いつも寝てる時にそうやって抱いてるのに?」
あれって全力で抱かれてたのかぁ~。だから抜け出せないんだな。気持ちいいから抜け出す気もないけどね。
さて、予選が始まるようだね。どんな結果になっても、ボクは受け入れるよう考えたよ!
予選の試合が始まったね。まずはナツが19組、ケンが21組、最後がおれの31組だ。
試合会場はすぐ横だから、おれたちは控室を出て試合を見ていたんだ。今の時点で気になる選手はいなかったね。ただ、実力を隠しているかもしれないから、全部鵜呑みにしたらいけないね。実力の隠し方もいい勉強になると思うんだよ。パパが言ってたもんね!実力をできる限り隠さないと余計なトラブルに巻き込まれるってね。
でも、今回おれたちの実力を見られちゃったらトラブルになるのかなぁ~?ま、おれたちでなんとかするけど、その時はパパたちがなんとかしてくれるよね?
そして、ナツの19組の選手が呼ばれたよ。
「ナツ、頑張ってね!」
「ナツの実力だったらすぐ終わっちゃうってぼくは思うよ?」
「···うん。頑張る」
···試合会場はそこそこ大きいけど、16人もいたら狭いね。ちょっと動きにくいかも。
···みんなナツを狙ってる?まぁ、一番小さいのはナツだからね。···でも、残念。小さいから弱いってのは見た目に騙されてるよ?これじゃ、あっという間に終わっちゃうかもね?
···じゃ、始めよか。···何秒までもつかな?
『それでは第19組の予選、始め!!』
「まずはチビ!!貴様からだぁーーー!!」
「···シッ!」
···はい、終わり。ナツはサッと駆け抜けたんだ。通り過ぎる時に急所ばかりを狙い撃ちにしてあげたんだ。···だって、みんな無防備すぎるんだから。
···完全にナツをなめてたね。だからスキだらけ過ぎたよ。審判さんは始まった直後にナツ以外全員倒れてしまい、展開が急すぎて固まってるね。···どうしよう?これじゃ終わらない?
「···審判さん?ナツ以外全員倒れちゃったけど、ナツの勝ちでいい?」
「···え?あ、ああ。そうだね。第19組の試合終了!」
「···ありがとうございました」
う~ん···。みんなナツをなめてたね。さすがにおれだったらここまで速くないだろうけど、それでも結果は同じだっただろうなぁ~。ナツは運がよかったね!
「ナツ、お疲れ様!」
「···ぜんぜん疲れてないよ、お兄ちゃん。こんなに早く終わるなんて思わなかった」
「でも、これで本選決定だもんね。次はぼくだね。うまいこといくかなぁ~?」
「そんなに心配するなよ、ケン!あっという間に終わるって!」
「そうだといいけどね。あんまり変な試合になっちゃったらリナにどやされそうだし」
「どっちかっていうと、そっちの方が怖そうだなぁ~!じゃ、頑張ってね!」
「うん!翼を使わずに勝って見せるね!」
今度はぼくだね。さっきナツの試合を見ていたけど、やっぱり16人もいると会場が狭いなぁ~。これは動かずに全員倒した方が、ぼくだったらよさそうだね。
ナツの時と同じく、みんなぼくの方を見ているね···。やっぱりなめられてるんだなぁ~。まぁ、いいか。こっちから向かうより楽そうだよ。
『それでは予選第21組、始め!!』
「よろしくお願いします」
ぼくは試合開始直後に礼をしたんだけど、その間にも選手が襲い掛かってきちゃったよ。もう、みんなせっかちだなぁ~。そんなに慌てなくてもちゃんと相手してあげるよ?
顔を上げると同時に剣を抜いた。フライングで襲い掛かってきた大柄の男を胴打ちしつつ、思いっきり剣を振り切って吹き飛ばしてあげた。
直線上にいた選手5人が巻き込まれて仲良く場外まで吹っ飛んでいったね。残り9人。
次は左右から襲ってきたよ。剣じゃ防ぎきれないね。ぼくは剣を足元に放り投げたんだ。
「バカなガキだ!試合を放棄したな!?」
そんな事を言って剣を両サイドから振り下ろしたけど、その剣をボクは片手ずつで受け止めた。衝撃で足元がちょっとだけ陥没しちゃったね。壊しちゃったけど、ぼくのせいじゃないよね?
「なあっ!?手で受け止めただとぉ!?」
「バカなのはどっちかな?竜気使わなくても、この程度は誰でもできるよ?力任せの攻撃ならね」
「ただのガキのくせに、なんてバカ力してやがるんだ!?」
「ぼくはそんなに力はない方だよ?パパの実家の人たちのほうがもっと強かったからね。おしゃべりはここまでにして、今度はこっちからいくね」
ぼくは掴んだ剣を左右に振ったんだ。左右にいた選手はぼくの目の前でぶつかって気を失っちゃったね。残り7人。
ここで、ぼくを狙っていた人たちがみんな怖気づいてしまったんだ。顔を真っ青にして武器を持ってる手が震えてるんだよ。
···やめてくれない?まるでぼくが弱い者いじめしてる雰囲気になっちゃってるんだけど。ぼくはこういう雰囲気が一番嫌いなんだよ。
仕方ないね。次の一撃で全員場外に飛んでってもらうとするか。アキパパの技を使わせてもらおうっと。
ぼくは足元の剣を取って、居合い抜きの形を取る。そして
「秘技、弦月斬」
剣を振り抜く瞬間のみ身体強化を使って、猛スピードで剣を振り抜いた。その衝撃波で残りの7人は簡単に飛んで行ってしまったよ。
本当は斬撃を飛ばして中距離の相手を真っ二つにしてしまう技なんだけどね?切れ味ない剣だから射程は縮まって吹き飛ばすだけになっちゃうんだけど、ここだと有効だったね。
「そこまで!予選第21組終了だ!」
「ありがとうございました」
おお~。ドラゴン族の力とパパの技で全員倒しちゃったね!途中からケンが本気モードになってたなぁ~。あの雰囲気ってケンが一番嫌がるんだよね~。おれもあの雰囲気は嫌だけどさ。
まったく1歩も動かずに全員を倒した事で会場は大いに盛り上がったよ。みんなケンの実力にビックリもしてるし、小さい子どもが大人たちを倒しちゃったことに興奮しているようだよ。さっきのナツの試合の後だからなおさらかな?
「ケン、お疲れ様。ちょっとつらかったんじゃない?」
「ありがとう。でも、仕方ないよ~。ドラゴン族って最強の種族って言われてるしね。やっぱり、あの雰囲気は嫌だったなぁ~」
「そうだね。おれもあれは嫌だよ~。でも、経験していけばああいう雰囲気にしなくなるかもね。本選でもいろいろ試してみようね!」
「うん。あとはフユの試合だね。ちょっと先だけどね」
「そうなんだよなぁ~。早く試合したいよぉ~」
そう思ってたんだけどね?おれの試合の前に気になる試合が2戦あったんだよ。
圧倒的な実力差を見せつけました!
ただ、ケンくんの試合ではあまりにも差があり過ぎて怯えてしまったためにちょっとキレてしまいました···。まぁ、これは仕方ないですね。
技はアキくんがゲームの技をそのまま再現して見せたものです。有名な作品から引用しましたので、気づいた人もいるかもしれませんね!
そして、心配性なアキくんを骨が砕ける勢いで抱いちゃうハルちゃんですが、これで手加減しており、実は寝ていても身体強化が使えちゃうんです。
まぁ、使ったらアキくんは死んでしまいますが···。
さて次回予告ですが、気になる実力を持つ2人の試合とフユくんの試合です。どんな技が出るでしょうね~?
お楽しみに〜!




